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2016年2月21日 (日)

コロしてもいい奴 ~最強ゾンビハンター~

 映画専門チャンネルを何気なく流していると、いつの間にか、この作品が始まり……唐突に終わっていました。

 タイトルのとおり、ゾンビ映画です。劇中ではイーターという呼称でよんでいましたが、ま、内容はゾンビですね(ZOMBIEだから、本来の発音は、昔風のソンビィー?)。

 わたしの好きな邦画「Zアイランド」でも、言っていましたが、ゾンビは分類すると、宇宙線(あるいは何かの軍事実験による放射線)が降り注いで生まれるもの(ナイト・オブ・ザ・リビングデッドあるいはカジノゾンビ系)と、ウイルスによって生まれるもの(バイオハザード初期型系)、寄生虫による動きが素早くバイク乗車できる系(バイオハザード4型)などがあるのですが(劇中では、「速いやつ」「遅いやつ」とも分類)、この「最強~」は、新型合成麻薬をキメ過ぎるとなってしまうタイプのようで、動きは早いものの、乗り物は使えないというゾンビ設定のようでした。

Zombie

 上のポスターでも分かるように、ド真ん中で斧をかついだ男ダニー・トレホ(メキシカンの筋肉オヤジ、B級ゾンビ映画の定番:フロム・ダスク・ティル・ドーン、マチェーテ他出演多数)がトップ・クレジット、しかしながら主演は、トレホの半分の大きさもないマーティン・コッピング↓です。

 なかなかの二枚目なのですが……

Zombi2

 お約束の、ヒロインとのB級お色気シーンで裸になると、腹回りが妙にぶよぶよタプタプなんですね。トレホの「老いてまだまだ筋肉質!」な身体と比較すると、どうにも情けない気がします。

 余談ながら、日本の男性役者のほとんどが、裸になると貧相な身体でがっかりするのに対して、(筋肉信仰のある)英米役者は、その多くが、しっかりと筋肉の乗った良い身体をしていることが多いですね。

 先に見たキングスマンでも、エグジー役のタロン・エガートンが、ぱっと見、こんなトッポイ(死語?)ギャングを怖がる弱っちい小僧風なのに↓、

174722

 脱いだら、はち切れんばかりの筋骨隆々さで、スーツを着ても似合わないほどであったので、驚くよりも、違和感を感じてしまいました。

 とりあえず、ダニー・トレホの勇姿を拝める予告をどうぞ。

 しかし、ゾンビ映画は、もはや一大ジャンルとして、大盛況の様相を呈していますね。

 マトリックスのトリニティ(キャリー=アン・モス)主演の、50年代黄金期のアメリカが舞台のコメディ・ゾンビ映画「ゾンビーノ」や、

 ワシントンD.C.のホテルで見た「ドーン・オブ・ザ・デッド」↓

 それ以外にもブラッド・ピット主演の超大作「ワールド・ウォーZ」や(ウは宇宙船のウ、ならぬZはゾンビのZ!)、

 この映画のオチは、「オオカミは病気の獣の肉を食べない」的なハナシで、なんだかハナをつままれたような気分になった記憶があります。


 少し傍系の超B級映画「アンダーグラウンド」(同名の名作映画もあるから注意)、

 ハズしがちに見えて、実は直球勝負の品川ヒロシ監督、哀川翔主演「Zアイランド」など、いろいろありますね。

  予告をごらんになればわかるように、(ゾンビ映画にはお約束の)親子愛あり、自己犠牲あり、ちょっとだけお色気あり、と手堅い一品に仕上がっています。

 そういえば、哀川翔は、かつて浅野忠信と組んで「東京ゾンビ」という佳作にもでていました。

 「カジノ・ゾンビ」は、ラスベガスでゾンビ状態が勃発したらどうなるか、という話で、ヒロインが、性格の悪い悪女というのが目新しいところです(わたしは好きです)。

 

 上でも紹介した「Zアイランド」では、鶴見辰吾が、「娘のためにオレは死ぬ!」という、近々公開のシュワルツェネッガー主演の「マギー」↓みたいな役どころを印象的に演じていましたね。

 自覚はないものの、わたしはゾンビモノが好きなのでしょう。

 いや、わたしだけではなく、世間の人もだいたい好きでしょう、と、思っていたら……

 「ワールド・ウォーZ」については、広告でおもしろい話があるんですね。

 ポスターでも予告でも、この映画が、ゾンビ映画であることを見せないようにしていたというのです。

 わたしは、公開時の様子を知らなかったのですが、つまりゾンビ映画であることを喧伝(けんでん)してしまうと、観客動員に響いてしまうと考えられたのですね。

 え、ということは、ゾンビって、日本では人気がないの?

 わたしなどは、「ゾンビ」モノであると知れば、とりあえず、いかにB級臭が漂っても、観る映画の候補にしてしまうのですが……(って、ゾンビモノが好きってことですよね。自覚がないなんて、よく言うヨナー)。

 そういえば、ケビン・コスナー主演の「ワイアット・アープ」も、西部劇であることが伏せられて宣伝されていたそうです。

 って、そもそもワイアット・アープ、ドク・ホリディ、クラントン兄弟、いやOK牧場(OK Corral)の名前を知らない人がいるというのが不思議なのですが、ともかく、二枚目俳優コスナーの名につられて映画館に足を運んだ女性が、「これって西部劇だったんだ」とノタマッタそうな……


 そのように、日本の一部に(いや、わたし以外の良識ある日本人のほとんど、か?)ゾンビ映画を好まぬ勢力はあるにせよ、ハリウッドのA級B級を含めてのゾンビ映画の隆盛を考えれば、世にゾンビ映画の種は尽きマジ、アメリカ人の多くはゾンビが好きなのでしょう。

 そこで、なぜゾンビ映画を好む人がいるかを、わたしなりの偏った考えでまとめると……


●その1

 「ヒトは(本能的に)悪い奴がバッタバッタとやられるところを見たいモノなのだ」

 非難を覚悟で書かせてもらえば、ピンはショッカーの戦闘員、魔神ドルゲのアントマンからキリは、桃太郎侍の斬られ役まで、主人公によって、「寄らば斬るぞ」とバッタバッタと千切っては投げ、チギッテは投げ~と、情けも問答も無用に殺される場面に、なぜか我々、いやわたしは、胸がスクところがあるのは確かです。

 ハリウッド映画においても、かつては、インディアン(無知によるひどい呼び名ですが)、つまり本当のアメリカ人(ネイティブ・アメリカン)を、白人ばかりの騎兵隊が、スプリングフィールドやコルトなどの「進んだ」兵器で、トマホークなどの(原始的で劣った)武器を用いて意味不明におそってくる(もちろん侵略者を撃退するためです)野蛮人な彼らを片っ端から撃ち殺すのが当たり前の「西部劇」が大量に作られたものでした。

 あるいは、奇声をあげてバンザイアタック(特攻)を繰り返す(んなワケはないでしょう)、頭のおかしい極東蛮族を蹴散らす米軍プロパガンダ映画なども作られました。

 しかし、今や、彼らネイティブや肌の黄色いアジア人にも人権があることが常識となって、オオッピラにそんな映画は撮ることができなくなった。

 しかし、殺しまくるカタストロフ映画の需要は絶対にある。

 どうするべきか?

 そこで登場したのが、救いの”神”としての「ゾンビ」です。

 ゾンビなら、どんなにむごい殺し方をしても大丈夫。

 だって、もう死んでいるんですから。

 

 コブラじゃないけれど、「もうそれ以上死ぬことはあるまい」ですよ。

 さっきまで人格者だった人物が、ゾンビになったとたんに襲いかかってくるというのも、絶望的コペ転(死語?)で、いっそ爽快です。

 人間である時に、悪人だったヤツがゾンビになったら、それこそケンタイ(オオッピラ)にブチ殺すことができる。

 まるで、読売巨人軍の「番場蛮」↓のように、鼻の穴をふくらませて、「あーイー気持ち」な気分ですよ(意味不明)。

Banba

 そういった、イケナイ衝動が自分の中にあるのは分かる。

 だから、そういった衝動を、映画やゲームで代償させてスッキリするのは良いコトなのではないかとも思うのですが、逆に、寝た子を起こす、そういった映像や刺激を提供するのはイカンのではないか、という意見も分かります。

 これは難しい問題です。



●その2

「誰もいないくなったショッピング・モールや店舗で、(罪悪感なしに)品物を取り放題に奪い去る爽快感を得たい!」

 ゾンビ映画のほとんどすべてに、「生きていくため」に「仕方なく」、ゾンビだけがウロツク巨大ショッピング・モール(このシチュエーションを最初に考えたのはドーン・オブ・ザデッドだと思いますが、ウマイ考えです)や高級店、あるいはスーパーに入り込み、空のカートに品物を取り放題にとって回る「王侯貴族的買い物」(ショボい王侯ですが)シーンがあります。

 これが、まあ、(おもに米国の中下流階級の)庶民の夢なのでしょうか(日本のゾンビものでこのシチュエーションは見たことがないような気がします)。

●その3

先走って上で書いてしまいましたが、

「ゾンビ化という「一瞬の立場の転回」の恐怖が「恐ろしくも魅力的」で、それを見たい。

 愛しかった、恋しかった、尊敬していた人々が、たったの「ひと噛み」で、こっち側から「向こう側」にいってしまって、自分を襲う敵になってしまう恐怖は、恐ろしくも魅力的であるのでしょう。

 自分自身も、いつ向こう側にいってしまうか分からない訳ですから。

 これを逆に描いたのが、「Xメン ファイナル・デシジョン」でした。

 クライマックスで、超能力者同士が戦う中、「超能力を治療する薬(つまり能力を奪う)」を仕込んだ弾丸が飛び交って、それに当たった者たちが、ツキモノが落ちたみたいにションボリとなってしまうんですね。

 あれはあれで、恐ろしいシチュエーションでした。


 とりあえず、3つほど、ゾンビ映画隆盛(ホントなのか?)の理由を考えましたが、もっと、ほかにあるでしょうし、それほど単純ではないかも知れません。


 ただひとついえるのは、今後も増え続けるであろう「Z映画」を、わたしは見続けるだろうということです。

p.s.

 ああ、そうだ。

 「最強ゾンビハンター」の予告を観てから本編をごらんになったあなたは、キョーガクの事実を知ることになると思います。

 この映画の予告・コピーの、カリオストロ公爵的な「言うことやることすべてウソ!」というジジツを!

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