マナーが紳士をつくる ~キングスマン~
しばらく前のことですが、マシュー・ボーン監督のキングスマンを観ました。
スタイリッシュな現代の英国スパイを描いた佳作です。
まず、真の主人公ハリー・ハートを演じるコリン・ファースがいいですね。
しっかりした筋肉に支えられたスーツのシルエットもよいし。
とても、「リピーテッド」の狂信的な男と同じ俳優が演じているとは思えません。
とはいえ、物静かな中に狂気を感じさせる微妙な表情は健在ですし、物語の中でも、精神をコントロールされたとはいえ、卓越した戦闘能力で数十人の村人を殺害しながらも、その重みにつぶされずに、事実として冷静に受け止め留演技は、彼ならでは、といえるものかもしれません。
世界的IT企業を作り上げ、環境対策にも熱心だったリッチモンド・ヴァレンタイン(サミュエル・L・ジャクソン:写真中央)は、ある時期、人類の未来に絶望し、野球帽をかぶって、人同士を殺し合わせ、人類抹殺(人口を減らす)を計画しはじめます。
それを阻止するために、父同様キングスマン候補になるのが、エグジー(タロン・エガートン:写真右)です。
かつて、彼の父は、キングスメン最終試験で、ハリーを救って死んでいるのです。
ただ、難をいえば、エグジーの肉体が鍛えられ過ぎているような気がすることですね。スーツが似合わないほどに。
あと、キングスマンの候補になるほどの夫を選んだエグジーの母が、後に、言動からみてチンピラ・ギャングと思しき男の愛人になっているのが不思議ではありますが、それは「そういったことはよくあるんだよ」、というマシュー・ボーン監督の意思表示なのかもしれません。
彼女が夫を選んだのではなく夫によって選ばれただけだった。立派な男だが女性を見る目がないということもよくあることだ、ということなのでしょう(もちろん素晴らしい女性だが男を見る目だけはない、ということもよくある)。
最後に、カモシカの義足(刀)を持つ暗殺者ガゼルもなかなか魅力的です。
義足でありながら、健常者以上の戦闘力を持つ彼女を見て、2011年の世界陸上で健常者とともに400メートルを走ったオスカー・ピトリウスを思い出しました。
ガゼル(カモシカ)ではありませんが。刃(ブレード)のように薄い義足の素晴らしい弾力性を使って健常者以上の早さを誇り、故にブレードランナーと呼ばれ、他の競技者から「あれは反則では」と言わしめたオスカーは、最後は妻殺しの殺人者として告発されてしまいました。
ラストの誘拐された王女との絡みなど、多少、下品な表現があるのはキック・アスの監督ならでは、です。
いろいろ癖はありますが、スタイリッシュなスパイ・ギミック、戦闘シーン等、観て損はない映画だと思います。
そうそう、首に仕掛けられた爆弾が爆発して人々の頭が吹っ飛ぶシーンが、妙にイメージ化、ソフト化、ソフィスティケーティッドされていたのには笑ってしまいました。
キック・アスの監督だから、まとも?に、もっと多くの血が流れると思っていたのです。
ここらで予告編を↓
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