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2016年1月29日 (金)

ひょっとしたら最強? ~アントマン~

 この作品、数ヶ月前に劇場へ観に行っていながら、そのことをすっかり忘れていました。
 今回、レンタルが開始されたようなので、思い出して書いてみることにします。
 わたしたちの世代なら、アントマンといえば、悪の手先として奇声を発する、顔にぐるぐる渦巻きを描かれた下部戦闘員でした↓。

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 超人バロム1 怪人ドルゲの戦闘員アントマン
 しかし予告↓を観ればわかるように、

 この「アントマン」は、その他大勢、いわゆるモブキャラではありません。
 
 今回のアントマンは、犯罪者なのです。

 って、ドルゲの戦闘員とあまりかわらない気が……

 いえいえ、バロム1のアントマンが、マグマ大使の「人間もどき」の焼き直しであるのに対し、今回のアントマンは、犯罪者ではありますが、その罪は義侠心から生まれた犯罪であり、妻を知人の男に奪われたものの、いまも大事に思う愛娘(まなむすめ)のキャシーのために、更正しようと努力する善良パパなのです。

 だから、マーベルのヒーローになることができる。

 今回のアントマン(スコット・ラング)は(予告をみれば自明なように)拡大、縮小が自在なスーツを着用しています。

 1.5センチの男はヒーローになれるか?

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 映画の日本版キャッチコピー(ヤクルトとコラボレーションしていたようで、映画館でクリアファイルをもらいました)ですが、いかにアリやカブトムシなみにパワーがあっても、それではヒーローになることは不可能です。

 アニメ「ミクロイドZ」--いや、それはチャンピオン連載時の手塚治虫による原作のタイトルでした。アニメ化時は「ミクロイドS」ですね(ZがSに変わったのは、スポンサーがセイコー:服部時計店なのに、ZだとライバルのCITIZENを彷彿させるからダメという大人の事情)。

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 ともかく、ミクロイドのヤンマやアゲハやマメゾウのように、身体が小さいままなら、いかにすぐれた武器を持っていようとも、強いとは思えない。実際彼らは弱かった。

 体重が軽いからです。

 ん?しかし、開発者の説明によると、E.ハミルトンのキャプテン・フューチャーの時代から言われていたように、「モノを小さくするために原子間の距離を縮めている」ようなので、大きさはともかく、質量(オモサ)は同じということですね。

 だから、元のサイズのパワーを1.5センチになっても維持していて、人を殺すことも可能、だそうですが……その設定は少し安易すぎますね。

 それだと、後で出てくるファルコンとの戦闘で、彼の風によって吹き飛ばされるのがおかしい。身長1.5センチ、体重90キロの存在が、少々の風で吹き飛ぶはずが無いのですから。

 実際、映画を観ていても、それほどパワーがあるようにも見えない。

 やっぱり、アントマン弱そう!

 しかし、光速エスパーならゆっくりと、ウルトラセブンでさえ、巨大・縮小化する際にはある程度ラグ・タイムが存在する「体格変化」を、このアントマンは一瞬で行えるのです。

 こうなると、生物相手なら、ほぼ無敵となります。

 縮小化して体内に飛び込んで元のサイズにもどるだけで、殺傷することができるからです(実際に映画でも類似のことをやっています)。

 「身体を縮小することで攻撃をかわし、もとに戻して殴る」、という変形ヒット・アンド・アウェイも効果的です。

 スーツ開発者、ピム博士を演じるマイケル・ダグラスが、すっかり老けてしまったのは、ロマンシング・ストーンを劇場で観た世代としては少し悲しいですね(もうひとりの主人公、白いドレスのワシャウスキーC・ターナーはもっとすごいことになっていそうですが……)。

 体を縮小化ということから、まず「ミクロの決死圏」、そして「ミクロキッズ」を思い出したのですが、1990年頃に、原作者スタン・リーが映画化を考えていたそうですが、当時ディズニーが「ミクロキッズ」を作り始めていたので実現できなかったそうです。

 そう考えると、マーベル映画化人気の波に乗って、ついでに作られた作品ではなかったのですね。

 あと、この映画を観ることで、日本の政府がいうところの「再チャレンジの国」であるアメリカでも、やはり犯罪者の更正は難しいのがよくわかりました。経歴を知られた途端にクビになったりする。

 ムショ帰り差別によって困っている犯罪者に、その特殊技術を欲しがって、もとの犯罪者仲間が近づいてくるのはお決まりですが、アントマンで近づいてくるルイス、デイッブ、カートは、どちらかというと、96時間の独身バーベキュー仲間(実は戦友)に似た感じですね。

 途中、「アベンジャーズ」のファルコンと闘うのは、少し蛇足な気もしましたが、空を舞うファルコンと大小自在のアントマンの戦闘は見応えありました。

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 ラスト近く、制御を失って際限なく縮小し、原子レベルを超えて小さくなる……という設定は、ありがちではありますが、原始によってできている身体が原始より小さくなるって、どういうこと?と、タイム・パラドックスならぬ、サイズ・パラドックスを感じてしまいます。

 まあ、これもお約束の「ご都合主義的な起死回生」策で復活するのはマーベルらしい決着のつけかたでしたが。

 残念なのは、アントマンと、部下のアリたちとの(感情的な)関係がよくわからないことです。

 馬代わりにまたがる羽アリとの間に、何らかの信頼関係があるのはわかるのですが、それが、どういう感情に基づく(虫には感情などないという、作り手の判断かもしれませんが)のかが不明ですし(カガクテキに操っているだけというには献身的に見える)、その他大勢のモブ・アリによる、魁!男塾の「万人橋」のように、つながって橋をかけるシーンでも、アリの気持ちもスコットの気持ちもはっきりわからないため感情移入ができないのです。

 ただ、エンディングで、アントマンの「キャプテン・アメリカ」への出演が示唆されるのは、うれしい驚きでした。もう少し、アントマンの拡縮自在のアクションを観ていたいと思ったからです。

 人によっては、アリのような細かいものが、多数うごめく映像が苦手な方もおられるでしょう。

 そういった「ウジャウジャ」感に耐性がおありならば、ごらんになって損はない作品だと思います。

 自称、格闘のプロであるピム博士の娘のパンチが、まるで腰の入っていない「マトリックス式キアヌ・パンチ」なのも、しばらくすれば慣れてきます。


   

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