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2012年8月 6日 (月)

コーヒールンバ今昔

 その昔、コーヒールンバといえば、ベネズエラの作曲家の曲に、作詞家の中沢清二氏が、もともとの歌詞とはまったく関係のない日本オリジナルのエキゾチック(これも死語?)な歌詞をつけて、西田佐知子が歌った曲でした。

 昔 アラブの 偉いお坊さんが
 恋を忘れた 哀れな男に
 しびれるような 香りいっぱいの
 琥珀色の 飲み物を 教えてあげました……

 しかし、今や、ルンバといえば、歌ではなく、ダンスでもなく、ロボットの代名詞となってしまいました。

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 iROBOT社のルンバですね。

 そもそも、iという社名が、SF好きにはくすぐったくって仕方がありません。

 社内には、スーザン・カルビン博士がいるんだろうな、とか、いつ読心ロボットが発明されるのだ?、などと邪心が湧いていけません。(I,robotとは「われはロボット」1950年にアシモフが、ロボット三原則を世に送りだした名作です。Wスミスのirobotはそれの映画化)

 まあ、例の原発事故の時に、国と東電が、iROBOT会社の探査ロボットを使ったことからも、結構、本腰でロボットを作ろうとしていることはわかりますが――

 この会社の、いわゆるお掃除ロボット「ルンバ」を使うことで掃除の苦労から解放され、「コーヒーを飲んでいる間に掃除が完了」というのが、新しい「コーヒー・ルンバ」の意味になりつつあります。

 それほど、このお掃除ロボットが売れているのですね。
 八万円近くする、決して安い製品ではないのに。

 だから、東芝やシャープなどの、日本の家電メーカーも次々と製品を開発しています。

 しかし、大学時代にロボットを専攻した身としては、このお掃除「ロボット」というのが信用ならないのです。

 ライントレーサー(床に引かれた白い線をなぞって移動する)ロボットは、すでに工場内では実用化されていますし、ホンダのアシモはダンスを始めてしまっていますが、この手の、小さく軽く(3.8キロ)バッテリーの弱い「ロボット」は、どうもオモチャの域を出ていないと気がするのですね。

 搭載された、コンピュータ内のプログラムとセンサによって、ある会社の製品は、ゆっくりじっくりと一度だけ掃除し、他の会社のロボは、さっと掃除を数回繰り返します。

 そういった、細かいプログラム、あるいはゴミの収集方法に多少の違いはあっても、しょせんは小さなバッテリーによる小さな吸引力しかもたない掃除機、実際には、想像通り、大きなゴミなどは掃除しきれないのですね。

 どうせなら、有線にして、コンセントからの電力で、強力に吸い、激しく移動し、それをしつこく繰り返して、完全な掃除をするロボットになって欲しいものです。

 学生当時、わたしは二足歩行ロボットの研究をしていたのですが、違う班の友人は「多足歩行ロボットの視覚認知による障害物回避」の研究をやっていました。

 CCD(いわゆるカメラ)で捉えた障害物を、最小の動きで回避するロボットの研究です。

 まあ、もう数十年前の研究ですから、その内容自体は、現在では、すでにチップに吸収されて――つまり最初からその程度の機能が組み込まれたコンピュータチップが存在するでしょうし、なくても、PICなどのプログラマブルチップにプログラムを焼き込めば、比較的簡単に作ることができるでしょう。

 であるのに、そういった、視覚で掃除する対象を見分けるお掃除ロボットが、まだ存在しない。

 カメラという目で見て、「ゴミを確認」し、床に伸びたコードを避けて掃除するマシンなら、まだ信頼はできるのですが、赤外線センサや超音波センサ、いや、それどころか接触センサによって壁などの障害物を避けるだけで、あとは、とにかく隙間なく、まんべんなく床を移動するだけの、今のお掃除ロボットは、到底、実用的だとは思ええません。


 初めて見る方にとって、自動で電源アダプタまで戻って、勝手に充電する機能は、スゴイモノに見えるでしょうが、その技術は、実はそれほどのものではありません。

 技術的に大変なのは、人が、さりげなく行っている行動を真似ることなのですから。

 自動掃除機をみて、たいていの人はこういうでしょう。

「ウチはだめだわ、ものが多すぎるから」

 これが、一般人の本音だと思います。

 わたしも、もしお掃除ロボットを我が家で使ったら、おそらく無数のコードがからまって、掃除機は機能しないと思います。

 この手の掃除ロボの理想型は、攻殻機動隊(ビデオ版)のタチコマのように「多脚型ロボット」で、カメラを搭載し、胴体からゴミ吸引ノズルが伸びていて、ゴミを見つけたらピンポイントでそれを吸い、コードをまたぎ、机の脚をさけ椅子をよけて、すべての場所を掃除しうるロボットです。

 日本の家には、むき出しで、床でのたうつ電源コードが多すぎるのですから。

 フローリングにして、床の隙間に電源コードを通し、完全フラットな床にしないと、この手のロボット掃除機は満足に家をまわることもできません。

 個人的には、まだもう少し「待ち」であると思います。

P.S.
 付け加えると、現在のお掃除ロボットの多くは、二万円ちかくするバッテリーを一年半おきに代えなければならないという、とんでもないランニングコストが必要になります。

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