一杯の珈琲から……
一杯の コーヒーから
夢の花咲く こともある
街のテラスの 夕暮れに
二人の胸の ともしびが
ちらりほらりと つきました
ご存じのように、昭和14年に発売された、作詞:藤浦洸、作曲:服部良一の「歌謡曲」、一杯のコーヒーから、です。
作詞の藤浦氏は、酒が飲めない珈琲党、かたや作曲の服部氏は大のビール党であったため、当初、この歌のタイトルは、「一杯のビールから」であったものを、藤浦氏が「一杯のコーヒーから」に変えてしまった、というのは知る人ぞ知るエピソードです。
昭和14年(1939年)といえば、日本軍がノモンハンを攻撃し、ナチスがポーランドに進行して「第二次世界大戦」が始まった年ですが、一般の市民生活には、まだ戦時色は濃くありません。
歌詞に「テラス」などが使われていることからわかるように、まだ言論統制も行われていないのです。
いや、今日書きたいのは、そういった歴史的な話ではありません。それは、また終戦記念日が近づいたころに譲るとして、本日の話は、上の歌詞が21世紀の現代では、
「一杯の珈琲が 生命を伸ばすこともある」
になる、という話です。
健康に対する珈琲の有用性は、かなり前から知られるようになっていますし、このブログでも、何度かお話したことがあると思いますが、近年、さらにその効能が明らかになってきました。
一般に、ガンは細胞内遺伝子の劣化、あるいはコピーミスで異常細胞が増殖してしまう病気です。
その予防には、緑茶がよいとされています。
たとえば、女性の胃ガンや進行前立ガンのリスク軽減、特に女性にとっては、カテキンの血中濃度が高ければ高いほど、胃ガンを予防する効果が高いとされます。
しかし、緑茶の効能は限定的です。
その点、珈琲は、肝臓ガン、膵臓ガン、大腸ガン、子宮体ガンなど、緑茶の効かないガンを予防する可能性があります。
男性の場合、珈琲を1日3杯以上飲む人は、脾臓ガンにかかるリスクが4割下がるというデータがあるのです。
肝臓ガンにいたっては、もっと顕著な効果が報告されていて、珈琲をほぼ毎日飲む人は、男女とも肝臓ガンのリスクが半減します。
一日の摂取量が増えるほど発生率が低下し、1日5杯以上飲む人の肝臓ガン発生率は、4分の1まで低下するのです。
近年、多くのガンが、遺伝子異常やストレスによるものではなく、ウイルスの作用によって発生することが分かってきました。
ご存じのように、肝臓ガンの9割以上は、B型あるいはC型のウイルス性肝炎が原因で発症します。
珈琲は炎症を和らげる作用があるため、肝炎の進行が抑えられ、結果、肝臓ガンを予防しているのではないかと考えられています。
かつては、ウイルス性肝炎患者の多くが珈琲を飲まないため、結果的に珈琲を飲む人に肝臓ガンが少ないのではないかと思われていましたが、研究の結果、いまでは、珈琲の有用性は定説になっています。
また、珈琲は、先に述べたように、脾臓ガンや子宮体ガン、大腸ガンなどの、糖尿病、肥満、「運動不足が原因」となるガンを予防する効果も分かってきています。
珈琲は、「実際の運動のように糖の消費を促す」効果があり、量を飲むことで、血糖値を下げる作用のある「インシュリン」(かつてはドイツ語読みのイン「シュ」リンであったのが、いつのまにやら、アメリカ主導のイン「ス」リンに変わっているのは気味が悪いですね)を、大量分泌する必要がなくなるのです。
インシュリンは、上記タイプのガンを増殖させることが知られているので、珈琲の摂取は、ガン予防にも糖尿病予防にも有効であると思われます。
もちろん、珈琲にもリスクがあります。
飲み過ぎると、不眠症や胃潰瘍、膀胱ガンのリスクを増やす可能性があるのです――が、
わたしは、珈琲を1日30杯以上飲む生活を40年近く続けていますが、一向にその気配はないですね。
もちろん、スターバックスなどの「北米っぽい雰囲気系珈琲好き」な女性が、店内で意味不明に書類やベンキョードーグを広げて、「スタバで仕事してるっぽい自分がスキ」とばかりに自己陶酔しつつ、砂糖まみれ&ミルクまみれのジュース珈琲を毎日大量に飲んでいると、糖分と同時に脂肪分を過剰摂取してガンのリスクは高くなるでしょう。パイと見まがう「巨大なスコーン」を同時に食べれば肥満もする。
え、悪意を感じました?
そんなつもりはないのですが……
しかし、ああいった「雰囲気カフェ」が流行ることで、本当に美味い珈琲を飲ませる喫茶店が減っていくのを見続けること十年あまり――
忸怩(じくじ)たる思いを消すことができないのですね。
願わくば、あの店と、あの店とあの店だけは、つぶれないでくれよ――と。
「健康のために飲む」珈琲の飲み方の基本は、何も入れないことです(いれるとしても、胃への刺激をへらすための低脂肪ミルク程度で)。
やはり、
1.嗅ぎ
2.嘗め
3.シュガー
が本則ですね(わたしは砂糖をいれませんが)。
もちろん、酸化した珈琲など毒物と同じですから、できれば自家焙煎して飲みたいものです。
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