千変万化、伝聞推定 ~ペリーの顔・貌(かお)・カオ 特別展~
いま、神奈川県立歴史博物館で、
「ペリーの顔・貌(かお)・カオ -「黒船」の使者の虚像と実像-」
が8月26日まで開かれています。
わたしは、観にいっていないのですが、これがなかなか面白そうです。
黒船に搭載された近代兵器の武威(ぶい)におされ、恐怖心で開国してしまった江戸幕府。
1853年の黒船来航のおり、その代表者である「ペルリ」は、憎しみと恐怖心と伝聞と推定によって、種々雑多、様々に描写されました。
もちろん、ペリーの写真は残っているのですが、
それが、
こんなふうに描かれてしまうのですね。
なにせ、幕府に無理矢理、日米和親条約を結ばせた怪人?です。
人々の関心も高く、皆が彼の人とナリ(おもに顔かたち、姿ですが)を知りたがった。
皆が知りたがったら、お金になります。
よって、様々な人が彼を描く。
実写、想像、模写から模写を重ねたペリー像は、本当に多種多彩です。
その描く側の心情、恐怖心や憎しみによって、ただのいちアメリカ人であったペリーは様々に「魔神化」していきます。
鼻が天狗のようなペリーもいれば、役者や力士のように柔和な大男の時もある。
まったく、昔の人は仕方がないねぇ。
今からすれば、情報源が瓦版しかなかった幕末の人々などは、情弱(じょうじゃく)=情報弱者の極み。
しかし、ちょっと待ってください。
今でも、このような「情報操作」は、よく行われていると思いませんか?
人を連写すれば、どんな美人でも醜い一瞬があり、どんなに凡庸な人でも美しく見える瞬間がある。
例えば、マスコミが、評判を貶めたい政治家、例えば黒い噂のある若い実業家――
彼らの写真は、わざと、アングルも表情も悪いニンゲンにしか見えない瞬間を撮影したものが使われているように思えるときがあります。
情報を発信する側は、ある人物の印象を、記事に同時掲載する「写真の選び方」で、良くも悪くも変えることができるのです。
例えば、記事は、ただ事実を伝えるだけのものにして、悪相の写真をつかうことで人々に悪い印象をすり込むことができるのですから。
そういった、現代にも通じる「幕末の情報操作」として、ペリーの顔を見比べるのも、この特別展の面白さかもしれません。
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