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2012年7月28日 (土)

空耳 「ソラミミ」ではなく「カラミミ」

 音楽、特に洋楽などを聞いていると、本来英語なのに、まるで日本語の歌詞のように聞こえることがありますね。

 つまり、本来の意味と違う単語に聞こえる。

 ご存じのかたも多いでしょうが、これを「空耳」、ソラミミと呼びます。



 しかし、わたしが今日、書こうとしているのは、「ソラミミ」ではなく「カラミミ」です。

 漢字は同じですが、読みが違う。

 その意味は――

 なんだか、歌手は、元気に一所懸命(「一生懸命」はわたしにはできません。一所=ココだけ頑張るコトは可能でも、一生なんて長いスパンは、とても頑張れない)、陶酔して歌っているけれど、何をいっているのか歌詞がワカラナイ。

 英語でも日本語でも、今まで分かっていた歌詞が、その部分だけ突然宇宙語のように理解不能になるのですね。

 どんなものかと言いますと

 伊丹十三が伊丹一三と名乗っていた時に書いた「ヨーロッパ退屈日記」の中に、「湯煙の立つや夏原……」というエッセイがあります。


 その中で、彼は、海外の放送局(リュクセンブルグ放送局)で、何気なく歌番組を聞いていたら、「ルイジアナ・ママ」がかかった、それを聞いて、ハタと膝を打つのです。

 積年の疑問が氷解したと。

 かつて、ロカビリーが流行った時に、多くの曲に、日本語歌詞がつけられ、和製ロカビリー歌手によって歌われました(さすがに、わたしもリアルタイムで、その時代は知りませんが)。

 ルイジアナ・ママは、こんな感じです。

 伊丹氏が、歌詞カードではなく、耳で聞き取るままに、こう記述しています。

 (前略)
 ビックリギョーテン ウチョーテン
 コロリトイカレタヨ
 マールイジアナママ
 ロニオリ

 英語らしく聞こえるようにと、苦肉の発音がわかるような歌い方ですが……

 問題は、最後のロニオリです。

 かつて、伊丹氏と友人達は、この「ロニオリ」について、大論争をしたそうです。

 オリオリ、というやつがいた、ロリオリ、フォリオリ、というやつもいた。
 いや、あれはノリオリだ、といってきかないやつもいる。

 その謎を、この日本を遠く離れた地で、彼は解いたのですね。

 フロム・ニュー・オールリンズであったと。

 まあ、これは「カラミミ」としてのレベルは低い方です。

 なんせ、外国語の歌詞を無理矢理日本語と混ぜて作詞したものですから。

 もう少し、レベルを上げてみましょう。

 作家の沢木耕太郎氏が、そのエッセイの中で、子供の頃、童謡、唱歌の浦島太郎に、わからない歌詞があったと語っています。

 浦島太郎といえば、こんなのですね。

 むかしむかし浦島は
助けた亀に連れられて
龍宮城へ来て見れば
絵にもかけない美しさ

 乙姫様のごちそうに
鯛やひらめの舞踊り
ただ珍しく面白く
月日のたつのも夢のうち

 遊びにあきて気がついて
おいとまごいも そこそこに
帰る途中の楽しみは
みやげにもらった玉手箱

 カエッテミレバ コワイカニ


 この、最後の行ですね。

 帰ってみれば、怖いカニ

 巨大なカニが、グラサンかけて(イメージ図)、カツアゲでもしてきたのでしょうか?

「おう、兄ちゃん、エエ箱持ってるやんか、ちょっとこっちにちょうだい」

てな具合に。

 もちろん、そんな意味ではなく、

実際は、

 帰って見れば こはいかに
元居た家も村も無く
みちに行きあう人々は
顔も知らない者ばかり

 心細さに蓋取れば
あけて悔しき玉手箱
中からぱっと白けむり
たちまち太郎はおじいさん

 となって、よく我々の知る「浦島太郎」のお話になるのです。

 漢字仮名交じりでかけば、一目瞭然(ですよね)

 帰ってみたら、こは如何に?(これはどうしたことか?)

 でした。

 で、わたしも、昨日、あらたに、カラミミを見つけたのです。

 テレビだったか、ラジオだったかで、何気なく曲を聴いていて、伊丹氏のように、突然分かったのです。

 天啓!と呼べるほどにイキナリ。

 それは、フランク永井氏の「公園の手品師」

 昭和三十年の曲だそうですから、もちろん、リアルタイムでは知りません。

   でも、なんとなく、曲自体は聞いたことがありました。

 しかし、いつも、さびの部分が、どうしても分からなかったのです。

 今ならネットで調べれば、すぐ分かるのでしょうが、絶対に調べてやる、と思うほどでもなかったためか、今まで放置していたのですね。

 

 問題の部分は、サビです。

 「銀杏(いちょう)は手品師 オーイータァフィエロゥ」

 フランク氏の低音ボイスと相まって、なんとなく洒落てて、ラテン語ではないかと思っていたのですね。

 なんというか、外国の手品師が話す、異国のかけ声だと……

 それが、何のことはない、純粋な日本語!

 まさに、カラミミ恐るべし、です。


 みなさんも、何かご存じであれば、カラミミをお教えください。

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