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2012年7月17日 (火)

ちょっと出張してきます、宇宙へ

 コミック(アニメ)「宇宙兄弟」の影響なのか、近頃、よくJAXAがらみの宇宙飛行士の記事が気になります。


 宇宙飛行士と聞くと、その仕事は国家の威信、世界のため、人類のため、などと大きく考えがちですが、彼らもまた、宇宙へ行く訓練を受け、技術を磨くことで給料を受け取るサラリーマンの一種なのです。

 サラリーマンであるなら、仕事の関係で、当然出張もある。

 ある時はフロリダで訓練をうけ、ある時はワシントンに挨拶に行く、といったような。

 アメリカは広いために、ちょっとした移動も飛行機で行うことが多く、その距離も100キロ単位です。

 日本人宇宙飛行士、古川聡氏は400キロの出張を命じられます。


 400キロというと、東京から西への出張ならば名古屋あたり、大阪から西の出張なら広島あたりです。

 でも、真上に400キロなら――


 国際宇宙ステーションになります。

 今回、御紹介するのは、古川聡氏他著の『宇宙へ「出張」してきます』(毎日新聞社)です。

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 古川氏は、12年間の訓練の後、167日間の「宇宙出張」に行きました。

 その内容がつづられた本書は、非常に興味深い内容となっています。

 少し内容を紹介すると、

 国際宇宙ステーションの「床面積」は、ジャンボ・ジェット機の1.5倍程度であるものの、無重力状態により天井も壁も食卓やベッドにすることができるため、想像以上の住居面積となります。

 当然、館内?は禁酒禁煙。

 よく知られているように、長く無重力状態に置かれると、人の体は様々に変化します。

 代表的なものが、骨密度や筋力の低下です。

 肉体と精神が『宇宙仕様』となってしまい、『出張』から帰ると「気分が悪くなる」(地球酔い?!という)のだそうです。

 また、鉛筆を重く感じ、座ると尻が痛くなり、風呂に「湯を張る」l行為つまり「水が下に落ちて溜まる現象」が新鮮に見えるそうです。


 医師である古川氏は、そういった「宇宙化」した自分が、地球に帰って、徐々に「地球化」していく過程を、自身おもしろがりながら克明につづっています。

 もちろん、宇宙は「本来、人間が行ってはいけない場所」と、思えるほどにヒトを拒絶する危険に満ちた場所ですから、「出張」は楽しいことばかりではありません。

 氏も、ステーションを破壊しかねない大きな宇宙ゴミ(古い人工衛星のカケラだとか)が330メートル(つまり、ごくごく近くです)に近づいた時には、帰還船に一時待避したそうです。

 それでも、ハッチを閉めて避難し、「デブリ(宇宙ゴミ)が見えるかな」とジョークを交わす余裕を見せる、そんなタフな精神をもつ宇宙出張者(アストロノーツ)の姿を、彼は描写しています。

 今後、民間も含め、おそらく日本人の「宇宙出張」は増えるでしょう。

 十数年後には、冗談ではなく、

 「出張?行き先は月ですね」

 と、いう時代になるのかもしれません。

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