« 音が光で光が音で ~スクリャービン・プロメテウス~ | トップページ | 音で聴く小説:ラジオドラマ「アース・ノッカーズ」 »

2012年5月25日 (金)

いつの間にか変わってしまった ~金環食から金環日食へ~

 かつて、「金環蝕」という言葉がありました。

 久米正雄の小説(昭和10年)のタイトルでもあります。

 「金環蝕」は「金環食」の代用表記でした。

 「金環食」は天文用語で、おそらく今なら皆さんご存じの、今朝あったばかりの「あの現象」のことですね。

 それが、いつのまにか、ほとんどのマスコミが「金環日食」という言葉に変えて表現するようになりました。

 よくわからないのですが、天文関係の方から、そう呼ぶべきだ、というような指示があったのでしょうか?


 あるいは例によって、NHKが「我々こそが日本のコトバを是正する」と考えて、その言い方を広めようとした結果でしょうか?

 前にも書いたことがありますが、かつてNHKがスペイン「アルハンブラ」宮殿についての特集をした時のことです。

 生放送の番組の冒頭で、アナウンサーが「これまではアルハンブラ宮殿と呼ばれていましたが、NHKでは今後、正確な発音に則して『アランブラ』と呼ぶことにします」と高らかに宣言したものの、直後に登場したアランブラの専門家教授が、常に『アルハンブラ』を連呼する上に、宣言したアナウンサーまでが、それにつられて『アルハンブラ』と呼んでいて、大爆笑をした覚えがあります。

 最近では、ほぼNHKだけが頑固に言い続けている奈良県の「堰止め湖」があります。

 専門家ですら「土砂ダム」と呼ぶことが多いのに、NHKは、断固「堰止め」派。

 近頃は、それに洗脳?されて、多くの人が「堰き止め湖」を使うようになっています。

 これで誰かが「洗脳終了」とほくそえんでいるのでしょうか?わからないなぁ。



 それより、アナウンサーが使う、元工学関係者用発音:イントネーションを前、カタカナ単語の最後の長音記号を取る「データー」→「データ」といった気持ちの悪い発音をやめて、(せめてアクセントだけは)ネイティブに近いものにした方が良いと思うのですが……



 まあ、ともかく今回の「金環蝕」

 自営業の役得、早起きしてじっくり観察することができました。

 写真にも撮りました。

 数年前に買っていた「遮光度番号13番使用」の太陽遮光グラスを一眼レンズの前に当てて撮ったのですが、あまりうまく撮れません。

 こんな感じでした。

Kinkan01_2


 

 金環状態になって、太陽光が少なくなった時に、思い切って遮光板を外して撮影したのがこれ↓です。

Kinkan02_2



 これは、なかなか美しかった。


 しかし、わたしが感動したのは、金環状態になった時の周囲の風景でした。
 自宅のベランダで観測していたのですが、振り返って撮った景色がこれ↓です。

 日食状態になる前後から、なんだか肌寒く感じ初め、この写真と撮った時は、鳥肌がたつほどひんやりしていました。

Kinkan3_2




 不思議な色合いです。


 かつて、星新一氏のUSAヒトコマ漫画紹介本「進化した猿たち」 においては、「無人島に漂流した男」「精神科医にかかる男」と並んで、「人食い族に食べられる瞬間、日食になった!」が1大ジャンルを形成していましたが、その気持ちが、なんとなく分かる映像です。

 科学に疎い人々が、蝕を恐れる理由がわかります。

 「どうして、そう見えるのか」が分かっていても、この微妙に非現実的な色彩の世界には違和感を感じる。

 いやぁ、良いものを見せていただきました。

 赤道直下(つまり偏見で人食い族がいると思われている地域)ならば、比較的回数の多い皆既日食、金環食ですが、日本の、自宅で見られるというのは希有のことがらです。

 前回は1000年ほど前だったそうですから。

 ともかく、薄雲はありましたが、わたし以外のヒトの善行のおかげで、無事に金環蝕を体験することができました。

 申し訳ないのは、わたしのおかげで、薄雲がかかってしまったことです……



 金環蝕、金環日食、呼び名は勝手に人が作ったものです。

 現象自体に変わりがあるものではありません。

 実際に眼にするまでは、拙文冒頭に書いたような、反抗心もありましたが、いざ眼にしてしまうと、そんな気分は吹っ飛んでしまいました。

 本当に、今日の佳き日に、というか良い天気に感謝しています。
 

|

« 音が光で光が音で ~スクリャービン・プロメテウス~ | トップページ | 音で聴く小説:ラジオドラマ「アース・ノッカーズ」 »

森羅万象気になること」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/159899/54797304

この記事へのトラックバック一覧です: いつの間にか変わってしまった ~金環食から金環日食へ~ :

« 音が光で光が音で ~スクリャービン・プロメテウス~ | トップページ | 音で聴く小説:ラジオドラマ「アース・ノッカーズ」 »