もし原作を知らずんば…… ~峰不二子という女~
今、毎水曜深夜に、怪しげなアニメが放映されています。
その名も「LUPIN The Third 峰不二子という女」 公式サイトhttp://fujiko.tv/
あの、ルパン三世からスピンオフしたアニメです。
主役は峰不二子ですから、ルパンが出ない週もあります。
現在のところ、第四回まで放映されています。
登場キャラクターで紹介すると、
一話 ルパン
二話 次元大輔
三話 石川五右衛門
四話 銭形警部
一話では、若きルパン三世との初めての出会いを描き、
二話では、次元大輔の恋の現場に居合わせ
三話では、五右衛門の斬鉄剣に服を切り裂かれ
四話では、ファントム オブ オペラをモチーフに、銭形警部との絡みを描く。
観始めると、まずオープニングでドギモを抜かれます。
さすが深夜番組。「嵐が丘」のモノローグをバックに、全裸の峰不二子が駆け回るエロティックさ。
内容も、青年誌連載の、モンキー・パンチ原作のルパン三世に近いテイストとなっています。
だから、もちろん、峰不二子は、『女の武器』を使いまくり!
女流監督の作品ですが、男が描いたら、「ステロタイプの女性観」「女性蔑視」と叩かれかねないほどの内容です。
登場する男たちも、その誰もが「女に弱い」(性的な意味で)キャラクターになっています。
例えば、銭形警部などは、オコチャマ用にデフォルメされた赤ジャケ(ット)ルパンでは、女性が苦手なタイプに描かれていましたが、第四話では、不二子と性的関係を持つ描写すらされているのですね。
これは、特に赤ジャケ・ルパンファンにはつらいものがあるでしょう。
ファースト・シーズンの緑ジャケ(ット)ルパンを知っている方なら、五右衛門が、すっかり不二子の色香に騙されて「不二子ちゃん」などと言っても、違和感なく聞くことができるでしょう。
なんせ、五右衛門登場の回では、「不二子ちゃんはそれがしのガールフレンド」などと言っているくらいですから。
しかし、大塚周夫版五右衛門でなく、井上真樹夫五右衛門のファンだと、それは許せないでしょうね。
次元大介だけが、かろうじてTVアニメの性格を保っているように見えます。
作品の雰囲気は、ファースト・シーズンに似た無国籍なテイストで、好感がもてますし、陰影がついた画面も、個人的には好みです。
銭形が「昭和ヒトケタ人情派」ではなく、非常な感じなのも良いですし、彼を慕う美形の青年もイイ感じです。
ストーリーも、第三話はともかく、その他のものは、なかなかヒネリが効いていて面白い。
第四話のファントムも、映画「ファントム オブ パラダイス」に似た仮面を被っているうえ、最後のどんでん返しも悪くないように思えました。
四話までで、一通りメイン・キャラクターの顔見せが終わったため、五話以降を、どういう展開にもっていくのかが楽しみです。
とにかく、もし原作を知らなければ、今回のアニメ化で突然ルパン三世のメイン・キャラクターたちの性格が変わった、なんでこんなバカなものをつくるのか、と怒り出してしまうかもしれませんが、個人的には、こういったアダルト感の豊かなアニメは好きです。
実は、私は、ルパンのファースト・シーズンの始まった日のことを覚えてます。
当時は、まだ子供だったのですが、その日の新聞のテレビ紹介欄に、はっきりと「大人のアニメあらわる」と書かれていたのです。
つまり、ルパン三世は、もともと、こういったテイストの「大人のアニメ」だったのですね。
その意味で、今回の「峰不二子という女」は、正統な先祖返り作品といえるのかもしれません。
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