ダメな兄貴とトンデル弟 ~宇宙兄弟~
名前のとおり、これは兄弟の話である。
さらにタイトルのとおり、二人は宇宙を目指している。
子供の頃、共にUFOを目撃し、それをきっかけに宇宙を目指した兄弟。
しかし、20年を経て、二人の立場は大きく違ったものになっていた。
兄ムッタは、大手自動車会社に務めていたものの、上司に頭突きをカマして馘首(クビ)に、弟ヒビトは、NASAで、月面基地を作るライトスタッフ(恵まれた資質)として、研修中。
これは痛い。現実によくある話であるから。
幼い頃は、数年の年の差が、無限とも思える能力の差を生む。
だから、わずか三年ばかり年長でも、兄は万能の兄として、弟を指導し叱咤できる。
しかし、やがて、二人が成長し、数年の年の差が、あまり関係なくなったころ(原作で中学生になった頃)になると、純粋に能力差によって、二人の間に差が出来てしまうのだ。
作者の小山宙哉は、作中で、「弟に追い越されてしまった」兄の悲哀をコミカルに描きつつ、それが純粋な能力差ではなく、常に弟を指導する万能者としての兄たろうとするあまり、失敗を恐れ、チャレンジをしなくなってしまったためだ、と説明する。
おそらく、現実にもそういったことは良くあるのだろう。完璧であろうとするあまりの怯懦(きょうだ)が。
コミックは、現在20巻近く出ているが、最初の10巻は、「弟において行かれた」兄の悲哀と、それを取り戻すためにJAXAの宇宙飛行士募集に応募し(というか、弟に勧められ、母親が勝手に志願書を送った)、選抜試験と面接を勝ち上がっていく、兄の成功物語が描かれている。
もちろん、数十歩進んでいる弟は、さらに前を歩き、兄が最終選抜される頃には、日本人で初めて月に立つことになる。
さらにタイトルのとおり、二人は宇宙を目指している。
子供の頃、共にUFOを目撃し、それをきっかけに宇宙を目指した兄弟。
しかし、20年を経て、二人の立場は大きく違ったものになっていた。
兄ムッタは、大手自動車会社に務めていたものの、上司に頭突きをカマして馘首(クビ)に、弟ヒビトは、NASAで、月面基地を作るライトスタッフ(恵まれた資質)として、研修中。
これは痛い。現実によくある話であるから。
幼い頃は、数年の年の差が、無限とも思える能力の差を生む。
だから、わずか三年ばかり年長でも、兄は万能の兄として、弟を指導し叱咤できる。
しかし、やがて、二人が成長し、数年の年の差が、あまり関係なくなったころ(原作で中学生になった頃)になると、純粋に能力差によって、二人の間に差が出来てしまうのだ。
作者の小山宙哉は、作中で、「弟に追い越されてしまった」兄の悲哀をコミカルに描きつつ、それが純粋な能力差ではなく、常に弟を指導する万能者としての兄たろうとするあまり、失敗を恐れ、チャレンジをしなくなってしまったためだ、と説明する。
おそらく、現実にもそういったことは良くあるのだろう。完璧であろうとするあまりの怯懦(きょうだ)が。
コミックは、現在20巻近く出ているが、最初の10巻は、「弟において行かれた」兄の悲哀と、それを取り戻すためにJAXAの宇宙飛行士募集に応募し(というか、弟に勧められ、母親が勝手に志願書を送った)、選抜試験と面接を勝ち上がっていく、兄の成功物語が描かれている。
もちろん、数十歩進んでいる弟は、さらに前を歩き、兄が最終選抜される頃には、日本人で初めて月に立つことになる。
このコミックが、アニメ化、映画化される理由の一つは、主人公ムッタのヒロイックでない、コミカルな性格と人柄の良さが心地よいのと、おそらくは取材によって得られた「現実に則したであろう」宇宙飛行士の選抜試験が興味深く、実生活に活かせる教訓に満ちたものであるからなのだとわたしは思う。
そう「宇宙兄弟」は、啓蒙書の一面を持っているのだ。
そして、内容自体は、「何者でもなかったひとりの挫折者」が、再び立ち上がり、栄光を勝ち取っていく成功物語でもある。
いま現在で、コミック17巻が発売されているが、この時点で、弟ヒビトは、宇宙飛行士として挫折の危機に瀕している。
兄は例によって、まだ弟の数十歩後を歩いている、が着実にアストロノート(宇宙飛行士)としての道を進み続けている。
この先、物語がどこまでいくかはわからない。
月面基地の建設を兄弟で行う場面で終わるのか、さらにその先の、有人火星探査の入り口まで描くのか。
一瞬の不運と油断が死を招く、危険なシーンが連続する宇宙空間が舞台だ。
願わくば、兄弟のうち、どちらも欠けることなく無事に地球に帰って来て欲しい。
そう思わせる、作者の魅力的なキャラクターはさすがである。
どうか、トボケタ味のエリートたちをうまく描き続けることを祈りたい。
そう「宇宙兄弟」は、啓蒙書の一面を持っているのだ。
そして、内容自体は、「何者でもなかったひとりの挫折者」が、再び立ち上がり、栄光を勝ち取っていく成功物語でもある。
いま現在で、コミック17巻が発売されているが、この時点で、弟ヒビトは、宇宙飛行士として挫折の危機に瀕している。
兄は例によって、まだ弟の数十歩後を歩いている、が着実にアストロノート(宇宙飛行士)としての道を進み続けている。
この先、物語がどこまでいくかはわからない。
月面基地の建設を兄弟で行う場面で終わるのか、さらにその先の、有人火星探査の入り口まで描くのか。
一瞬の不運と油断が死を招く、危険なシーンが連続する宇宙空間が舞台だ。
願わくば、兄弟のうち、どちらも欠けることなく無事に地球に帰って来て欲しい。
そう思わせる、作者の魅力的なキャラクターはさすがである。
どうか、トボケタ味のエリートたちをうまく描き続けることを祈りたい。
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