« 2012年3月 | トップページ | 2012年5月 »

2012年4月

2012年4月30日 (月)

志村ぁ~うしろーじゃない!  ~ドリフターズ~

 今回は「ドリフターズ」について書きます。

 ドリフターズといっても、「志村ぁうしろー」のドリフではありません。

 ズッコケ(ドリフト)ではなく、この世界から、漂流(ドリフト)させられた漂流者(ドリフターズ)=歴史上の有名人たちが、エルフ(妖精)の暮らす世界で闘う話です。

 漫画家、平野耕太が月刊漫画雑誌『ヤングキングアワーズ』に、2009年6月号から連載していて、いまコミックスが二巻でています。

Photo

  内容について、もう少し詳しく書きましょう。

 エルフの暮らす異世界に流れ着くものには、大別して二種類の人種がいて、そのひとつが「漂流者(ドリフターズ)」と呼ばれ、他方が「廃棄物(エンズ)」と呼ばれています。

 ドリフターズとして流れてくるものは、闘って死んだものの、それなりの充実感を持っていたものが多く、エンズとしてやってくるのは、晴らしきれない恨みを抱えて死んでしまったものがほとんどです。

 つまり、ドリフターズは、戦士としての矜持(プライド)をまだ持ち続けている者たちで、エンズは、人を世界を憎みきっている魔物に近い者たちなのです。

 例)
 ドリフターズ:織田信長、那須与一
 エンズ:ジャンヌ・ダルク、土方歳三、ジルドレ、アナスタシア、ラスプーチン

 え、織田信長と那須与一?

 いやいや、それどころか、ハンニバルとスキピオまでいるんですから、ドリフの世界は歴史の偉人オール・キャストといった様相を呈しています。


 ストーリー的に、主人公は関ヶ原で死んだ島津豊久です。

 戦いに傷つき、戦場を彷徨っているうち、急に闇と霧に包まれ、気がつくと、異境の世界にいたというわけです。

 その豊久を助けたのが、同じドリフターズである、那須与一(女性と見まがうばかりの美貌)と本能寺で隻眼となった信長でした。

 この信長のキャラクターが特に良いんですね。

 魔王と恐れられたあげく、家臣に裏切られ謀殺された彼を、呪いの塊であるエンズではなく、ドリフターズとして扱うところに、作者のセンスの良さが感じられます。

 その上、「俺は何もかも自分でやろうとして失敗してここにいる、だから、俺たちの大将はお前がなれ」と、トップの座を豊久にゆずり、自分は参謀としてドリフターズとエルフの軍隊を動かすのです。

 歴史上の著名人物を集めた「オール・スターキャスト」で、何かをさせる、というのは、モノ書きなら誰でも一度は思いつきますが、それを魅力的に書くのは、なかなか難しいものです。

 それを、作者は、主人公を島津豊久という、まあ、あまり我々の記憶にない(知る人ぞ知る)侍に設定し、(実は本当に描きたい)織田信長をワキにまわして好きに動かし、読む者を飽きさせないストーリー展開にすることに成功しています。

 ちょっと、デフォルメしましたが、上の画像を見てもわかるように、洋服に近い赤色の島津の戦闘服に身を包んだ豊久が、弓の名手として名高いエルフたちを遙かにしのぐ、天才射手の美形、那須与一や、魔王信長を従えて、怒りと憎しみと呪いの塊になっているエンズたちと合戦を繰り広げるストーリーは、かなり魅力的です。

 というわけで、「ドリフターズ」

 話としては、まだまだ序盤ではありますが、うまくすると、この先、魅力的な異世界群雄割拠モノ?の作品に化ける可能性があると楽しみにしている作品です。

 みなさんも、一度、お読みになってはいかがでしょうか?

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年4月29日 (日)

もし原作を知らずんば…… ~峰不二子という女~

280

 今、毎水曜深夜に、怪しげなアニメが放映されています。

 その名も「LUPIN The Third 峰不二子という女」    公式サイトhttp://fujiko.tv/

 あの、ルパン三世からスピンオフしたアニメです。

 主役は峰不二子ですから、ルパンが出ない週もあります。

 現在のところ、第四回まで放映されています。

 登場キャラクターで紹介すると、

 一話 ルパン
 二話 次元大輔
 三話 石川五右衛門
 四話 銭形警部

 一話では、若きルパン三世との初めての出会いを描き、
 二話では、次元大輔の恋の現場に居合わせ
 三話では、五右衛門の斬鉄剣に服を切り裂かれ
 四話では、ファントム オブ オペラをモチーフに、銭形警部との絡みを描く。

 観始めると、まずオープニングでドギモを抜かれます。

 さすが深夜番組。「嵐が丘」のモノローグをバックに、全裸の峰不二子が駆け回るエロティックさ。

 内容も、青年誌連載の、モンキー・パンチ原作のルパン三世に近いテイストとなっています。

 だから、もちろん、峰不二子は、『女の武器』を使いまくり!

 女流監督の作品ですが、男が描いたら、「ステロタイプの女性観」「女性蔑視」と叩かれかねないほどの内容です。

 登場する男たちも、その誰もが「女に弱い」(性的な意味で)キャラクターになっています。

 例えば、銭形警部などは、オコチャマ用にデフォルメされた赤ジャケ(ット)ルパンでは、女性が苦手なタイプに描かれていましたが、第四話では、不二子と性的関係を持つ描写すらされているのですね。

 これは、特に赤ジャケ・ルパンファンにはつらいものがあるでしょう。

 ファースト・シーズンの緑ジャケ(ット)ルパンを知っている方なら、五右衛門が、すっかり不二子の色香に騙されて「不二子ちゃん」などと言っても、違和感なく聞くことができるでしょう。

 なんせ、五右衛門登場の回では、「不二子ちゃんはそれがしのガールフレンド」などと言っているくらいですから。

 しかし、大塚周夫版五右衛門でなく、井上真樹夫五右衛門のファンだと、それは許せないでしょうね。

 次元大介だけが、かろうじてTVアニメの性格を保っているように見えます。

 作品の雰囲気は、ファースト・シーズンに似た無国籍なテイストで、好感がもてますし、陰影がついた画面も、個人的には好みです。

 銭形が「昭和ヒトケタ人情派」ではなく、非常な感じなのも良いですし、彼を慕う美形の青年もイイ感じです。

 ストーリーも、第三話はともかく、その他のものは、なかなかヒネリが効いていて面白い。

 第四話のファントムも、映画「ファントム オブ パラダイス」に似た仮面を被っているうえ、最後のどんでん返しも悪くないように思えました。

 四話までで、一通りメイン・キャラクターの顔見せが終わったため、五話以降を、どういう展開にもっていくのかが楽しみです。

 おそらく、他のキャラクター同士の邂逅(であい)を描くのだとは思いますが。

 とにかく、もし原作を知らなければ、今回のアニメ化で突然ルパン三世のメイン・キャラクターたちの性格が変わった、なんでこんなバカなものをつくるのか、と怒り出してしまうかもしれませんが、個人的には、こういったアダルト感の豊かなアニメは好きです。


 実は、私は、ルパンのファースト・シーズンの始まった日のことを覚えてます。

 当時は、まだ子供だったのですが、その日の新聞のテレビ紹介欄に、はっきりと「大人のアニメあらわる」と書かれていたのです。

 つまり、ルパン三世は、もともと、こういったテイストの「大人のアニメ」だったのですね。

 その意味で、今回の「峰不二子という女」は、正統な先祖返り作品といえるのかもしれません。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年4月28日 (土)

ダメな兄貴とトンデル弟 ~宇宙兄弟~

Utyuu

テレビアニメ            http://www.ytv.co.jp/uchukyodai/
 名前のとおり、これは兄弟の話である。

 さらにタイトルのとおり、二人は宇宙を目指している。


 子供の頃、共にUFOを目撃し、それをきっかけに宇宙を目指した兄弟。

 しかし、20年を経て、二人の立場は大きく違ったものになっていた。

 兄ムッタは、大手自動車会社に務めていたものの、上司に頭突きをカマして馘首(クビ)に、弟ヒビトは、NASAで、月面基地を作るライトスタッフ(恵まれた資質)として、研修中。

 これは痛い。現実によくある話であるから。

 幼い頃は、数年の年の差が、無限とも思える能力の差を生む。
 だから、わずか三年ばかり年長でも、兄は万能の兄として、弟を指導し叱咤できる。

 しかし、やがて、二人が成長し、数年の年の差が、あまり関係なくなったころ(原作で中学生になった頃)になると、純粋に能力差によって、二人の間に差が出来てしまうのだ。

 作者の小山宙哉は、作中で、「弟に追い越されてしまった」兄の悲哀をコミカルに描きつつ、それが純粋な能力差ではなく、常に弟を指導する万能者としての兄たろうとするあまり、失敗を恐れ、チャレンジをしなくなってしまったためだ、と説明する。

 おそらく、現実にもそういったことは良くあるのだろう。完璧であろうとするあまりの怯懦(きょうだ)が。

 コミックは、現在20巻近く出ているが、最初の10巻は、「弟において行かれた」兄の悲哀と、それを取り戻すためにJAXAの宇宙飛行士募集に応募し(というか、弟に勧められ、母親が勝手に志願書を送った)、選抜試験と面接を勝ち上がっていく、兄の成功物語が描かれている。

 もちろん、数十歩進んでいる弟は、さらに前を歩き、兄が最終選抜される頃には、日本人で初めて月に立つことになる。
 このコミックが、アニメ化、映画化される理由の一つは、主人公ムッタのヒロイックでない、コミカルな性格と人柄の良さが心地よいのと、おそらくは取材によって得られた「現実に則したであろう」宇宙飛行士の選抜試験が興味深く、実生活に活かせる教訓に満ちたものであるからなのだとわたしは思う。

 そう「宇宙兄弟」は、啓蒙書の一面を持っているのだ。

 そして、内容自体は、「何者でもなかったひとりの挫折者」が、再び立ち上がり、栄光を勝ち取っていく成功物語でもある。

 いま現在で、コミック17巻が発売されているが、この時点で、弟ヒビトは、宇宙飛行士として挫折の危機に瀕している。

 兄は例によって、まだ弟の数十歩後を歩いている、が着実にアストロノート(宇宙飛行士)としての道を進み続けている。

 この先、物語がどこまでいくかはわからない。

 月面基地の建設を兄弟で行う場面で終わるのか、さらにその先の、有人火星探査の入り口まで描くのか。

 一瞬の不運と油断が死を招く、危険なシーンが連続する宇宙空間が舞台だ。

 願わくば、兄弟のうち、どちらも欠けることなく無事に地球に帰って来て欲しい。

 そう思わせる、作者の魅力的なキャラクターはさすがである。

 どうか、トボケタ味のエリートたちをうまく描き続けることを祈りたい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年4月25日 (水)

「蒼い虎」

これも、以前に小説形式でここにアップした作品のラジオドラマです。

 人里離れた谷間で暮らす四人の男女。

 彼らは、それぞれに秘密をもってこの谷に移り住んでいたのだ。

 だが、ある夜、ひとりの男の何気ない会話から、彼らのもっと大きなナゾが姿をあらわしてしまう。

 ミステリですが、分類すればSFです。

 意外?にSF感の良く出た作品に仕上がっているのでお聞き下さい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

「遠雷」

 お銀は、若いながらも天才といわれた女スリで、女ばかりのスリ集団を束ねる頭領だ。

 ある日、手下の一人が大川に身を投げて入水(じゅすい)自殺をした。今まで行った大仕事を記した書き付けを、敵対するスリ集団の頭領おさとに奪われたためだ。
 おさともお銀同様、天才とよばれる女スリだ。

 お銀は、天才スリの名をかけて、不可能といわれている「天才的なスリから、財布をスル」ことを決意する.........

 自作小説に置いてある原作「遠雷」をラジオドラマ化した作品です。

 どうかお聞きください。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

「昨日見た夢 今日流す涙」

 いやあ、やりました。

 「昨日見た夢 今日流す涙」ラジオドラマ化です。

これは、もう随分以前、自作小説のコーナーに脚本形式でアップしてあった作品ですが、比較的長いためドラマ化は不可能だと思っていました。
 それが、このたび、晴れてラジオドラマになりました。

 自分で書いた原作が、音声のみとはいえ、こういった実体を持つのは嬉しいものですが、個人的に、この作品には思い入れが強いため歓びもひとしおです。

 梗概(こうがい:あらすじ)をもう一度書いておくと、

 中野和季(かずき)は18歳。著名な学者の父とエリートの兄の間で常に劣等感を感じている大学生だ。

 周囲の期待から生き甲斐であった陸上をやめ、猛勉強のあげく名門大学に入学したものの「本当にやりたいこと」ではなかったため、今ではすっかりやる気をなくしている。

 そんな和季の前に、突然、菜摘(なつみ)と名乗る少女が現れる。

 とまどう和季を後目に、彼女は奇妙な言動を繰り返し、やがて自分は五十年先の未来から来たと言い始めるのだった。

 一言でいうと、ちょっと悲しいSFラブストーリーでしょうか。

 ぜひお聞きください。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

その男 ソラノ

以前に、本ブログに掲載した自作小説「謎の男 ソラノ」のラジオドラマです。
      

ラジオドラマ化にあたって、タイトルを「その男 ソラノ」に変更しました。
 例によって、実際に声優さんに演じてもらい、効果音が入ると、文字を読むだけとはまるで違う作品になってしまうのが不思議です。

 大恐慌下のアメリカ、ギャングの暗躍する大都市に現れたひとりの男ソラノ。

 ソラノに伝言を頼まれた少女は、否応なく事件に巻き込まれていく……が、ラストにおけるドンデン返しを楽しんでいただければ光栄です。

(ドラマ中に使われる効果音、BGM、テーマ音楽は、全て音楽工房のオリジナルです)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年4月24日 (火)

優しいロボットが本当の主役 ~月に囚われた男~

 SF映画、特に宇宙空間に出てくるロボットやコンピュータの思考は、だいたいにおいてヒト(主人公)を犠牲にして、より大きい組織、たとえば会社や国の利益になるように働くものが多いようです。

 だから、結果的に、コンピュータは、ヒトに対して、モンスターのように恐ろしい存在になってしまう。

 例えば、ディズニーの「ウォーリー」に出てくる、船を決して地球に向かわせない「オート」のように。


 実のところ、ヒトが宇宙でコンピュータを敵に回すことには、大きな矛盾があります。

 宇宙では、コンピュータの助けなしには、1秒たりと生活をしていけないのですから。



 先に紹介した「ミッション 8ミニッツ」を監督した、デビッド・ボウイの息子、ダンカン・ジョーンズの初監督作品を観ました。

 原題「MOON」、邦題「月に囚われた男」(2009)です。

275



 詳細は、以下の予告ムービーを観ていただくとして、

http://www.youtube.com/embed/pU1tTBKpkIE

 この映画で印象的なのは、主人公の倫理性がとても高いことと、彼とともに月で生活するロボットが、本来の意味で職務に忠実であるという点です。

「わたしの職務は、あなたの世話をすることです」と言い切るロボットは、月面基地を管理している会社を裏切ってまで主人公の味方であろうとします。(声は、あのケヴィン・スペーシーが担当)

 彼(彼女?)は、「2001年宇宙の旅」のHAL9000タイプでなく、「サイレントランニング」のドローンタイプなのですね。

 もっとも、HALは、モノリスによって、進化を巡ってヒトと対決するように強制されていたわけですから、この評価は正しくないかもしれません。

 また、「サイレント~」のドローンは、意思らしい意思を持ってはいませんでしたが。


 映画を観終わって印象に残るのは、コンピュータの忠実さと主人公の高潔さです。

 ラストも、多少の不安材料はあるものの、きれいな終わり方をする映画ですから、観終わってもいやな気分にはなりません。

 分類すると、SFミステリになる作品でしょうが、興味のある方は、そういった細かい点を気にされずに、ご覧になればよいと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

八分間の無限ループ ~ミッション:8ミニッツ ~

277

 以前から気になっていた、「ミッション:8ミニッツ」を観ることができました。
 
 大事故を起こした列車の、事故8分前に現場に行き、犯人を突き止めるというSFサスペンス映画です。

 詳細は公式サイトの予告ムービーでも観ていただくとして……

http://disney-studio.jp/movies/mission8/

 この作品は、テンポもよく、役者も演出も魅力的で、観やすい映画です。

 しかし……


 結論からいうと、悪くないけれど、なんだか釈然としない映画です。

 アリテイにいえば、設定がありきたりで、無理がある話なんですね。


 「脳という牢獄に閉じこめられた人間」というテーマは、漫画家の木城ゆきとが二十年前に「銃夢」で描いていますし……


 だいたい設定に無理が、ありすぎるように思います。

 いや、無理があるのは良いのです。

 少々無理があった方が、ギャグもシャレも面白くなりますし?!

 しかし、無理があり過ぎると、ちょっと気持ちが引けてしまうのですね。


 すでに死んだ男の脳の、死の直前の8分にアクセスして、何が起こったかを読み解く、という話なら分かるのですが、それだと、普通に考えたら、その男が行っていない場所、たとえば列車の後部座席などを主人公が体験できるのはおかしい。

 もちろん、そういった不思議さを、最後の「うれしい、ありえない大どんでん返し」の伏線と考えるなら、それもアリなのかもしれませんが、それなら、このプロジェクトを指揮する、功名心丸出しの博士が、死者の行っていない場所へ、主人公が行ける不思議を、不思議に思わないのが不思議です(わけがわからない表現ですが)

 この表現、映画をごらんになられていない方には分かりづらいと思いますが、ご存じの方なら、分かられるのではないでしょうか?

 人の脳が持つ「能力の不思議さ」によって、あのラストが成り立つのであれば、それは良いのです。

 しかし、そもそも、このプロジェクトが可能になっている時点で、「あり得ないことを、主人公の脳が起こしつつある」ことを、博士たち観察者が、気づかないのが、なんとも不思議に思ってしまうのです。


 もし、博士たちが思うように、死者の記憶をバックアップして、その記憶にアクセスし、事件の全貌を解明するのが今回のミッション、であるならば、主人公がアクセスする学校教師の記憶に、爆弾の設置場所などが存在するはずがないのですから。


 まあ、この映画に関しては、あまり整合性を考えずに、ラストの、ドカンと下げてうわっと持ち上げる、ウッソーを楽しめば良いのかもしれませんがね。



 なんていいながら、監督のダンカン・ジョーンズ(デビッド・ボウイの息子)の一つ前の作品、それの成功があったから、この作品の監督が回ってきたといわれている佳作「月に囚われた男」を続けて借りてしまっているのですから、わたしも、この作品が結構気にいっているのかもしれません。

 しかし、主役のジェイク・ギレンホールは印象的な顔つきをしているなぁ。

 初めは、さして可愛いと思えなかったヒロイン(ミシェル・モナハン)が、どんどんコケティッシュで魅力的に見えてくるし。

 という点も楽しめるので、とりあえず、この週末、観てもいいかも映画に推薦しておきます。


P.S.
 映画を観返してみると、どうやら「特殊なプログラム」によって、主人公は、事故8分前を、自由自在に体験することができるようです。
 そういえば、ヒロインと共に事故直前の駅に降りて、爆発事故を回避したこともありました。
 8分後に研究室に帰ると、やはりヒロインは死んでいたわけですが。

 功名心旺盛な博士が、どのような「プログラム」を作ったのかはわかりませんが、ひとりの男の記憶を用いて、災害を再現している限り、主人公が体験するような自由度の高い行動はとれないと思いますので、SF映画としては、そのあたりが見過ごすことのできない瑕疵になっていると思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年4月23日 (月)

お前がいないとダメだ ~レポゼッション・メン~

278

 世の中には、後味(あとあじ)の悪い映画というものがありますね。
 観終わったあと、なんとも嫌な気分になってしまう映画が。

 例えば「未来世紀ブラジル」、「ミリオンダラー・ベイビー」「シャッター・アイランド」――最近の作品ではフランク・ダラボン監督の「ミスト」に至るまで、後味の悪い映画は、SF、ミステリの区別無く多種多彩です。

 今回、ご紹介する「レポゼッション・メン」も、最低の後味の悪さを持つ映画です。

 これは、2010年の作品ですが、劇場公開の際は、まったく気になりませんでした。
 しかし、レンタルビデオの店頭に並んでからは、なぜか眼についてしかたなくなりました。

 ジュード・ロウは、コールド・マウンテンのような文芸調の作品に出たかと思うと、AIで性機能を持つ、ジゴロ・アンドロイドを演じたり、クローネンバーグ監督の「エグジステンズ」で、生物を利用した奇妙なヴァーチャル・リアリティ世界を逃げる男を演じたり、名作「ガタカ」で下半身不随の遺伝子エリートを演じたりと、ちょっとB級のニオイのするSFの「汚れ役」を好んで演じる、というか、エージェントと共に出演を決めるところがあって、個人的には好きなのです。

 とくに、あのフルフルフルCG(つまり人間以外背景のほとんどがCG)作品、「スカイキャプテン」の製作・主演をしてからは、いつも動向が気になっています(今は、「シャーロック・ホームズ」でワトソンを演じていますね)。

 この「レポゼッション・メン」は、なんとなく不吉な予感がして、長らく借りずにいたのですが、先日、何も観るものが無かったため、ついにレンタルして観てしまいました。

 で、案の定の後味の悪さ。

 それでも、観終わって時間が経つにつれ、この映画の、後味の悪いエンディングとは違う側面が見えてきたので、それについて書いておくことにしました。

 時は近未来、ところはアメリカ。

 SFの描く未来には二つありますね。
 美しく機能的な街と科学的ではあるけれど荒廃してしまった街。
 この映画では、後者の未来が広がっています。
 数度にわたる戦争のために、科学は進んではいるものの、人々の心はすさみ、街にはゴミがあふれている、そんな世界です。

 その世界、未来だけあって医療技術は発達しています。

 個人的に、「医療技術の発達」には三つの道筋があると思っています。

 一つ目は、ナノテクノロジによる「自然な体のまま」病気や怪我を治療し、病気にかからない技術。
 二つ目は、IPS細胞などによる、生体臓器移植による治療技術。
 三つ目は、人工臓器による治療技術。

 現実的には、それぞれが、それぞれを補いながら、三つ同時に進化し医療技術が進んでいくと思いますが、この映画では、極端に人工臓器開発のみが発達した設定となっています。
 人工肝臓、人工腎臓、人工肺など、脳をのぞく、ほぼすべての人工臓器が開発され、多くの人々が、その恩恵を受けているのですね。
 体をこわしても、新しい臓器を使って、元気に長生きできる世界です。
 素晴らしい。

 しかし、最大にして、もっとも恐ろしい問題がひとつだけあります。

 人工臓器は、異常に高価なのです。
 映画本編でははっきりと語られていませんが、予告編では、人工肝臓や人工心臓に、8000万円程度の値がつけられていました。
 だから、多くの人々はそれをローンで購入することになる。

 ところで!
 レポゼッションメン、とは、本来何のことがご存じでしょうか?

 ご存じのように、アメリカは車社会です。
 だから、皆、自動車に乗る。
 もちろん、全員が現金で車を買うわけではありません。ローンで買います。
 中には、車のローンの支払いが滞(とどこお)る者も出てくる。
 すると、レポゼッションメン、いわゆるレポメンの出番となるわけです。
 レポメンは、文字通り、ローンの未払いのカタとして、彼らの乗る車を「回収(レポ)」するのが仕事です。
 こういった業種の人々は実際に存在して、それをもとにした現代映画も多く作られています。

 中でも有名なのは、ヤク中をカミングアウトしたチャーリー・シーンの兄、エミリオ・エステベス主演の映画で、そのものずばり「レポメン」というSF映画です。

 同業のレポメンたちを出し抜いて、やっと回収した車のトランクを開けたら、宇宙人の死体が入っていた、というトンデモなく不運な男の話なのですが、これは一応、自動車を回収するレポメンの話でした。


 しかし、ジュード・ロウ主演の映画のレポメンは、車ならぬ人工臓器を回収するのです。
 重要な、いや、それほど重要でなくとも、臓器を無理矢理抜き取られたら死ぬしかありません。

 この映画のレポメンは殺人者でもあるわけです。

 その合法殺人者レミーを、ジュード・ロウが、髪形をハゲ気味の奇妙なちょんまげ髪にして熱演しています。二枚目なのによくやる!

 
 レミーには友人がいます。
 レポメンの同業者ジェイク(フォレスト・ウェティカーが好演)です。

 レミーとジェイクは幼なじみです。
 幼い頃から体の大きかったジェイクに対して、何度も果敢にケンカを挑んだレミーに、ジェイクは一目置くようになります。
 いつしか親友となった彼らは、その後に起こった戦争にも、そろって参戦し、お互いの命をかばい、バカをやらかして青春を過ごした彼らでしたが、戦争が終わって街に帰ると、自分たちの居場所がどこにもないことに気づいたのでした。

 「普通」の仕事をするには彼らの手は血に汚れすぎていたのです。

 そこで、平和な街でも戦争を疑似体験できる、レポメンに就職したのです。

 ジェイクは独り者ですが、レミーには妻子がいます。
 やがて、レミーは、血なまぐさい現場のレポメンではなく、内勤にかわれと妻にいわれ、ついにそうすることを決意し……

 そして悲劇が起こります。
 あるミュージシャンの心臓を回収しにいったレミーが回収対象者にAEDを使おうとすると電流が逆流し、彼の心臓を焼いてしまったのです。

 すぐに、人工心臓が埋め込まれ、レミーは莫大な借金を背負うことになります。

 やがて、その金利が払えなくなり、レミーは国外逃亡しようとし、ジェイクに追われることに。

 さらに悲劇が続き、いよいよ最後に……始めに書いた、最低の後味の悪いエンディングに突入します。

 ここではっきりと書くことはしませんが、おそらく、このエンディングは、あの「未来世紀ブラジル」からインスパイアされたものでしょう。

 あの映画も後味が悪かった。


 この映画を観終わってから、しばらくして気づいたことがあります。

 それは、ジェイクが「同性愛」というような表面的なものではなく、もっと深い部分でレミーを愛していた、ということです。

 レミーの末路は、ひとりの男に愛されすぎていたが故の悲劇だった。

 ジェイクは、子供の頃、レミーに殴られて彼を意識し、共に生死をくぐりぬけるうちに、レミーのない人生を考えられなくなってしまった。

 彼なしではやっていけなくなった。
 だから、レミーを失いたくない彼は、あんなことを……

 かつて小松左京氏は、短編「星殺し」で、主人公T・Kが、同僚にして戦友グスタフを死なせた生物惑星を「怒りで殺した」時に、

「おれたちこそ、真のカップルになれたはずなのだ。おれにとっての君、君にとってのおれ……これほどふさわしいもの同士がまたとあろうか?」
 
「君は”男”だった。おれも”男”だ。ヘラクレス同士の愛が、去勢された役人どもや、ひ弱なガキどもに理解できるわけはない。だから、俺のこの傷心も、誰も理解できまい」

と言わせました。

 少し意味合いは違うかもしれませんが、わたしには、「レポゼッション・メン」のジェイクの行為に、同様の気持ちがあったような気がしてならないのです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年4月13日 (金)

ヨザクラ

 手持ちで撮ったので、少々ブレています。

001_2

002_2

003_2

005_2

006

007

008_2

009_2

010

| | コメント (0) | トラックバック (0)

花見で一杯

 剪定がされていないので、枝はいびつですが、桜花は美しいですね。

001_3

002_3

003

004

                 電線が少々無粋ですが。

005

008

               出店の「タクラャキ」の文字も魅力的です。

009

 外国人は、キビナゴの目が怖いといいますが、この桜には、それに通じるものがあります。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2012年3月 | トップページ | 2012年5月 »