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2010年12月

2010年12月31日 (金)

ナニワのことも夢のまた夢 ~インセプション~

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 映画「インセプション」を観ました。

 公開当時から、コムツカシクて、よく分からないとの評判であったため敬遠していたのですが、「シャッター アイランド」で、ディカプリオが、ギルバート・グレイプの頃の演技派魂を取り戻したように見えたため(いや、「ギャング オブ ニューヨーク」では意気込みが空回りしていたというべきか、「仮面の男」や「キャッチミー~」は監督と脚本がタコだったから仕方がないと思いますが、それでも、エージェントと共に、きちんとホンを読んで仕事を選ばなかった彼が悪い)、DVDレンタルの開始と共に借りて観たのです。

 結論から言いましょう。

 ナカナカ良いです。

 「バニラ・スカイ」的というか、「オープン・ユア・アイズ」的というか、「胡蝶の夢」的というか、わたしの「蒼い虎」的というか、随分前に書いたものの、まだ公開していない自著「シーシュポスの夢」的というか……

 なんていっても、わかりませんね。

 一応、惹句(コピー)を書かせてもらえれば……

――その時代、長期宇宙飛行の冷凍睡眠中、脳機能維持の刺激を与えるために、乗組員は、宇宙船のコンピュータ上に作られた「自分のためだけの」世界で、暮らすようになっていた。

 ある者は、衛星カリストの歓楽街に住み、またある者は摩天楼のあったころのニューヨークで芸術家となり、あるものは日本の江戸時代でハタモト武士となって暮らしている。
 しかし、いつからか彼らは自分たちが、本当は何者であるかを忘れてしまっていた。

 そして、彼らの世界を、悪夢が蝕み始める。

 NYに住むものには911の悪夢が、江戸に住む者には富士山の噴火と大地震・大火が、カリストには、記録に残っている歴史上最大の隕石衝突が襲いかかるのだ。

 6人の乗組員たちは、自分が何者かも知らないまま、その天変地異に立ち向かおうとする。何が起ころうとも、その世界で自然と中心人物になってしまう設定のままに……

 その異変は、乗組員の誰かが「ある目的のため」に、船のコンピュータに仕掛けたシーシュポス・ウイルスが原因だった――

てな具合ですね。

 なんて、宣伝をしている場合ではなかった。

 インセプションについて書いていたのです。

 上で、なかなか良かった、と書きました。

 ご存じの方も多いでしょうか、インセプションは、夢を用いて「人の記憶を盗み出す」非合法活動をする男が主人公の物語です。

 時代設定は現代と同じようですが、どうやら、そういった技術だけが突出して進んだ、平行世界(パラレルワールド)が舞台です。

 「盗み出す」方を「エクストラクト」と呼び、記憶を植え付ける方を「インセプション」というのですね。

 「記憶を盗み出す」方はわかります。だって、企業秘密であれ、個人秘密であれ、人は他人の秘密を知りたがるものです。実際金にもなりますし。

 しかし、「記憶の植付け」とは?
 頭の中に、今後の彼の行動を動機づけるタネを植えるということですね。

 映画中では、「エクストラクトは簡単で皆やっているが、インセプションは難しいぞ」と、いわれるのですが、なぜそうなのかは語られません。

 個人的には、植え付けの方が簡単なような気がします。

 どちらかといえば、植え付けた記憶が、人にどのような行動を引き起こすかの方が問題でしょう。

 正しいベクトルを与えてやらないと、間違った方向へ、間違った強度に進んでしまうことになる。

 実際、ディカプリオも「インセプション」は可能だ、が、それ以後が難しいのだ、といいます。

 彼には、過去に行った「インセプション」の苦い記憶とトラウマがあるのです。

 面白いと思ったのは、ベスターの「虎よ!虎よ!」で、テレポートの発達した時代にあって、無断進入を防ぐために自宅を迷路のようにして、テレポート先の位置を複雑にしたように、インセプションの世界では、金持ちや重要人物たちは、エクストラクトを防ぐために、深く強い暗示を掛けられているということです。

 具体的には、盗み出す側が「設計」した夢の世界に被害者が引き込まれると、自動的に彼の潜在意識が、SPや兵隊となって、夢の中で敵を殲滅(せんめつ)するのです。

 コンピュータにおける防衛障壁(ファイアウォール)のようなものでしょうか。いや、人の肉体における白血球に近いかな。

 殺された敵は、実際には死ぬことはなく、ただ目覚めてしまう。

 面白かった二つめは、夢を一重(本来、この書き方はおかしいのですが)でなく、二重、三重と「夢の中の夢」と深化させていくという設定です。

 そして、体感時間は、夢の深度が深くなればなるほど、ゆっくりと流れる。

 これはなんとなく実感に近いですね。

 夢では何日か過ぎても、目が覚めると数分だったりすることはよくありますから。

「インセプション」では、第三段階の夢になると、実時間の数時間が十年にも相当するといっていました。

 さらに面白いのは、上の階、つまり自分の夢の上の段階、一重の夢なら実際の肉体の刺激が、二重の夢なら一重の夢の刺激が、遠い残照のように、その世界に影響を与えることです。

 具体的にいえば、実際の肉体が揺すられれば、一重の夢では大地震が起こるのです。

その下の階層の二重の夢なら、ちょっと建物が揺れる。

 これは、夢が深くなれば、体感時間が数十分の一になるという設定にあっています。

 現実の「一瞬」が、夢の夢では「数時間」になるのですから、体が揺れても、その影響は小さくなるのは道理です。

 そして、夢の夢の夢(第三段階)に落ちてしまって、戻れなくなると、現実の数時間で、数十年もの時を夢の中で過ごすことになる。

 ああ、それでわかった。このインセプションの設定は、その根っこにおいて、スタートレック・ネクストジェネレーションの最高傑作と言われている、第五シーズン125話の「The Inner Light(邦題:超時空惑星カターン)」と同じものなのですね。

 数多あるスタートレック・シリーズの中で、人気投票をすると、必ずダントツで一位となるこのエピソード、わたしも初めて観た時は泣いてしまいました。これぞ、SFにおける「胡蝶の夢」と、長らくその影響にあったものです。

 原題の「The Inner Light」は、すっきりとして内容を言い得ているのですが、邦題がいけない。いったい、どこのバカ(失礼)がこんなセンスのないタイトルをつけたんだ?という感じです。

 機会があれば、ぜひご覧ください。スタートレックシリーズをご存じ無い方も楽しめると思います。

 そしてもう一つ、これもスタートレック・ボイジャーの傑作だと個人的に思っている第二シーズン40話の「The Thaw(邦題:悪夢の世界)」にも似ています。

 これこそは、マシンを使って、人と人が夢でつながる宇宙ステーションに魔のクラウン(ピエロ)が現れて、人々を殺していく話です。

 こちらはインセプションと違って、殺されたら現実の肉体も死んでしまうという設定でした。

 スペイン映画「OPEN YOURE YES」やリメイクされたトム・クルーズの「バニラ・スカイ」とも重なるところはあります。

 と、先達のさまざまなアイデアをイイトコ取りして作られたインセプション。

 何より素晴らしい点は、終わってみても、アカラサマに悪いヤツがいない点です。

 それでいて、なんだかスッキリと良い気分になれる。

 渡辺謙はイイ役どころをもらったなぁ。
 バットマン・ビギンズの訳のわからん役とは大違いです。

 映画を見終わって、わたしも、ディカプリオが持っていたあのベーゴマみたいなコマが欲しくなりました。

 公開時には売られていたのかな?

 そうそう、個人的には、この映画でわたしは、初めて「キチンとした無重力状態での格闘」を目にしたような気がします(観たヒトはわかりますね)。

 とにかく、年末年始に観ても、嫌な気分にならない映画なので、お勧めです。

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PSP2000アナログスティック死亡:そしてresurrection!

 注文して5日後に導電ゴムが届きました。

 送料を節約してクロネコメール便にしたのと、クリスマスを挟んだために少し遅くなったようです。

 まあ、それでもUSAやヨーロッパよりはマシです。

 ドイツやオランダ、ニューヨークに住む友人は、クリスマスシーズンに郵便物は送るな、いつもといいます。

 だいたいにおいて仕事がいい加減な上に、(おそらくはクリスマスプレゼントのため)郵送量が途方もなく増えるために、国も持つ郵送システムが、イッパイイッパイになってしまうのですね。

 それはともかく、届いたのはコレ↓です。

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 純正は透明だったのに、こんどのはサンドイッチ型になっていますね。

 これを、今度はミニドライバーを使いながら、ゆっくりとゴム&スティックを押し込んでいきます。

 そしてこれが↓入れきったところです。

 赤で囲んだところに、ちょっとだけ導電ゴムがみえますね。

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 カバーを外したまま、バッテリをとりつけ、起動確認します。

 導電ゴムを入れるまでは、勝手に動き回っていた勇者が、ぴたりと静止しました↓。

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 かのジーザスのresurrection(復活)には3日を要しましたが、わたしのPSP2000復活には、導電ゴム切断もあって、12日かかってしまいました。

 が、まあ、1800円ほどで修理ができたのでヨシとしましょう。

 これで、すっきりと年始を迎えることができます。

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PSP2000アナログスティック死亡:そしてresurrection か?

 いやジッサイ、メタルギアソリッド・ピースウォーカーをやっていたあたりから、ビッグボスの動きはおかしかったんですよ。

 急に反対方向へ走り出したり、そこでだけは止まっちゃダメ、という敵のまっただ中で停止したり……

 それが決定的になったのは、モンスターハンター3rdの「村クエスト」をやり始めた時でした。

 わが勇者ロボケロが、急にランボスごときに後ろを見せて逃げ出したかと思うと、立ち止まったりして……

 おかげで、映画「REX」程度のミニ爬虫類に殺される体たらくです。

 とりあえずは、一時期引退させたPSP1000にSAVEDATAを移動させて事なきを得ましたが、何とかしなければなりません!

 かといって、SONYに修理に出せば、高い手間賃を取られた上に、時間がかかるに違いない……そこで!

 やりました。禁断の、でもないですが、バッテリー部分にある「これとったらもう保証も修理もうけつけないかんね」シールを剥がし、サードパーティ製の部品を手に入れて、自分で交換することにしました。

 まずは外から見えるネジをハズします。

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 下部のネジも忘れずに。

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 そして、赤で囲んだネジをとるのですが、ここに上で書いたシールが貼ってあるのですね。

 それを、警告を無視し、無慈悲にひんむいて、この二つのネジをとってしまう。

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 すると全面カバーが外れ、左側にアナログスティックが現れます。

 この時、液晶のまわりに両面テープが貼られているため、なかなかカバーと離れようとはしないので注意が必要です。一気に取るのではなく、ジワジワと力を加えて、剥がす感じて取っていきます。

 下部ネジの左右にもカバーの突起があるので、折らないように注意してください。

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 このネジをまわして、ちょっと引っ張ってやると簡単にとれます。

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  取り外すとこれがアナログスティックパーツです↓。

 分解すると、内部でプラスティックが折れていました。

 あまり激しく扱った覚えもないので、純正パーツ(とSONY)に不信感が残ります。

 これを交換するのですが、ショップを選べば、500円足らずで手に入ります(送料込みでも1000円足らず)。

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 さて、パーツを取り寄せ、下記矢印↓のところに差し込むのですが……

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 個人修理をやった人がよく書いているように、このスティックパーツと、本体基盤をつなくのに、SONYはなぜか導電ゴムをつかっているのです↓

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 これをスティックパーツの金具部分において、基盤に差し込めば修理完了……なのですが、なぜか勇者はうまく動いてくれません。

 なんだか右向いたり、左むいたり、あるいはずっと上に歩いていったり、挙動が不審なのです。

 再び、分解して、スティックパーツを取り出すと、な、なんと、導電ゴムが基盤とパーツに挟まれてちぎれているではありませんか。

 どうりで、パーツショップには導電ゴムだけ売っていたのです。

 しかも、この厚さ数ミリのパーツが500円する。アナログスティックより高い。

 結局、一度なら送料も一回分ですんだのに、もう一度導電ゴムを買うことになってしまいました。

(つづく)

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2010年12月26日 (日)

「以心電信」2  二輪用bluetoothヘッドセットBIMを買いました

 前回の「二輪用bluetoothヘッドセット」に、少し追記しておきます。

 まず、わたしが普段使っているbluetoothヘッドセットですが、これは、Sofmapで980円にて購(あがな)ったものです。

 サイズは、以下の写真をご覧になってください。

 

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 隣にあるのはiphone3GSです。

  

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 この値段なら、落としても、紛失しても(たいへん小さいものなので)、間違って洗濯しても、イタくない。

 わたしは、髪の毛が長めなので、耳に装着していても、ほとんど外からは分かりません。

 値段の割りに性能はよく、たまに音声にノイズが乗ることはあっても、ほぼアタリマエのように通話ができます。

 ボタン長押しでiphoneの音声認識モードに入り、電話に全く触れることなく、さまざまな場所に発信できるのも便利。

 上で「間違って洗濯しても」、と書きましたが、実は4日ほど前にソレをやってしまいました。

 さすがに濡れている間は、ウンともスンともいいませんでしたが、寒風の中、異常乾燥注意報を利用して物干しにブラさげておくと、二日ほどして見事復活しました。

 もちろん、一度、基盤に洗剤が触れてるので、もうしばらくすると洗剤成分に侵されて使えなくなることは覚悟の上ですが、なかなかにタフなマシンです。

 と、いいながら、バックアップとして、ソフマップで、同型機をもうひとつ買ってきました。

 今は、洗濯してしまった方を、PS3のアドホックパーティ(モンスターハンター3rd特化版)のボイスチャット用として使っています(当然、PS3ともごく普通につながっています)。

 PS3については、別項で、「あそ棒(PS3 MOVE)」を使った「スポーツチャンピオン:卓球」のバーチャル感について書くつもりです。

 前項で、本来ヘルメット組み込み型のマイク&スピーカーを、不要ヘッドホンにセットした、と書きましたが、それはコレ↓です。

   

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 プロトタイプなので、まだブサイクなスタイルですが、あとでもう少しスマートに改造するつもりです。

 付属のマイクやスピーカだけでなく、市販の有線ヘッドセットが使えないかと、ジャック部分を観察すると、

  

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  四極のプラグがあれば、マイク端子とヘッドフォン端子に分極させて、市販の安いパソコン用有線ヘッドセットが使えることがわかりました↑。

 さっそく日本橋の共立電子に向かい、無線用四極プラグを買ってきて自作してみました↓。

   

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 プラグの根本がホットメルトで固められているのは、付属のカバーのままだと、防水用に小さく埋め込まれたBIMの端子に奥まで入らないからです。

 この点は、要改良です。

 が、とりあえず、これでバイク間通話用のBIMを、自動車間でも使えるようになりました。

 正月休みを利用して、プラグの接合部分やヘッドフォンも改良しつつ、またあとでその使用感を報告したいと思います。

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「以心電信」  二輪用bluetoothヘッドセットBIMを買いました

 サイボーグ009、攻殻機動隊、イナズマン、バビル二世……
 
 さて、彼らの共通点はいったい何でしょう。

 そう、頭のなかで考えるだけで会話ができるということです。

もっとずっと年輩の方なら、コンバットのトランシーバーが原体験ということになるのでしょうが、わたしにとって「遠隔会話」原体験は、上記のコミックということになります。

 いわゆるYMOの「以心電信」というヤツです(古い!)。

 ゲームでは、メタルギアのスネークやバイオハザード5のクリスなどが、インカムを使った通話を行っていますね。

 現在のように携帯電話が発達してくると「心で思っただけの通話」は不可能でも、ヘッドセット(マイク付きヘッドフォン)さえ使えば、「まるで電話が無いかのような通話」は可能です。

 最近、高速のサービスエリアやコンビニエンスストアの駐車場で、プロドライバーが、別に電話をかけているふうでもないのに、独り言を言いながら缶ジュースを飲んでいるのを見かけます。

 注意して見ると(失礼にならない程度に)彼らの耳にはヘッドセットが入っている。

 このように、ヘッドセット、有線であったり無線(bluetooth)であったりする、を使えば、今や以心電心は可能になりました。

 実際、わたしも、道を歩きながらiphoneに向かって、bluetooth越しに相手先の名前を告げ、音声認識させて、自動発信することがあります。

 確実に未来は近づいてきている。

 しかし、こと単車に関しては、なかなかそんな風にはいきません。

 エンジン音、風切り音、その他の雑音で、なかなか快適な通話ができないのです。

 特にタンデム(二人乗り)の場合は、すぐ後ろに乗っているにもかかわらず、振り返って話すことができず快適な通話は難しい。

 多くの人が同様の感想を持っているようで かつては、ゴムパイプを用いたインカムなども売られていました。

 その後、ほんの少し前までは、有線でつながったインターフォンタイプが主流となりました。

 最近になって、ついにbluetoothを搭載したヘルメット装着型のヘッドセットが登場して、自由度は高まりました。

 これは便利です。

 bluetoothで携帯電話とつながって電話をかけることができ、1セット(2つ)マシンがあれば、タンデムの後部席や、数百メートル以内ならツーリング仲間の近くのライダーとも、携帯電話を介さず会話ができる。

 専用マイクと、ノイズ・フィルタリング回路によって、雑音は抑えられ、会話もクリアだといいます。

 いいことずくめのように見えますが、欠点もあります。

 値段が高いのです。1セット6万円もする。

 しかし、世の中、良くしたもので、高いブツあれば安いモノあり。

 先日、3rd-party製の廉価版バイク用ヘッドセットを見つけ、さっそく購入しました。

 デザインに多少難はあるものの、性能的にもほぼ問題なさそうです↓。

  http://bim.eucp.jp/

 ショップさえ選べば、円高と相まって1セットで1万円程度になります。

 購入後、2日ほどで品物が届きました。

 さっそく、ヘルメットにマイクとスピーカーをセッティングをします。

 付属のACアダプタあるいはUSB端子につないで充電を行い、iphoneとマシンを同期させる「ペアリング」終了後、寒風の中をひとっ走りしてみました。

 通常、単車に乗る時はエンジン音を聴いていたいので、音楽は鳴らさないのですが、今回は、走りながら手前のボタンを押すとiphoneに入れてある音楽が流れ始めました。

 それほど音はよくありませんが(スピーカの品質によると思われる)、バイクで聴くには充分な音質は維持しています。

 電話を掛けてみると、思った以上に相手の声はクリアに聞こえます。

 こちらの声には、ほとんどバイクのノイズは入っていないそうです。

 これには驚きました。乗っているわたしの耳には、かなりな音量のエンジン音と風切り音が聞こえているのですから。

 カタログスペックでは、120キロ程度のエンジン音、風切り音なら問題なく会話ができるとありましたが、実際に実験を行うまで半信半疑でした。

 次に、単車同士、走りながらの会話を試してみたかったのですが、寄る年波のせいでバイク仲間が激減している上、真冬の寒さの中実験に参加してくれるようなキトクな者もおらず、どうしようかと考えた末に、二台目のヘッドセットを、使わなくなったヘッドフォンにとりつけ、自動車で使えるようにして単車対自動車で通話を試すことにしました。

 単車のようにオープン環境なら障害物もありませんが、鉄の箱である自動車との通話で公称の500メートルが達成できるか心配でしたが、見通しの良い道路で300メートル程度の距離なら、ほとんど問題なく通話ができました。

 トランシーバーのように、通話を終えるたびに「オーヴァ」などといって交互に通話するのではなく、完全全二重つまり普通の電話のように同時に話すことができるので、実用上問題のない性能といって良さそうです。

 わたしは、普段行う夜の散歩の際、極小型のbluetoothヘッドセットを耳につけて歩いています。

 そうすることで、遅滞なく電話にでることができ、すぐに通話できるからです。

 これからは、単車に乗る時も、常に「人と会話ができる状態」を維持することができます。

 これで、わたしが理想とする、以心電信モードに一歩近づくことができました。

 しかし、この調子だと「蛮有引力」で描かれたように、もし体内埋め込み型の通話装置が一般化されたら、ただちに手術に踏み込んでしまうかもしれません。

 恐ろしいことです。

 仕事相手には、iphoneの番号を教えていないため、家族とごく近しい者からのみ、しかも、ごくたまにしかかかってこないというのに……

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2010年12月 6日 (月)

没入の日々 自炊しましたSCANSNAPで

 初めの一発は、恥じらう処女から奪う最初の接吻のようなものであった。
            徳間文庫 大藪春彦選集「野獣死すべし」より一部抜粋

 と、高校生性体験率45パーセントといわれる昨今にあっては、完全に時代錯誤な文章で書き始めてしまいましたが、先日、まったく「そのような気分」を味わってしまったのです。

 いや、久しぶりの書き込みだというのに、トートツで申し訳ありませんが、その「久しぶりの書き込み」の理由も、冒頭の一文と関係があるのです。

 最近、ブログの更新が滞っていたのは、個人的に、精神的テンションが下降する出来事があったからなのですが、だからといって、わたしは、なにも「石の狸」(沖田艦長語録より一部引用)がごとく、じっと蹲(うずくま)っていたわけではありません。

 いや、おそらく、このブログ未更新の日々は、ここ数年で一番活動的であったといっても良いかも知れません。 

 では、いったい、ナニをしていたのか?

 もったいぶらずに書きましょう。

 ジスイしていたのです。

 思えば、ボーイスカウトの訓練で立ちカマドを作らされ、調整不可能なたき火の炎で、ガンタ(チョーかたいご飯の意)を炊いて以来、幾星霜(いくせいそう)……家にあっても、キャンプ気分でガソリンコンロとチタン・コッフェル(鍋)を使っては、頻繁(ひんぱん)に自炊したものです……

 の自炊ではなく、おそらく皆さんご存じであろう、サッコンはやりの自分で本などのデータをスキャンして吸い出しデータ化(自吸い→自炊)する自炊にふけっていたのです。

 そう広くもない家の二部屋をつぶし、書庫として使っていますが、そろそろ本の重みで築数十年の家屋に危険信号がともり始めたため、以前から不要不急の本については、フラットベッド型のスキャナでデータ化はしていたのです。

 しかし、民生機としては、かなり読み取りの速い部類のEPSON-GT820を使ってさえも、A4サイズの書類の読み取りには時間がかかります。

 まして、本一冊まるごとなど、とんでもない。

 時間ばかりが無駄に過ぎていくトンデモない作業になってしまいます。

 そこで、意を決してPFUのSCANSNAP1500を購入しました。

 SCANSNAPといえば、個人で自炊するための定番マシンです。

 一応、EPSONのマシンと、どちらにするか迷ったのですが、ここは手堅く定番を購入してしまいました。

 ずっと前から購入を検討しつつ、今になってしまったのには理由があります。

 もちろん、民生スキャナとしては、値段が比較的高め(4万円台後半)というのも大きな理由のひとつですが、最大の理由は、SCANSNAPがシートフィーダ式のスキャナであるため、本などはそのままスキャンすることが出来ないという点でした。

 つまり、本は、バラさないと取り込めない。

 詳細はこちら

 でも、できるなら本はバラしたくない。

 個人的に、本は、本の体裁をとってこその本であると思っています。

 いわゆる、遊び紙・きき紙などの「見返し」がしっかりとし、「花切れ」が美しく背表紙から見える、そういった本の形をしていてこそ、書物を持つ喜びがあるのだ、と。

 しかし、それにしても、もう書庫に足の踏み場がない。

 仕方がないので、現実的な判断から、とりあえず初版以外のコミックやマンガ、20年以上前のコンピュータ雑誌(ゴミですよ、はっきりいって)やアウトドア雑誌、ブルータスやポパイなどの「より残し」風俗雑誌は、空気にふれる部分から黄変化もすすでいるために、画像調整しながら、グレースケールで取り込むことにしました。

 カバーを取り、表紙に指をかけ、一気に背表紙をむしり……とれない。

 なんとなく嫌。

 本はコワシたくない。

 踏みたくないし、蹴りたくないし、解体すべきではない……旧態依然の教育を受けた弊害ですね。

 ですが、賽は投げられた、ならぬマシンは買ってしまった……やらねば、やるとき、やれば、やれ!

 えいやっ。

 そして、冒頭の一文になるのです。

  初めのひとむしりは、恥じらう処女から奪う最初の(以下略)

 うは、うはうはうはははは――

 一度、表紙をむしりとってしまえば、あとはもう銃の発射感に恍惚となって人を撃ちまくるトリガーハッピーのごとく、狂乱かつ錯乱状態となって、むしりまくってしまいました。

 表紙をむしり、手で20枚程度に分割し、カッターや裁断機でノドから3ミリ程度のところを切り離していく。

 そして、スキャン。

 これがすごい。

 動画をご覧になった方はご存じでしょうが、オドロクベキ速さです。

 何枚かずつ(公称スペックでは50枚、しかし実際はコミック紙の厚さもあって、もう少し少な目)束にして、ならして入れるのですが、それが追いつかないほど速い。

 すごい、すごいスゴイぞ!

 連日連夜、筋肉痛をおこしつつ、狂乱的に切り、吸い、裂き、吸い、裁断し、吸いつづけました。

 もう脳のどこかからアブナイ物質が出てるって感じですよ。トランス状態ですな。

 しかし、よくしたもので、やがてこの作業にもインターバルがやってくる。

 こういった自動フィード(用紙自動吸い込み型)マシンの特徴として、ローラーや紙抑えゴムが消耗品として、別売されているということがあります。

 ドライバの方でも何枚スキャンしたかが記録されていて、使用者は定期的にその数字を見て、部品交換をするのです。

 それこそ一日中、憑かれたように切り、裂き、スキャンし続けるうち、数日して、スキャナが、一枚ずつではなく、数枚まとまって紙を吸い込む(マルチフィード)ようになって、連続スキャンができなくなりました。

 調べてみると、紙をおさえるラバー製品が、かなりすり減っています。

 そこで、最初に、マニュアルにざっと目を通した時に読み流したドライバの紙カウントを思い出して、調べてみると……79000枚スキャンしていました(ワズカ数日ノアイダニ)。

 マニュアルでは、消耗品の紙押さえは50000枚で交換するように支持していますから、マルチフィードするのもあたりまえです。

 さっそく、AMAZONで2000円程度の交換部品を注文しました。

 注文後、翌日の夜には部品が届きましたが、その間も、マルチフィードをおこさない程度に、枚数を制限しながら、スキャンし続けています。

 思ったより早く、交換部品が届きました――が、あれ、初めについていたものより、紙抑えのラバー(ゴム)部分が分厚い。

 まさか、よく製品についている乾電池のように、「付属の電池はテスト用ですので、早めに動かなくなることがあります」的に、ショボい部品を使っていたんじゃないだろうね。

 ともかく、部品が来たのだから、さらにスキャンを続けるのだ――

 コミックスは数百冊(千冊近く)、小説も、おそらくは読み返さないものはどんどんデータ化されていきます。
 特に、小説は、あとで文字検索できるように、SCANSNAP付属のアクロバット9の「文字認識機能」を使って透明テキストを貼り付けるようにしているのですが、これが「eTypist」や「読んでココ」などの専用OCRソフトより速く、比較的正確なのでナカナカに使えるのです。

 そして、先の週末、カラーのスキャン画像に、赤青緑の線が現れました(コミックスの表紙をカラーで取り込もうとして気づきました)。

 ずっとグレースケールで取り込んできたため、気がつかなかったのです。

  が、そういえば最初の頃に、ゴクウのビッグコミックカラー版を取り込んだ時に、すでに縦のラインが出ていたような気もします。

 というわけで、マシンをPFUの修理センターに送りました。

 そして、ブログを書く時間が戻って来た、というわけです。

 あとは、月に一度の廃品回収日まで数日間、解体した本で一部屋まるまるつぶれた状態を我慢するだけです。

 データ化してわかったことがあります。

 コミック、特に古いコミックは、背中のノリも弱くなっているため、データ化して、コミック・リーダーソフトで読んだ方が読みやすいのです。

 実際のところ、大切なのは、本のカタチよりも中身なのですから(って、最初といっていることが違うじゃないの!)。

 少なくとも、どこの段ボールあるいは棚にアレがあったか――と探す手間が省けたのは大きいと思います。

 いくつかの作品(全集)を一気読み(かえし)してしまいました。

 修理にどれぐらいの日数がかかるか分かりませんが、とりあえず、それまではブログの更新ができそうです。

 ちなみに、冒頭文は、あの(個人的には20世紀最大のヒーロー)伊達邦彦が、デビュー作「野獣死すべし」のエンディング近くで共に銀行強盗をした友人真田を泥酔させて射殺する際に逡巡(しゅんじゅん)する様子を描写したものです。

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