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2010年10月24日 (日)

何も足さない何もひかない 天下御免の駄作「宇宙戦艦ヤマト 復活編」讃歌

 秋も深まってきましたし、DVDが発売されて久しくなったので、長らくの懸案事項(けんあんじこう)であった「宇宙戦艦ヤマト 復活編」を観ました。

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 およそ一年前の作品ですが、怖くてなかなか観られなかったのです。

 で、その内容は?

 結論からいいましょう。

 皆さん、おそらくご推察の通り、クズですな。まったくダメ。

 だいたい、あの戦争礼賛、特攻賛美の某東京都知事が原案ということで分かるとおり、戦闘賛美のどうしようもない映画です。

 最終敵は、知事の嫌いなソ連か中国をモデルにしたような強権国家ですしね。
(テキの名前がUSRだって!USSR(ソビエト連邦)のことか?)

 もう少し詳しい内容はというと、クラシック音楽多用した、ご都合主義的エエ加減ストーリーの羅列。

 いくらブラックホールに飲み込まれるからといって、映画の始めから、地球を安易に捨て去って、他の星に移住するという設定もトンデモない話だし……

 また、知事の案によるものか、妙に政治がらみの国際紛争臭もある。

 観る必要なし!

 いらん。

 が、しかし、それは一般の人にとっては、です。

 恥ずかしい、ああ、本当に恥ずかしい。

 でも、小さい声で、いや細長い声で、いや文字で、書いてしまいます。

 オドロクベキコトニ、いや恥辱的なことに、個人的にはかなりイケてます。

 続けて三回観てしまいました。

 マジメに観るとダメですが、不真面目に観ると、ナカナカイイです。

 特に――

 わたしのように、今を去ること数十年前に、初回の放映予告をテレビで観てから、第一回の放映を楽しみに待ち、テレビの前で正座して観た者なら。

 あるいは、ビデオの無かった当時、音声のみを録音してくり返し聞き、あのOUT創刊号を金田一耕助特集に惹かれて買ったところ、創刊二号が、当時誰も顧みなかった(ようにみえた)「ヤマト特集」であるのを知って、それを発売日を待って買ったようなスジガネ入りのファンにとっては……

 昔のままのヤマトが帰ってきた――のですよ。

 いきなり、真のテキは異次元人だって!

 無茶苦茶な設定、ご都合主義の展開、戦艦の戦闘のハナシなのに、いきなり反物質星人を出すような、世界観の破壊行為……といった「さらば宇宙戦艦ヤマト」の頃のままですよ。

 個人的に、「さらば~」以降の「ヤマト2」や「ヤマト3」は嫌い、というか、観たことさえありませんので、よくわからないのです。

 とにかく、今度の「復活編」は、ストーリーは腐っていますが、その端々に、第一作の匂いがするのですね。

「何も足さない、何も引かない」というコトバがありますね。

 まさしくアレです。

 画こそ超チャチなCGっぽくなっていますが、その深部において、数十年前のTV版ヤマト(テレフィーチャー除く)と映画版「さらば~」と同じなのです。

 そこがスゴイ。

 普通、もっと変えますよ。いや、変わってしまいますよ。

 それが、清濁合わせて何も変わらない。作り手のハートが同じというか……

 安易なご都合主義も、戦争賛美と受け取られかねない戦闘シーンも、他の戦艦と違ってヤマトだけが極端に装甲が強そうなのも、その他もろもろの巨大な欠点も含めて、当時と何も変わっていない。

 いや、都知事が噛んでいるために、さらに安直にひどくなっている!

 音楽も当時のまま。

 まあ、さすがにあまり同じではいけないと考えたのか、昔の曲の合間には、これも安易にクラシックを多用して、それがまた失笑を誘うのですが、逆に、このチープさこそヤマトだ、と思ってしまうのですね。

 まさに、山崎イズムというか、これはすごい。

 ダテに獄中で、さらなる悪事の構想を練っていたわけではなかったのだな(ホメてるんですよ)!

 たとえ、歪んで間違っていても、それなりの山崎イズム健在です。

 六連装の波動砲を、初期の戦闘において、六レンパツで撃っている時は、なんか「さらば~」におけるアンドロメダの波動砲っぽい豆鉄砲だな、とハスに構えてみていたのですが、最後に、グレンラガンのアンチスパイラル似の異次元人が出てきて、そいつの兵器を倒すため、ブラックホールに落ち込みながら六連を同時発射した時には、思わず快哉を叫んでしまいました。

 波動砲かくあるべし、という迫力だったからです。撃ったあとで、艦がボロボロになるというのもふるっているし、最後に、突然、「これまでブロックされていた、六連波動砲同時発射のシークェンスが可能になりました」「真田さんが密かに作ってくれていたんだ!」

「こんなこともあろうかと、密かに開発しておいた『空間磁力メッキ』が役に立ったよ」
そのもの!

 時代設定もいいですね。

 そもそも、わたしは、イスカンダルからの帰還後、数年足らずの間に、地球が次々と侵略を受けるテレビシリーズ続編が嫌いでした。

 いくら、制作者の財布の都合があるからって、それじゃあんまりファンと作品が可愛そうです。

 せめて二十年ほどたって、乗組員が世代交代し、古代が経験を積んだ艦長としてヤマトを指揮すべきだと思っていたのです。

 それが、今回の「復活編」で実現しました。声は山寺宏一に変わりましたが。

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 もちろん、イワズモガナ、欠点は星の数ほどあります。

 敵がいきなり味方になるようなノーテンキな「ご都合主義」は相変わらずですし、ワカゾーの乗組員たちは、ゆとり世代っぽい、統率のカケラもない自己中心的バカどもですし、古代の子供はおきまりの「ファーザー・コンプレックスの裏返し」的反抗態度で魅力のない娘ですから。

 とにかく新しく登場した人物に魅力は皆無。

 特に、キャラクタ・デザインが松本零士の手を離れたことに抵抗を感じる人は多いでしょう。

 まあしかし、昔から、ヤマトのキャラクタは誰のデザインかも分からない、無茶苦茶へんな画でしたから、個人的にはあまり抵抗がありません。

 それに、ヤマトの主人公は宇宙戦艦ヤマトですから、人なんてどうでも良いのですよ。

 とにかく、戦闘機の設定も、もちろんヤマトの設定も、メカのデザインも、戦闘作戦室の床ディスプレイも、そして、細かいところなら艦長室のレイアウトからヘルメットまで、当時のまま(あるいは酷似)のデザインが使われているのがいいんです。

 まあ、人というなら、陸艇隊のメンバーとして、ささきいさおを声優として使って欲しかったですけどね。

 もと科学班長の真田さんは、昔の面影を残しつつ良い感じで年をとっているし……

 と、ここまで読めば分かるように、この「復活編」は、新しいファン層の方など向いてはいません。

 往年の熱狂的ファン「だけ」を相手にしている映画なのです。

 それも、人物による人間ドラマではなく、とにかくヤマトが動くところが観たいファンを。

 そして、おそらく、それは正しい。

 最後のブラックホール内での波動砲発射で、「さらば~」のエンディングテーマ(ジュリーの歌でない方)が流れた時には、ちょっとだけ胸が熱くなりました。

 情けない。

 とにかく、立て、万国の(往年の)ヤマトファン!

 そして、映画館で観逃した「復活編」をDVDで観るのだ!

 そうしないと、第二部が作られないじゃないですか。

 ご都合主義で、エー加減で、ツマンナイところは、あの山崎氏と某都知事の原案のせいだ、とクサすこともできるし、なかなかに楽しみの多い映画ですゼ、ダンナ。

 しかし、ヤマト以降の、ガンダム・ファンであったり、イデオン・ファンであったり、エヴァンゲリヲン・ファンである人なら、観ても仕方がありません。

 かつてのヤマトに、人間ドラマを見ていたヒトにもつらい映画でしょう。

 そのような人にとって、この映画は、ただのクズです。ダメです。時間の無駄です。

 とにかく……寝る夕飯まえにもう一度観るので、ここでは、これくらいにしておきます

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コメント

あの~、山崎じゃなくて西崎では?

投稿: | 2011年4月 3日 (日) 20時59分

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