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2010年8月31日 (火)

ゲゲゲの黄金の日々

 連続テレビドラマ「ゲゲゲの女房」も佳境に入ってきました。

 赤貧(今は誰も使いませんね)洗う如き生活をしている時は、我が身につまされて、よく観ていましたが、豊かになってからは、、あまり真剣に観ていません。

 話はちょっと横道にそれて……これは別項で書こうと思っていますが、先日、日本橋にでかけたおり、「禁断の惑星」のロビー貯金箱を叩き売りの値段で手に入れました。

 連日、ディスプレイの前に置いて悦に入っています。

 そこで、この機会に、映画を見直そうとDVDを探すうち、「のんのんばぁとオレ」を見つけました。

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 何年か前に、スカイパーフェクトで放映していたものです。

 ご存知のように、これは、漫画家、水木しげる氏が少年時代を描いた原作を、1991年にNHKがドラマ化した作品です。

 さっそく全五話を一息に観かえしてしまいました。

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 母役をもたいまさこ、父役を岸部一徳が好演しています。

 番組冒頭、まだ矍鑠(かくしゃく)として元気な水木しげる氏自らが登場し、当時の思い出を語りながら物語へと誘います。

 今は知らず、かつて男の子にとって、少年時代は、ある意味ユートピアでした。

 その半ズボンのポケットの中には、綺麗なガラス玉、なにか得体のしれない動物の骨、独楽回しの糸の切れ端と共に、遊びのエネルギーがいっぱいにつまっている。

 その過剰なエネルギーと好奇心が、時にトカゲや蛙の面白半分の解剖などの、同世代の(いや、世間全般のかな)女の子たちのマユをひそめさせる行為につながるのです。

 いまだ、明確な自我の目覚めを得ず、したがって、それゆえの孤独を知らず、たえず胸を軽く押されるようなメランコリィを知らない黄金の日々。

「のんのんばぁとオレ」は、正しく少年の、その幸福な世界を描いています。

「のんのん」つまり神様をまつる民間の拝み屋のお婆さん、だからのんのんばぁ。

 山田 昌さんが好演しています。

 当時からその仕事だけでは食い詰めて、水木しげるの家に臨時に雇われ、家政婦のような仕事をしつつ、彼女は、少年たちに、さまざまな妖怪や不可思議な出来事と共に、教養ではなく、経験から得たヤルベキコト・ヤッテハナラヌコトを伝えていくのです。

 また「この親にしてこの子あり」の夢想家の父や母、結核の転地療養のためにやってきた遠縁の女の子との関わりを交えつつ物語は進んでいきます。

 子供たちは、毎日のように隣村の子供たちと戦争ゴッコをくりかえしていますが、いまだ戦時色は強くなく、田舎の村の雰囲気は自由です。

 その中で、少年は逃亡中の強盗犯と出会い、少し年上の女の子に淡い恋心を持ちます。

 強盗で思い出しました。

 わたしの祖母は、山口県の青海島(オウミジマ)という離島(現在は橋が架かっています)の出身ですが、八歳の時に山賊にあったことがあるそうです。

 十二歳の姉を頭に、三人の女の子だけで、島から仙崎(本州側)にある本家に引き出物を受け取りにいった帰りのことだそうです。

 祖母の家は、本州からみて島の反対側にあるので、行きは家の前の海岸から舟に乗り込んで送ったもらったのですが、帰りは、何かの用事で遅くなってしまい、同じ場所まで送り届けるというのを断って、本州側の浜につけてもらったそうです。

 なぜ、祖母たちが舟を断り、大人たちがそれを許したのかは聞き逃しましたが、とにかく島を縦断して家に帰る途中に、彼女たちは山賊にあったのです。

 夜道を、提灯を掲げて歩くうち、うしろから「おーい」と呼ぶ声が聞こえる。
 まだ子供だった祖母が
「呼んでいるから返事をしないと」
というのを、年の長で、危険を感じ取った長姉が
「返事なんかしないで、急いで歩くの」
と急かせているところへ、ぱっとその山賊が飛び出してきた!

 お腹の大きな女性を連れて。

 ザンバラ髪に真っ黒な顔、大きな体、恐怖による誇張と錯覚は混じっているでしょうが、心理的には、正しく鬼に出会ったような恐怖だったでしょう。

 子供心に、妙に恐ろしく、またリアルに感じたのは、その山賊がひとりではなく、妊娠中の、同じように真っ黒な顔をした女性を連れていた、という点でした。

 今なら色々と想像できます。

 何らかの事情があって島に逃げ込んだ夫婦が、食べ物に困って、道行く子供を脅かしたのでしょう。

 結局、祖母たちは、引き出物を放り出して、命からがら家に帰ったそうです。

 一応、翌日に山狩りが行われたそうですが、何も見つけることはできなかった。

 まあ、祖母が死んで20年近く、100年ほど前の事ですから、そんなこともあったのでしょう。

 こういった話を、さまざまな声色を使い分けて、ゲゲゲの女房の祖母やのんのんばぁのように、祖母は寝物語に話してくれました。

「のんのんばぁとオレ」の時代は、それより十数年後の話です。

 祖母は恐がりだったため、のんのんばぁのように妖怪や怪奇話はしませんでしたが、当時の「科学と合理主義という信仰」を持たない人々にとっては、妖怪や不可思議な出来事は事実として存在していたのでしょう。

 いまだって同じような出来事は起こっているはず。

 しかし、現代人は、宗教よりちょっとだけ再現性のある、科学技術信仰に、闇雲に陥っているためそれが見えないだけなのでしょう。

 まあ、わたし自身、根っからの鈍感、凡夫、俗物であるためか、幽霊も見えず、霊も見ず、心霊写真も撮ることができず、金縛りにもあわず幽体離脱も経験せず、UFOも目撃せずUMA(未確認動物:ツチノコなど)も見たことがないのですが……

 物語中で、のんのんばぁの語るコトバが素晴らしい。

 おそらく、原作者、水木しげるの記憶に肉付けされたセリフなのでしょうが、押しつけがましくない、妖怪を用いた軽やかで重い言葉。

 ここで、わたしのつたない文章で再現するのは止めておきます。

 機会があれば、ぜひ、ホンモノをごらんになってください。

「おまえが正しいと考えることをやりなさい」と、子供へ責任を丸投げする、親と教育機関の共同謀議である、ゆとり教育とはまるで違う教育がそこにはあります。

 同時に、イラン映画「運動靴と赤い金魚」で感じた、強大な『子供力』を目の当たりにする、元気のでるドラマです。

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