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2010年4月21日 (水)

傑作舞台の重厚な映画化 「フロスト X ニクソン」

 お気に入りのケビン・ベーコンが出演するということで、映画「フロスト X ニクソン」(2008年)を観ました。

 公開当時から、印象的なコピーとポスター↓で、観に行きたかったのですが、機会を逸していました。

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 同名の舞台を「アメリカン・グラフィティ」のロン・ハワードが監督した作品です。
 って、それは役者としての出演で、監督としては「バックドラフト」(あるいは「アポロ13」「THE MOON」いや「ダビンチコード」?)の方が有名だったかな。

 内容は、ウォーターゲート事件で失脚(1974年8月)しながら自らの非を認めようとしないリチャード・ニクソン元大統領に、「バラエティ番組の司会者」であるデビッド・フロストが、インタビューを通じてその心情を吐露(とろ)させ、事件の核心部分を告白させるという、いわば「ペラペラのコメディアン司会者が精神的巨星相手に挑む心理戦」を描いた作品です。

 ああ、基本的に実話です。

 実際に、その有名なインタビュー番組は残っている。

 舞台でもニクソンを演じたフランク・ランジェラの、ニクソンの心の襞(ひだ)まで入り込んだかのような迫真の演技に圧倒されます。

 自信家で鬱(うつ)気味、非道徳家で良心の呵責(かしゃく)に苦しむという、矛盾だらけのOnly Humanな世界一強大な権力を持っていた男の末路を、その演技によってのみ(外見的には、わたしの知っているニクソンとはまるで似ていない!)表現するフランク・ランジェラを見るだけでも、この映画を観る価値はあるでしょう。

 悪の側でありながら任務をまっとうし、忠をつくすケビン・ベーコンも良かった。

 ペラペラ司会者のインタビューということで、メジャーなスポンサーがつかないのに、ニクソン側は法外なインタビュー料金を請求するため、デビッド・フロストはインタビューで真実を引き出す作戦を練りながら、同時に金策に走り回らなければならないのです。

 インタビューは全部で四回。

 始めのうちは、海千山千(語源は知ってますか?)の老練政治家に挑むドンキホーテといった体(てい)で、てんで歯が立たないフロストが、インタビュー最終日にしかけた舌罠……

 ウォーターゲートをリアルタイムで知らずとも、いや「なんかアメリカ大統領が不正を働いて史上初めて辞任しなければならなかった事件……かな」程度の知識さえあれば、充分楽しめる映画です。

 週末の夜にでも、ぜひおすすめします。

 ギリギリとした精神的緊張を味わいながら観終わると、達成感と同時になんだかモノ悲しくなってしまう不思議な映画なんですから。

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