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2010年4月10日 (土)

ブッ飛ぶほどにパワフル! アドレナリン1・2「ハイ・ボルテージ」

 スカパー!TVガイドに掲載されている、川村ナヲコさんの「映画の楽しみ方」は、わたしが毎月楽しみにしている映画紹介のひとつです。

 一コマに、多くのイラストと気の利いた手書き文字を描き込んで、一つの作品の紹介をする。

 その切り口とセンスの良さは抜群で、わたしは、彼女の紹介する映画はだいたい観るようにしています。

 今月取り上げられたタイトルは「アドレナリン2 ハイ・ボルテージ」でした。

 これがまた、どうしても観たくなる素敵なイラストです。

 と、言葉で書いてもわからないだろうなぁ。

 この際、ゲンブツを載せておきましょう。(クリックしてください)

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 ご存じのように(わたしは知りませんでしたが)、主役のジェイソン・ステイサムといえば、リュック・ベッソンの「トランスポーター」シリーズのヒーローです。

 それが「アドレナリン」では、とんでもなくブッとんだ殺し屋を怪演、というには、スゴすぎるパワフルさで演じているのです。

 この映画については、、シリーズ1の頃から、レンタルビデオの棚に置かれているのは知っていました。

 しかし、なんだか危なそうなタイトルと、ハチャメチャそうな表紙で敬遠していたのです。

 確か、昼間は非常に実直でマジメで、寝る時間も惜しんで働く名外科医だが、夜は大変な量の麻薬を使わずにはいられない重度の麻薬患者。

 半裸の男が体をエビ反らせて叫んでいる表紙で、ともて借りる気には……

 エッ?あれ、それって「ドーパミン」じゃん。

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 まぎらわしい名前つけんなよって。

 これは、断言しますが、もうすぐ「エンドルフィン」や「エンザイム」、「ランゲルハンス島の反乱」なんて映画が絶対できますよ。

 「セサミン」とか……

 それとも、もう出来てるのか?

 さて、「アドレナリン」です。

 もちろん1と2の両方を連続で観ました。

 というか、1を観て「やられたぁ」と思った人なら、2を観ないわけにはいかない。

 ストーリーは単純、映画の冒頭で、中国製の毒を盛られた殺し屋、シェブ・チェリオスが、犯人と解毒薬を求めて街を走り回る。

 いたるところで暴力と性をふりまきながら。

 なんせ、アドレナリンを体内に放出させ続けないと毒が回って死ぬというのですから……

 突然、怒り、興奮し、欲情し、とにかくアドレナリンを出しまくる。

 そして、主人公、シェブ・チェリオスのトンデモない強さ!

 劇中で、カレのことをダイ・ハード・マンと呼ぶことがありますが、チェリオスは、正しく「死なねぇ男」です。

 飛び交う弾丸も、彼を避けて飛んでいく!

 本来なら、「大量の下卑たシモネタ」と「スプラッタ一歩手前の殺戮(さつりく)」で後味の悪い映画となるところを、主人公ジェイソンの魅力と監督・演出者のはちきれんばかりのパワーが、見事にそれをハチャメチャで楽しいノンストップ・パワフル・ムービーに昇華させています。

 うーん、これを、どう表現すれば良いのかなぁ。

 たとえば、日本やフランスが、このタイプの映画を作れば、岩井俊二の「スワロウテイル・円都(イェンタウン)」や「ドーベルマン」のように、妙に湿っぽかったり、後味の悪いピカレスク・スプラッタ映画になってしまうのですね。

 しかし、「アドレナリン1・2」には、もっとカラっとしたドライな笑いがある。

 主人公や悪役たちが、マジメであればあるほど、逆にトホホ的な面白さが醸し出されるのです――

 おもろうて、やがてかなしき うかいかな

 じゃなくて、

 おもろうて ときどきこわくて さいごはスッキリ

 という感じですかねぇ。

 昔の映画でいえば、J.P.ベルモントの「おかしなおかしな大冒険」とか、リノ・バンチュラの「女王陛下のダイナマイト」という感じでしょうか。

 どちらも、わたしの人生を変えてしまった、といって良い作品なのですが、それはさておき、それらに共通するのは、

「話のツジツマや通りの良さなんてドーでも良し、俺たちゃパワーで突っ切るゼ!」

といった、途轍(トテツ)もないエネルギーを内包していることですね。

 「アドレナリン2」では、彼の心臓の強さに惚れ込んだギャングの老ボスに心臓を奪われ、代わりに入れられた、すぐに電池切れとなる人工心臓にチャージしつつ、街を駆け回るチェリオスが描かれます。

 これもすごい。

 まあ、こんな感じです↓

 http://bd-dvd.sonypictures.jp/crankhighvoltage/

 でね、本当のところ、わたしは、この映画を観て、なんだかうらやましくなったのです。

 かつて、日本にも「独立愚連隊」や「兵隊やくざ」(ちょっと古い?)のような、パワフルな映画ができる素地があった。

 でも、最近の邦画は、妙に老成して「ゲージュツ」や「泣き」、そして「アイドル頼み」の作品ばかりになっているような気がするから。

 もっとも、こういったパワフルな映画を作るためには、エネルギーを感じさせる役者が不可欠ですが……

 今の日本には、見栄えの良いアイドルは沢山いますが、ちょっと老けてて、頭がハゲ気味のくせに、サイコーにパワフルでカッコえぇというような役者は、いないような気がします。

 あるいは、ゆとり教育からは「ガイバー」(規格外品)は生まれないという証明なのでしょうか?

 あ、あと、「アドレナリン」は、日本の配給会社がつけたタイトルです。

 原題は、「Crank」「Crank High Voltage」といいます。

Crankというと、昔の車を始動させるクランクとかクランク・エンジン、変人とか奇行しか思い浮かばないのですが(カクカク曲がったのが「クランク」だから「ツムジ曲がり!」)、調べてみると、俗的にはいろいろ意味があるようです。

 例えば、crank upで音量などを上げる、crank themで「あたる、怒りをぶつける」、英国では、俗に「ヤクをキメる(麻薬を打つ)」という意味など。

 内容からいうと「八つ当たり」なのかなぁ。

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