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2010年3月 7日 (日)

女神の時代

 世の中には、使われない単位、使われてはいけない単位というのがある。

 ご存じでしょうか?

 それは、megadeath(メガデス)。

 冷戦時代、大量破壊兵器(この場合は核)を、大都市に用いた場合に予想される死者数を表す単位だといわれています。

 1megadeath=死者100万人

 今まで実際に使われたことはないし、今後も決して使われてはいけない単位でもあるmegadeathは、幸いにして、21世紀になってヘビメタバンドの名前(あれはmegadethだが)以外、それを知る人さえ少なくなりました。

 そう、かつて世界には、冷戦というものがあったのです。

 核を使わない冷たい戦争。エスピオナージュ盛んな情報戦。

 米ソ二大国がその主役でした。

 当時は「世界終末時計」という考えが、生み出されるほど、核戦争への危機感は強かったのです。

 
 終末時計については、映画「ウオッチメン」などでも出てきますね。

 あの映画の、ダークでネガティブな雰囲気は、当時の「核への危機感」を知らないと理解できにくいかもしれません。

 終末時計は概念時計ですから、時代によって「終末までの時間」は変化します。

 たとえば、

・ソ連が核実験に成功した1949年       3分前
・アメリカ・ソ連水爆実験に成功1963年    2分前
・ソ連が崩壊した1991年           17分前
・北朝鮮が核実験した2007年         5分前

 といった具合です。

 冷戦時は、数万にも及ぶ核をもつ二国が、様々な国にちょっかいを出しては無言のせめぎ合いを続けていたのです。

 20世紀後半になって、ロシアが、体制を大転換してからは、おもにアメリカが世界各地の紛争を取り仕切ってきました。

 世界の警察アメリカ。

 いや、より的確にいえば「パクス・アメリカーナ」の時代。

 もともと、パクスとは、ローマ神話に出てくる「平和と秩序の女神」のことです。↓

073

 よって、パクス・アメリカーナとは、第二次大戦後、アメリカの主導によりもたらされた平和のことをいいます。

 しかし、これはアメリカが嚆矢(こうし)というわけではない。

 平和の女神パクスが、歴史上、最初に現れるのは、1-5世紀のこと。
 ローマ帝国による平和を「パクス・ロマーナ」と呼んだのがはじまりです。

 ついで、19世紀半ば~20世紀初頭の大英帝国による平和「パクス・ブリタニカ」があって、アメリカは三番目です。

 しかし、神ならぬ身が神を演じるのはつらい。

 ローマは滅ぼされ、大英帝国はパクス職を投げ出し、アメリカですら、これまで数度にわたって複数の大統領が「アメリカは世界の警察であるべきではない」と泣き言を口にするようになっています。

 もっとも、現実的には、いまだに世界では「パクス・アメリカーナ」が続いています。

 このことは、語源から考えてみれば奇妙な気がしますね。

 ローマには、女神が似つかわしい。

 19世紀大英帝国はビクトリア女王の国だったので、女神とは親和性がある。

 しかし、何かにつけて、男らしさ(masculine)をウリにしている開拓の国、いまだ女性大統領を生み出せないアメリカが「女神パクス」を気取ってしまうと、女性なのに男っぽく振る舞うという意の、mannishな国、という感じになっておかしく感じますね。

 だからこそ、最近では「パクス・アメリカーナ」は他国によって使われることが多く、アメリカが自らを語るときは「世界の警察」という呼称を使うことが、多いのかもしれません。

 今後、世界はどうなるのでしょう?

 次のパクスは?

 世界統一府が生まれて、それが新女神となるのか。あるいは振興著しい某大国がパクスとなるのか?

 それこそ、女神のきまぐれ次第なのかもしれません。

 

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