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2010年1月 5日 (火)

おっきいちっさいはなし: プランクとディラックとエッチバー

 物理学にプランク定数hというモノがあります。

 今の指導要領が、どうなっているか知りませんが、昔なら高校で習った定数です。

 理系なら結構馴染みがある。

 h = 636 260 693(11)x10(-34) [m2kgs-1]

 これは小さい。どれぐらい小さいかというと、指数ではなく実際にゼロを並べたら、

h=0.000 000 000 000 000 000 000 000 000 000 000 662 606 93(11)[m2kgs-1]

 確かに小さい。

 あらためて書いてみると、こんな小さい数字が、いったいどんな意味を持っているのかと思います。

 だいたい、モンノスゴク小さい世界というのは、われわれが考える物理法則の当てはまらないミョーなことが多くなって、それを説明するのも「物理的」(古典物理的?)ではなくなってしまうのですね。

 プランク定数 hは、光と密接な関係があります。

 光は「光子」(こうし)の集合であるとされます。まあ、光のツブですね。

 そいつはエネルギーを持っていて、それは分子の熱エネルギーと同じで振動数によって決まるそうです。

 そのエネルギー E = h x μ(ミュー:振動数)

 つまり、プランク定数hは光子エネルギーの比例定数なんですが、光のツブひとつが持つエネルギーなんてたかが知れています。

 そしてブルブル震える振動数は、きっとかなり大きいハズ。

 でかい数字を小さくするためには、モンノスゴク小さい数を掛けなかればならない、というわけで、上のように、プランク定数は極端に小さいのですね。

 また、光子は「同時に波の性質も持つ」とされていますので、波の山と山と間の長さ(波長)も持っています。

 それも、このプランク定数hを使って、

 波長λ(ラムダ)=h / p(運動量)

 と書けるのですが、光1個の波の長さなんて大きいわけがない。

 だから、やっぱり、hはものすごく小さいのです。

 なるほど、あってる。

 プランク定数を発見したのは、マックス・カール・エルンスト・ルードヴィヒ・プランク(1858-1947:ドイツ)です。

 なんか、どこかで聞いたような名前の、寄せ集めみたいな名ですね。

 それはともかく、彼が、ちっこいことにこだわる学問「量子力学」の生みの親ということになっています。

 さて、ここからが本題です(って、まだ先があるの?って思いましたか?)

 プランクより遅れること50年、英国にポール・エイドリアン・モーリス・ディラックという男が生まれます。

 物理学者です。

 彼も、ミュージシャンとボクサーの妻とルパン作家を足したような名前ですね。

 まあ、おそらくSF好きなら「ディラックの海」などで彼の名は馴染みでしょう。

 ディラックは「相対論的量子力学」なるものを考えだしました。

 相対論は当時の流行りでしたから、まあ、それはごく普通の流れですが、ディラックがスゴイのは、

・陽電子の存在を予言し
・電磁場や音波に量子力学を適用するために「第2量子化」なる数学的手法を発明し
・ディラック数(10の39乗)、ディラック大数を予言し
・磁気の一粒、モノポール(磁気単極子)の存在を予言する

といったように、湧き出ずる天才的アイデアを吹きまくって、ノーベル賞まで取ってしまったことです。

 ただ、あまりに先進的すぎて、モノポールもまだ見つけられてはいませんし、ディラック数も検証されていません。

 一応、ディラック数について簡単に書いておきます。

 プランク定数と違って、これはデカい。

1000000000000000000000000000000000000000
 当時、ディラックは「宇宙の大きさ」を10億光年(だいたい10の25乗m)と見積もりましたが、これは、電子の大きさを示す「古典的電子半径(2.8x10の-15乗)」の10の39乗倍(ディラック数)になります。

 同時に、電子と陽子の間に働く「電磁気力」と「重力」の比は、やはり10の39乗倍(ディラック数)になるのです。

 この巨大な数の「一致」は偶然ではないに違いない。何か関係があるはずだ、というのがディラックの主張でありました。

 けれど、上記のように、残念ながらこれは未だに検証されてはいません。

 これからが、今回の結論です!

 ディラックは、プランク定数hを2πで割ったものを「ディラック定数」として流行らせました(ディラック数とは違いますよ)。

これは、

と書くのですが、この数字は、流行ったわりに「ディラック定数」という言葉は定着せず、「換算プランク定数」などと呼ばれたりした後、結局、その字面から「エッチバー」と呼ばれることになっています。

 どうです、ダンナ。エッチバーっすよ。

 宇宙の神秘を解きかねない数字が、風営法の規制対象みたいな名前に落ち着くところが、なんだか行雲流水という感じでゲスね(意味不明)。

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