« ガン予防は食べ物から | トップページ | すでに死んでいた男ふたたび 〜ハリーポッター Half Blood Prince〜 »

2009年12月 8日 (火)

君子豹変?タイガー・ウッズ  〜時流に棹さすなかれ〜

 政治番組を観ていて、政治評論家と呼ばれる人々が、いかにも川向こうの火事然とした口調で、どうか新政権の閣僚たちには「君子豹変」していただきたい、と発言するのを聞きました。

 彼らの口調、そしてその「為にする」発言意図はともかく、言葉の使用法は正しい。

 もちろん、「君子豹変」とは、易経の「君子豹変、小人革面」のことで、意味は、いわずもがな「立派な人物は、自らが誤っていたと分かれば、豹の皮の斑点が、黒と黄ではっきりしているように、明確に心を入れ替え、行動にもそれが現れるが、ツマラヌ人間は、表面上は変わったように見えても、中身はなにも変わらない」ということですね。

 もっとも、最近では、突然、悪い方に態度を変えたり、「いいひと」だと思われていた人が、悪事を為したりするのも「君子豹変す」といったりしますが、それらは原典からいえば間違いに近い用法というわけです。

 しかし、つらつらと世の中を見渡せば、正しい用法より間違った方に合致する例がはるかに多いように思われます。

 世界的に「君子」だと思われていた某プロゴルファーが、次々と女性問題を暴露されたりしたのも「君子豹変」した結果だと思われるのでしょうか。いや、これは誤用です。

 まあ、どちらかといえば、これは「馬脚を露(あら)わす」のほうでしょうか。

 語源はこちらの方が断然面白い。

 あの「舞台でウマの足役をする役者」が、うっかりと舞台上で姿を見せてしまうことから来ているのですね。本来、隠しておくべきことが露わになってしまった。それが転じて、悪事が露見するという意味になったのです。


 さらに、事実を糊塗(こと)するために、多額の口止め料を相手女性に支払ったという事実が露呈するに及んで、彼の評判は地に落ちてしまいましたね。


 まあ、個人的には可愛そうだと思います。

 噂どおりに、愛人6人であるならば、ちょっと多いような気がしますが……

 本来、彼は、ゴルフがうまいだけの「ただの男」にすぎないのです。
 神格化に近い持ち上げをしたマスコミその他が、突然、彼を地に落として今度は攻撃しているのですから。

 こういう時、わたしの頭には、クイーンのFlash(映画フラッシュゴードン[1980]のテーマ)の一節が流れるのですね。

 Just a man with a man's courage
 He knows nothing but a man
 スゴイ奴に見えるかもしれないが、ただ勇気によってのみ立つ男〜

 そういえば、映画「フラッシュゴードン」には、あのティモシー・ダルトン(後の007)がマヌケな悪役で出ていました。

 さらに世間的には全く人気がなく、存在したことすら忘れられているシルベスター・スタローンの喜劇映画「オスカー」で妻役を演じたオルネラ・ムーティも出ていましたね。(このオスカーは妙に好きで、後にLD!がDVDに押されて廃れ、たたき売りされた時に、手に入れています)

 キャストから考えると妙に大作だったんだなぁ「フラッシュ〜」。
 内容は実際アレでしたけど。


 話が脱線しました。


 今回、書きたかったのは、君子豹変す、ではなくて――

 ダイワハウスを、一代で一兆円企業に押し上げた創業者、石橋信夫氏が、生前「時流に棹(さお)さすなかれ」という哲学の持ち主であったことを先日知りました。

 おわかりと思いますが、昔の川船は、オールではなく、一本の棒=棹で川底を突くことで船を操っていました。

 つまり「時流に棹さす」とは、世の中をキョロキョロ眺めながら、うまく立ち回るように棹で操作するということです。

 社会に出て生活していると、こういった「時流に棹さす」ヤカラの多いことに愕然とします。

 実際に、世の中に棹して立ち回ることはしなくとも、観客として、世に現れた誰かを持ち上げ、時流が変わればソイツを放逐する人々もまた多い。

 いわゆるホリエモンこと堀江貴文や村上ファンドなどは、その最たるものですね。

 普通に考えれば、彼らが、拝金主義に乗って世に出ただけなのは明らかであったのに、時流に棹する人々には、それが見えていなかったようです。

 うまく立ち回る人間が「カチグミ」で、それができなければ「マケグミ」だ、と、多くの人が考えていました。


 石橋氏が、時流に棹ささぬ「動かぬ心」が大切と知ったのは、第二次大戦終結後、ソ連軍によるシベリア抑留の体験からだったそうです。

 捕虜収容所で、中尉であった氏は同じ日本人の仲間から激しく弾劾されることになりました。

 旧日本兵の中から、敗戦と知って、いち早くソ連側に鞍替えした者が多数いたのです。
 ソ連側は、日本の将校、兵隊の中から選出した者をモスクワ大学に送って教育し、アクチブ(共産主義活動家)に変えて、収容所で旧日本兵を洗脳しようとしていました。

 アクチブになると、ソ連側からは厚遇が受けられる。
 それを見越した、おそらく彼らにとってみれば「カシコイ」選択だったのでしょう。

 このあたり、なんだか先日観た、映画「ヒトラーの偽札」における、ユダヤ人捕虜収容所を思い出します(この映画については別項で)。

 アクチブたちの「時流に乗った」激しい弾劾に自殺する将校もいたそうですが、1947年に情勢が変わって、彼らを含む部隊が帰国することになると、あわや、アクチブの「吊し上げ」が始まりそうになり、石橋中尉は、それを必死になだめたのだそうです。

 後に、石橋氏は、その時の『時流に軽薄に乗ろうとするものの姿』に「なんと情けないものだろう」と心が冷え冷えしたと語っています。

 そして、その教訓をもとに、彼は会社の部下にこう教えたのです。

「(大局としての)時流を読むのは大切だが、動かぬ心もまた大事」と。

 個人的には、ある程度気持ちが穏やか(つまり、極端なストレス下あるいは不幸のどん底にいるような状況でない)ならば、自らの良心と直感に従って、世の流れが多少変わろうとも、右往左往せずにしっかりと両足で立って、自分の気持ちに正直に行動した方が、後悔が少ないと思っています。

 棹さす人々からは変人扱いされるけれども。

|

« ガン予防は食べ物から | トップページ | すでに死んでいた男ふたたび 〜ハリーポッター Half Blood Prince〜 »

森羅万象気になること」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 君子豹変?タイガー・ウッズ  〜時流に棹さすなかれ〜:

« ガン予防は食べ物から | トップページ | すでに死んでいた男ふたたび 〜ハリーポッター Half Blood Prince〜 »