貧しいかぶらやの暦 〜カレンダーから世界を見る〜
思いがけないことに、ここ数年、地元の中学生たちと交わる機会が増えました。
彼らのことを知るにつけ、田舎であるためか、あるいは彼らの多くが、あまり勉強のできない生徒であるためか(ベンキョウ以外の頭の回転は速い)、彼らの生活が、わたしの子供時代とあまり変わりないように見えて安心します。
ある者は野球やテニスで顔を真っ黒にして走り回り、またある者は、少しでも安く本を手に入れるために(ライトノベルですが)、古本のチェーン店に入り浸り……
金銭的あるいは親の方針で、彼らの多くは携帯電話をもっていませんし、コンピュータの扱いも苦手なようです。
かつて、地域有数の進学塾に関わっていた知り合いから聞いていた、いろいろとオエライ(こまっしゃくれているともいいます)生意気子供と、教師をガクレキで判断する中途半端なガクレキをもっているオトナコドモ親たちとは大違いです。
彼らの多くは、親も子供もコンピュータに耽溺(たんでき)し、何かと人を見下すそうですから。
あげく、モノゴトを舐めて、半可通(はんかつう)な知識で使うWinnyで重要な資料を垂れ流してしまう(悪意があるように見えますか、そう、実のところ悪意はあります)。
あげく、モノゴトを舐めて、半可通(はんかつう)な知識で使うWinnyで重要な資料を垂れ流してしまう(悪意があるように見えますか、そう、実のところ悪意はあります)。
田舎(都会でないという意味でね)の子供たちは、彼らと知り合いになる前に、わたしが思っていたよりはるかに純朴です。
もちろん、彼らの中にもイジメはあり、ユルイ権力闘争はある。
しかし、そんなものは、わたしが子供だった頃などよりは随分マシに思えます。
あの頃は、いわゆる「荒れた時代」で、校舎のガラスは全て割られ、先生の目にはアザが絶えず、一日数回は火災報知器が鳴って、人気の少ない渡り廊下では、まず、誰かが数名に囲まれて殴られていたものです(アゴに手をやり、遠くを見る回想目線……)。
隣の学区の学校のワルどもと、プールを挟んで対峙して殴り合いをした、なんて話も聞こえてきたなぁ。
ワルい奴は、卒業アルバムに、花壇じゃ無かったけど、別枠で顔写真が載っていました。
もちろん、弱者に対する悪質なイジメもあった。
ある意味暴力に対して免疫ができていた、というか、麻痺していたような気がします。
それに比べたら、今は、けっこう住みやすそうです。
まあ、普通じゃそこから逃げられず、年齢差3年以内の者が98パーセント以上寄せ集められ、それらが狭い空間に押し込められた異常空間である学校、しかも成績や肉体能力の差があからさまに露呈される非情空間たる学生生活を、快適に過ごすことができる者は少ないとは思いますが。
学校時代が楽しかったと語る人間は、そういった面で恵まれていた数パーセントの上位者だけのような気がしますね。
おまけに、表だって出る出ないはともかく、彼ら子供には「家庭の呪い」(もちろん、超常現象の意味ではなく「親が抱えるストレス」という意味です)がのしかかってくる。
子供は我々の想像以上に、親を見ているものです(無視しているように見えていても)。
親の挙措(きょそ)振る舞いを気にするものです。
子供は我々の想像以上に、親を見ているものです(無視しているように見えていても)。
親の挙措(きょそ)振る舞いを気にするものです。
そして、影響を受ける。
よく、真面目で小心な親が、不良になった我が子を前にして「わたしたちは、こんなに真面目にやっているのになぜ……」と歎きます。
しかし、それらは、親がため込んだ「世間に対する恨み」「夫に対する不満」などが、言葉の端々に表れ、表情に表れるのを、子供が正しく受け取った結果である場合も多い。
親のため息は、子供にとっては鈍く光るナイフなのですから。
親のため息は、子供にとっては鈍く光るナイフなのですから。
子供のとらえ方は、大きく分けてふたつあります。
ひとつは、子供をオトナの小型版としてとらえる方法。
もうひとつは、別な生き物としてとらえる方法です。
もうひとつは、別な生き物としてとらえる方法です。
個人的にいえば、子供はオトナの小型版ですね。
だって、子供のままオトナのトシ格好、どころか老人になっているヤカラのなんと多いことか。
社会的な地位にかかわらず、彼らは肉体的に歳をとっただけで、雑多で姑息な保身の知識だけを身に付けた子供に過ぎないように見えることが多い。
社会的な地位にかかわらず、彼らは肉体的に歳をとっただけで、雑多で姑息な保身の知識だけを身に付けた子供に過ぎないように見えることが多い。
知人はいいます。
「歳取ってオバチャンになる女は、五歳のころから、既にオバチャンである」と。
一面真実でありましょう。
「歳取ってオバチャンになる女は、五歳のころから、既にオバチャンである」と。
一面真実でありましょう。
いやいや、こんな陰気な話をするつもりはありませんでした。
人生陽気に行きましょう。
それらすべてに、しっかりと耐え、背筋を伸ばして生きている人々も、確かにおられるのですから。
「カラスが黒いという命題を否定するためには、たった一羽の白いカラスがいれば良い」のです。
そこで、今回のテーマです。
少し前になりますが、近くのホームセンターに買い物に出かけた帰り、引っ越す前によく通ったショッピングセンターに寄りました。
一階が食品売り場で、二階が雑貨や専門店が入っている小規模なセンターです。
なつかしくなって、二階に上がると、昔どおりに小さな書店が健在でした。
書店ともいえない、雑誌と売れ線の本のみが置いてある書籍コーナーなのですが、そこで、少し気になる本を見つけました。
「カレンダーから世界を見る」
ぱらぱらと見て、結構面白そうだなぁ、と思いましたが、「1500円+消費税」という値段を目にして、書架に戻したその時に、悲劇は起こりました。
どういう拍子か、本が落下してしまったのです。
そこで見事に、「マーフィーの法則」が発動(「トーストはかならずバターを塗った面を下にして落ちる」)。
本は、開いた面を下にして床に落下し、紙面はよごれ、あまつさえ折れ曲がってしまいました。
一瞬、まわりを見回したわたしをお許しください。所詮わたしは財布も心も貧しい小市民なのですよ。
さいわい?誰も見てはいませんでしたが、いくら、紙面を引っ張っても折れたページは元に戻りません。
仕方がないので、いや当然のことですが買いました!
買ってからよく見ると、この本は高校の課題図書だったのです。
もう9月になっていましたが……
もう9月になっていましたが……
だから、あんな小さな書籍コーナーに置いてあったのでしょう。
家に帰ってじっくり読むと、これが面白い。
オビ(ハカマ?)に書かれた『時間はひとつじゃない:古今東西のカレンダーを通して、いろんな「時間」を楽しもう』というコピーはダテじゃありません。
オビ(ハカマ?)に書かれた『時間はひとつじゃない:古今東西のカレンダーを通して、いろんな「時間」を楽しもう』というコピーはダテじゃありません。
国立民族学博物館教授の中牧弘允(なかまきひろちか)氏が、趣味と仕事で集めた世界のカレンダーを用いて、ヒトの時間のとらえ方、わかりやすい太陰暦から、数学を使った太陽暦への切り替わりとその意味を深く平易に解説されています。
課題図書あなどれじ!!
わたしは、よく子供たちに「子供が子供ダマシにダマされてどうする、しっかりしろ!」と、ハッパをかけますが、この本は子供ダマシではありませんでした。
この課題図書に対して、子供たちがどういった感想を持ったか読んでみたい気がしますね。
きっと、このブログで書いているような、型にはまった面白くない感想ではないと思いますから。
最後に、作者あとがきを引用(部分)させていただきます。
カレンダーを楽しもう
Time is money.「時は金なり」という格言があります。ギリシアの哲学者デイオゲネスが「時は高い出費である」と言ったことに由来するとのことですが、一般に広まったのはベンジャミン・フランクリンがエッセイでとりあげたことに起因しています。フランクリンは避雷針の発明だけでなく、「貧しいリチャードの暦」という格言集を発行したことでも知られています。そこには「急がばまわれ」に近いHaste makes waste.「急ぐと無駄が出る」とか「早起きは三文の得」に通じるEarly to bed and early to rise,makes a man healthy,wealthy,and wise.「早寝早起きは人を健康で、裕福で、賢明にする」のように時間の使い方に関するものも多く見られます。
(中略)
最後にエピソードをひとつ。2007年に韓国人からいただいたカレンダーに、豚年(亥年が中国や韓国では豚年)にちなんだものがありました。しかも2007年は金豚で、60年に一度めぐってくる金運にめぐまれるという縁起のいい年でした。12枚のカレンダーには月ごとに豚にまつわる格言がのっていました。そのなかの一枚にはやはりありました。何がって?
(中略)
最後にエピソードをひとつ。2007年に韓国人からいただいたカレンダーに、豚年(亥年が中国や韓国では豚年)にちなんだものがありました。しかも2007年は金豚で、60年に一度めぐってくる金運にめぐまれるという縁起のいい年でした。12枚のカレンダーには月ごとに豚にまつわる格言がのっていました。そのなかの一枚にはやはりありました。何がって?
Pig is Money.「豚は金なり」
私のおすすめ:カレンダーから世界を見る [本]
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