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2009年10月10日 (土)

その部分の隠し方100景 〜ベオウルフ/呪われし勇者〜

 うーん、こういった話を書くべきかどうか、本当に迷ってしまいます。

 このテのハナシを書くと、テキメンに数少ない女性読者が減ってしまうものだと、あの東海林さだお先生もいっておられることなので……

 しかし、どうしても書きたい、という、精神の内圧に負けてしまったので、ヒトイキに書いてしまいます。

 昨夜、夜の散歩がてらGEOに出かけて、旧作年末まで100円キャンペーンにつられ、以前から気になっていたロバート・ゼメキス監督の「ベオウルフ」(2007年)を借りてきました。

 上の写真↑からもわかるように、金髪碧眼(へきがん)の筋骨隆々たるバーバーリアン(野蛮戦士)物語で、なおかつ神話も入っていてドラゴンや巨人も登場するハナシを、あのBack to the Futureシリーズのゼメキス(駄作フォレスト・ガンプは横に置いておいて)が、どのように料理する観てみたかったのです。

 借りてすぐに、映画に関する情報はおろか、歴史上最古の英雄叙事詩と呼ばれている原典すらろくに知らないまま、サラウンド全開で一気に観たのですが……

 そのまえに、少しだけ。

 上で、歴史上最古の英雄叙事詩と書きましたが、これは、レンタルDVDのジャケットにあったコピーからの孫引きです。

 観終わってから、少し調べてみたことを書いておきます。

 わたし個人としては、獣の皮を被った凶暴な戦士たち、いわゆるBERSERKER(英語でバーサーカー、ノルウェー語でベルセルク)の異名なのか、と思っていましたが、実際は、ベルセルクは北欧神話の狂戦士(実在したとも)で、ベオウルフは英国で詠まれたデネ(デンマーク)を舞台にした英雄叙事詩でした。

 あるいは、Werewolf:ウェアウルフ[人狼]ともかかわりがあるのか、とも思いました。
 それで思い出しましたが、ブラウンの短編小説でしたか、登場人物が酔っぱらって「俺たちゃ狼さ、だから We're wolf=Werewolf、ヒャヒャ」なんて笑うシーンがありました。
 わたしにとって人狼は、いつもいつでもWerewolfなんですが、最近、日本では、ライカンスロープ(ギリシア語)、ルー・ガルー(フランス語 )と気取って呼ばれることが多いようです。

 英国人のシェークスピアが、許されぬ悲恋の物語「ロミオとジュリエット」の舞台を遠く離れた異言語の国イタリアのヴェローナに求めたように、「ベオウルフ」も、北欧デンマークを舞台にして、英国で語られた叙事詩です。

 ベオウルフの成立年代は、およそ8〜9世紀といわれており、物語の内容は、それをさかのぼること200年程度のころのようです。

 見始めて三分ぐらいたって、驚くべき事実(って、皆さんご存じだったんでしょう)に気がつきました。

 どうも、登場人物たちの動きがヌメヌメする。特に、ピョンピョン跳びはねる時の「落下状態」が不自然だと思ってよく見たら、「ベオウルフ」はフルCGアニメーションの映画だったのですね。

 しばらく経つまで気がつかなかったのは、私が情けないか、CGの技術が上がっているのか、外国人の表情はわかりにくいかのどれかでしょう。

 内容自体は、ベオウルフと呼ばれる一代の英雄(「ニーベルング」のジークフリートみたいなものでしょうか)が、巨人グレンデルやドラゴンを倒すという英雄譚(たん)です。

 ベオウルフは、英雄の定義どおり、「一代で名をなし、突出した人生を送り悲劇的結末を迎え」ます。
 

 さて、ここからが本題です。

 映画開始後15分ほどで、若きベオウルフが、デネ(デンマーク)の王のもとに出向き、夜ごと現れる巨人グレンデルを退治する闘いを始めるのですが、その時彼は向こう見ずな若者らしくこう言い放ちます。

「巨人グレンデルが、武器をもたず体ひとつで戦うのなら、俺も裸で戦おう」

 そういって、ベオウルフは、美しき王妃の眼前で、服を脱ぎ捨て素っ裸になります。

 半ケツどころか、全ケツ丸出しにするのです。

 さあ、ここからが、ゼメキスの手腕のみせどころ、以前に書いた「ウォッチメン」のDr.マンハッタンは、全裸になっても、その部分が「まるで記号化されたよう」に、それらしく見えないように描くように、という指示が為されていたそうです。

 人間ばなれした青白き怪人、Dr.マンハッタンならそれが許されるでしょうが、ベオウルフは、人間くさい肉体派のバーバーリアンです。

 そんな誤魔化しが許されるわけがない。

 そこで、アノ手コノ手で隠すわ隠すわ。

 激しいアクションのさなか、仁王立ちするベオウルフの「ソノ部分」の前に仲間の男のアタマがあったり、酒を焚き火にかけて吹き上がる水蒸気で何となく隠したり、巨人グレンデルがテーブルに突き立てた剣でピンポイントに隠れたりと、小心者のわたしは、闘いの行方より、いつ見えてしまうのか見えないのか、そればかりが気になって知らぬ間に戦闘が終わってしまいました。

 結論からいうと、ベオウルフは、結局、最後まで見せませんでした(当たり前?)が……

 映画「ベオウルフ」は、わたしの中では、他の多くある美点と長所を圧倒して、全裸の男のアクションをそのまま描く格好のテクストになってしまいました。

 みなさんも、機会があれば、ぜひ一度、むくつけき大男が全裸で暴れ回りながら、ソノ部分を決して見せない、カメラアングルの妙をご覧になってください。

 しかし、「ベオウルフ」って、民放の映画劇場での放映があり得るのだろうか?

P.S.
 付け加えると、声優は、アンソニー・ホプキンスやアンジェリーナ・ジョリーなどの錚々(そうそう)たる面々が顔を揃えています。

 さらに付け加えれば、登場するキャラクタも声優の姿形を模したものになっていて、怪物の母を演じるA.ジョリーなどは、金のウロコの怪物ながら、あのクセのある顔と少し修正された体型が、なかなか当人にそっくりでした。

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