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2009年6月11日 (木)

猫の首がねじれたら……捻転斜頸

 しばらく、ブログの更新間隔があいてしまいましたが、それには理由があります。

 私事(わたくしごと)で恐縮ですが、言い訳をかねて少し書かせていただこうと思います。


 「寒い国から来たフォトグラファー」で書いたように、少し前に、二週間足らずの間フェリーと高速道路を乗り継いで西日本をまわりました。

 その時、世話をする者がいなくなるので、我が家の猫三匹も一緒に連れて行きました。

 フォトグラファーも猫が好きだからと快諾してくれたので、猫とガイジンと日本人の百鬼夜行としゃれ込んだのですが、心配なこともありました。

 これまでも、野沢温泉へのスキーや地獄谷温泉など、様々な旅行に猫ドモを連れていったのですが、彼、彼女たちももう十数歳、人間でいえば60歳をこえる老猫なので、今までのように無理をさせずに、ペットホテルに預けるべきではないかと考えたのです。

 考えたあげく、連れて行くことにしました。

 一緒に出かけた方が、様子を見ることもできるし、犬と同室のペットホテルでは、かえってストレスがかかるのではないかと思ったのです。

 何より、これまでも大丈夫だったのだから、今回も大丈夫だろうとタカをくくってしまったのですね。

 しかし、やはり、長期の旅行は、彼らに予想以上の負担となっていたようです。



 帰宅後、ひと月ほどして、三匹の中で一番年の若い(といっても11歳ですが)雑種トラ猫のヨリ子が、うまく歩けなくなりました。


 ここからは、犬とも共通の話となりますので、ペットを飼っておられるかたは参考にしてください。


 ああ、そうだ。

 始めに書いておきますが、これは哀しい話ではありません。

 何かの参考になるかと思いますので、ぜひお読みください。


 ヨリ子の症状ですが、まず、今まで簡単に上っていた椅子に上れなくなりました。

 ついで、普通に立っていても、突然右後ろ足の力が抜けたように、くじけてコケそうになります。

 食欲は相変わらずありましたが、ケツコが数年前に、膿胸(のうきょう)になって一週間ほど生死の境をさまよった時も、呼吸困難になるまで食欲はあったので、これは参考になりません。

 すぐに医者に連れて行って足のレントゲンをとりましたが、問題はありませんでした。
 血液分析も正常です。 

 ここまで読むと、シロウトでも誰でも気がつくと思うのですが、医者は「足がおぼつかなくなる」のは脳に異常があるからだろうといいました。


 それが脳炎なのか腫瘍なのかは分からないが、足が麻痺したようになるのは、脳、それも脳幹に近い場所に何かがあると。


 わたしは飼い主の欲目で、三半規管の病気ではないかといいました。

 あるいはメニエール氏病のような、フラつく病気ではないか。

 すると、医者は、今の段階では分からないと答えました。

 その時は、とりあえず炎症を抑えるために、ステロイドをもらって帰りました。


 しかし、それからすぐに、ヨリ子の首が15度ほど右に傾くようになったのです。

 調べてみると、それは斜頸(しゃけい)と呼ばれる病気のようでした。

 猫にはまれで犬には比較的多いといわれています。

 ヒトの斜頸は首の筋肉などが原因のことが多いので、猫や犬の場合は、それと区別するために、捻転斜頸(ねんてんしゃけい)と呼ぶようです。

 原因は、末梢性(まっしょうせい)の内耳の炎症あるいは、中枢性(ちゅうすうせい)の脳腫瘍、脳炎のどちらかとあります。

 眼が左右あるいは上下に小刻みに動く(眼振:がんしん)ことがあって、それで末梢性か中枢性の区別がつく場合もある、とあったので、ヨリ子の頭を掴んで、じっと見ても、瞳は静止しています。

 ただ、左目が少しだけ、閉じ気味なだけです。
 気のせいか右のヒゲも元気がなさそうで、右目に少しだけヤニがたまっています。

 後から思えば、このことにもっと早くに気がつくべきだったのですが、この時は、上の現象が持つ意味がまるでわかりませんでした。


 ふたたび病院へ連れて行って、医者に、そのことを告げると彼女は耳を調べて、

「炎症を起こしていないし、はじめに足が動かなくなったのだから、これはもう脳性の病気に違いない」といいました。

 詳しく調べるためには、大阪にある施設で動物用MRIをかけるしかない、といわれたのですが、とりあえずは、さらにステロイドを与えて様子をみることにしました。


 二日後、庭で作業をしていると、部屋の中で魂が凍るような大きな叫び声が響きました。

 あわてて部屋に入ると、ヨリ子が倒れて、体をまっすぐに伸ばしたまま大声で叫び続けています。


 どうやら体が動かないようです。

 すぐにそのまま病院に連れて行きました。

 様子を見るために、そのまま入院させて、夕方に見舞いに行くと症状は改善していました。

 採血して調べると、ショックによる血糖値増加以外には、カリウム値が低下しているとのことでした。

 カリウム値が低下したのは、ステロイドの副作用かもしれないとのことです。

 低カリウムはケイレンを引き起こすこともあるので、そのことに言及すると、「それよりも、体が動かないのは、いよいよ脳の症状が進行したからでしょう」と宣告されました。


 これまで事実を直視するのが恐ろしかったので、先延ばしにしていたMRI検査をすぐに予約しました。
 その病院は、一見(いちげん)さんお断りで、動物病院から紹介者だけを診察するところのようです。


 検査日は四日後です。

 翌日、見舞いに行くと、脳の腫れを抑えるための薬物と電解質を点滴した結果、見違えるほど元気になったということで、検査日まで家で過ごすことになりました。


 家に帰ると、ヨリ子の体は、だいたい動くようになっていました。

 相変わらず首は傾き、足はおぼつかないのですが食欲はあります。

 発病時期から考えても、旅行のストレスが原因に違いないようです。

 元気が取り柄だったヨリ子を、こんな不自由な体にしてしまったことを、胸を叩いて悔やみました。


 そして検査日(今週の月曜日)、高速にのって玉造にある病院に向かいました。

 予約は正午から。

 40分ほど前について、待っていると時間通りに名を呼ばれました。

 診察室に入り、ひと通り問診すると、医者はヨリ子の体を触診し、眼に光を当てて、顔をピンセットでつつき始めました。

 そして、少し病室を歩かせるといいました。

「今の時点でわかる問題点として、斜頸と顔面麻痺そして手足の麻痺があります」

 え、と、思いました。今にして思えば、右側のヒゲが元気なさそうなのも、目やにがたまっていたのも顔面が麻痺していたからなのです。

「最初の二つは、末梢性のもの、前庭(ぜんてい)と呼ばれる部位で三半規管が炎症を起こしている時の症状です。心配なのは手足の麻痺で、これは中枢性の脳幹の損傷によるものかもしれません。それを判定するために、全身麻酔をかけてMRIを撮ります」

 それから二時間半の間、祈るような気持ちで(祈る対象はもっていないのですが)待ちました。

 再び名を呼ばれ、診察室にいくと、医者が、コンピュータのディスプレイにヨリの頭のスライス写真を連続で表示しながら説明してくれました。

 結論からいえば、脳の病気でなく、前庭に炎症がおこって、三半規管を含む鼓室(こしつ)に液体が溜まっているための症状だということです。

 最初に足が麻痺しているように見えたのは、バランスを崩して、体がふらついたためでした。

 これまでの症状(と医者のオドカシ)から考えて、脳幹に問題があるものだと覚悟していたので、ほっと安心しました。

 奇跡というものは、たまに起こるようです。


 治療は、投薬によるものと、耳の後ろから穴を開けて液体を排出するものとの二通りがあるとのことですが、ヨリ子には前者の治療法を施すことにしました。


 現在、投薬をはじめて三日になりますが、症状は改善してきました。

 捻転斜頸は、少し残っていますが、上れなかった椅子にも登り、足のふらつきもましになりました。

 あとは、日にち薬で、後遺症が残らないよう、温治療なども併用して養生させようと考えています。




 というわけで、心配ゴトも解消されたため、またブログを書こうと考えていますのでよろしくお願いします。 

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