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2009年6月 6日 (土)

この腐った日本を……〜本日公開「ハゲタカ」〜

 昨日深夜、何気なくニュースを見ようとテレビをつけると経済番組をやっていました。
 電気自動車についての特集のあと、今日を最後に番組を降りるというキャスターがこういいました。

「二年間、この番組を担当させていただきました。最後にひと言だけ言っておきたいことがあります。明日、公開の映画『ハゲタカ』の中で、ひとつ間違っていると思うことがあるのです」

 明日から公開される映画について、どんなケチをつけるつもりなのだろうと注目していると、彼はこう続けました。

「外資系ファンド側の人間が劇中、こう言います。

『この腐った日本を買いたたいてやる!』

 これは明らかに間違っています。

 『日本は腐って』いません。

 二年間、この番組をやってきて、零細企業のもつ日本の高い技術力、そして、その技術を保持するべく、死にものぐるいの企業努力をしながら社員と会社を守ろうとしている小さな町工場をたくさん見てきましたから」


 経済ニュース番組で、久しぶりに大きく頷ける発言でした。

 もちろん、安易に自国を誇り、持ち上げることは危険です。

 しかし、同じ意味で、簡単に自国を卑下(ひげ)し、コキおろすことはもっと危険です。


 小説や脚本を書く時に、社会をシニカルに見る、いわゆる斜(はす)に構えた登場人物を出すのはドラマツルギーの基本です。

 なんせ、そういった人間はカッコよく映るものですから。

 しかし、個人的には、登場人物に、たとえそういわせたとしても、物語の内容には「世の中、そう捨てたもんじゃないんだぜ」というエッセンスを入れるべきだと思っています。

 「ハゲタカ」については、映画予告でしか知らないので、これ以上は書けないのですが、それでも、そういった安易に強い言葉で、人々の日常の不満を強化するようなドラマは、薄っぺらい感じがして好きではありません。
 
 特に、テレビドラマや映画のように、不特定多数の、少年少女を含む視聴者が対象のメディアではそうあってはならないような気がします。

 実のところ、わたしも「日本は腐っていない」と思っているからです。

 恥ずかしいたとえで恐縮ですが、『カラスは黒いという命題を否定するためには、たった一羽の白いカラスがいればよい』のですから。

 長く生きていると、世の中に絶望する時も多々ありますが、悪くないと思うこともあります。

 だからこそ、安易なピカレスク・ロマン(悪漢小説)で、浅薄(せんぱく)な『斜に構えた格好良さ』を前面に押し出すのはいかがなモノか、と考えてしまいます(自戒をこめて)。

 まあ「乗っ取り屋の拝金経済ドラマ」に、そういうものを望むのは無理かもしれませんが。


 わたしたちは、乗っ取りを「システム化」したアメリカ拝金経済の体たらくから何かを学ばなければならない時期に来ているのではないでしょうか。

 三十年くらい前頃から、ドルが自由化され渡航しやすくなったアメリカに留学して、彼らのダイナミックさ(おおざっぱさでもある)に長く触れて精神が低温火傷(ていおんやけど)をし、すっかりアメリカ式拝金主義・競争主義に毒されて日本に帰国、それを吹聴しつづける米国お先棒担ぎ経済学者たちのいうことを鵜呑(うの)みにしてはいけません。


 「儲けが全て」を体現していたGM(ジェネラル・マッカーサーじゃないほうね)の放言、

「お父さん(GM)にとって良いことは、家庭(USA)にとって良いこと」

が、間違っているのは、直感的にも歴史的にも明らかなのですから。

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