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2009年6月18日 (木)

魔球の伝説




 この間、行きつけの大学図書館で、「魔球の正体」なる本を見つけました。

 初版は2001年なので、もう随分前の出版になりますが、内容が面白かったので、備忘録も兼ねて、自分なりの解釈を加えて紹介しようと思っています。



 子供の時、野球のうまい友だちとキャッチボールをする時に、彼らの投げるボールが、自分の投げる球と違って、手元でのびるように感じられるのが不思議でした。


 後に、意識的に、球に強い逆回転を与えることで、自分の感覚以上に延びる球を投げることに気づきました。


 そして、さきの本で、その理論的裏付けが得られたのです。

 さらに、幻の魔球「ジャイロボール」についても知ることができました。



 さて、始めに手元で延びる球(直球)についてです。

 まずは基本を……

 地球上で放擲(ほうてき)された物体は、例外なく空気の影響をうけます。

 ボールもまたしかり。

 かつて、ボールを投げ始めた人類は、球をより遠くへとばすために、球に指をかけてリリースする瞬間に回転させればよいことに気がつきました。


 ああ、その前に、飛行機がなぜ飛ぶかはご存じですね。




 主翼の断面図をみると(下手な図ですみません)、下がまっすぐで、上がふんわりと曲がっています。

 そのために、翼の下を流れる空気より、上を流れる空気の方が早く流れるのです。

 ある物体の表面に、早く空気が流れる部分と、遅く流れる部分があれば、遅いほうから速いほうへと力が働きます。

 これが揚力(ようりょく)と呼ばれるものです。

 飛行機は揚力で空中に浮かんでいられるのですね。


 しかしながら、ボールは球なので、上下左右、流れる空気の早さは同じです。

 ですが、球に回転が生じると、ボールから見た空気の速さは見かけ上変わってしまうのですね。

 たとえば、直球を投げる時のように、球を進行方向に対して「逆回転」させると、球下側のボール表面は、球の回転する速さとボールの飛ぶ速さで相殺(そうさい)された遅いスピードの風を受けます。

 反対に上側は、投げるスピードと回転する速さが足しあわされて、流れる風のスピードが上がります。




 そこで遅いスピードの空気が流れるボール下部から、速いスピードのボール上部へ向けて、「マグナス力」と呼ばれる力が働き、回転をかけずに投げた球の軌道より、上のラインで飛んでいくことになるのです。(下図参照:バッター・キャッチャーからみた球の回転と動きです)





 これが理解できれば、あとは簡単です。


「進行方向と逆の回転する方向から力を受ける」わけですから、右に曲がるカーブを投げたければ、左側を逆回転させればよいし、左カーブを投げたければ、右側を逆回転させれば良い。




 縦に落ちるカーブを投げたければ、直球とは逆に「上側を逆転させるよう」に投げるのです。

 実際には、ピッチャーは、ボールを斜め方向に回転させることで、斜め上の力を受けさせたり、斜め下の力を受けさせて、さまざまな軌道を描く「魔球」を投げ分けています。


 上記本の説明で、とりわけ面白く思ったのは、フォークボールについて言及された箇所でした。

 わたしは、今まで、きちんとしたフォークなどは投げたことはないのですが、握り方は知っていました。

 あの、Vサインを思い切り広げてボールを挟み込んで投げるというアレですね。

 でも、なぜ、ああいう投げ方でフォークという軌道が完成するのかはわかりませんでした。

 しかし、先の理屈で考えれば簡単です。

 要するに、球に、左右の回転だけを与えるように投げれば良い。

 そうすれば、ボールは左右には曲がるかもしれませんが、上下方向には何の力も受けず、重力の力だけで下に落ちていきます。

 でも、なんだかおかしく思えますね、
 実際に目にするフォークは、どうしてあれほど急に落ちるのでしょう。

 何かの力がかかっているように見えますが、あれは重力だけで落ちているのですね。

 では、なぜそう見えるのか?

 先に書いたように、通常の球は逆回転をかけられて、上に浮かびながら飛んでいます。

 ですから、それに慣れた目には、重力によって自然落下するボールは、まるで地面に吸い付けられるような軌道に見えるのです。

 左右の回転だけを与えて、上下の回転をゼロにするためには、ボールを真横でつかんで投げる必要があります。

ボールに十分なスピードを与えつつ、上下の回転をゼロにする、それがあの思いっきり開きVサイン握りだったのですね。


 では、ボールに全く回転を与えなければ?

 それが、いわゆるナックルボールです。

 ほぼ回転せずに飛んでいくボールは、ボールの縫い目(シーム)のデコボコの影響を受けて、予測不能な動きをするのですね。

 だから、大リーグには、ナックルボールだけを投げて20勝するピッチャーも、ナックルボウラーの球だけを受けるキャッチャーも存在するのです。



 今回はこれぐらいにしておいて、次回は「ジャイロボール」についてお話したいと思っています。


 私のおすすめ:
魔球の正体

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