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2009年3月 8日 (日)

ふたりの男とひとりの女  〜エクス・マキナ〜

 今日は、WBC対韓国戦を観た後で、近くのGEOにDVDをレンタルに行ってきました。

 気になっていた映画(旧作ばかりですが)をいくつか借りてきて、一息に観てしまったところ、いつの間にか日付が変わっていて、ついに「一日一項目書く」というオキテを破ってしまいました。

 まあ、まだ寝ていないし、「0時を回っても今日のウチだろう」と気を取り直して、映画感想を書きます。


 今回のタイトルは、かつて書いた「ベクシル」と対になっています。

 タイトルは「エクス・マキナ」
 名作「アップルシード」の続編です。
 「ベクシル」同様、CGアニメーションです。





 ジョン・ウーが制作総指揮をつとめました。

 おそらく、彼は、前作の「アップル・シード」に深く感銘を受けたのでしょう。

 

 しかし……口にするのは辛いことですが、格言「続編に佳編なし」は、この映画でも有効でした。


 続編で面白い映画を作れるのは、ジェームズ・キャメロンだけなのでしょうか?


 実のトコロ、あまり良い評判を聞かなかったために、今まで観るのを控えていたのです。


 実際に観てみると、評判通りでした。


 言葉にするのは、本当に辛いのですが、これはもう、続編の設定、脚本、演出の甘さという他はありません。


 「アップルシード」における、設定の雄大さ、ツブの細かさ、伏線の鮮やかさ、そして愛情のこまやかさ、どれをとっても、続編には受け継がれていないのです。


 あー辛い、こんなことを書くのは。

 わたしは、よっぽどの事がない限り、否定的なことはこのブログでは書きたくないのです。


 でも、仕方がない。


 映画を観ながら、「今回の脚本家は、アップルシード原作を読んでいるのだろうか?」と、なんども自問しました。


 映画が公開された時、公式サイトで、原作者の士郎正宗が、ヒロインの恋人であるサイボーグ、ブリアレオスのクローンが登場するという話に触れて、「僕の中では、彼は、大男の黒人というイメージなんですが……」と言っているというのを聞いて、我が意を得たり、と膝をたたいてしまいました。


 そのとおり、天才戦闘マシンのヒロインデュナン・ナッツが恋する男が、「エクスマキナ」に出てくる彼のクローンのように、すらりとした二枚目の東洋系なんてあり得ないでしょう。


 いろいろな意味で、前作の設定はすばらしかった。


 戦いで生き別れになった恋人と再会したら、彼はサイボーグになっていた。

 上半身は、まるでロボットだけれど、下半身には男性機能が残っていて、子供を作ることもできる。

 ヒロインは、彼のサイボーグ化をなんとも思っていないけれど、彼の方が妙に屈折していまっていて、なんかギクシャクする……という美女と野獣タイプのストーリーなんですね。


 二人の関係を縦軸に、新しい世界を作る、人間からデザインされたバイオロイドと、彼らを拒絶する人間たちとの闘いを横軸に、アップルシードと呼ばれるふたつの種族の行く末を決める鍵となるデータを探す、というのが前作の大筋でした。

 ざっと書いただけでも、内容が入れ子になっていて単純でなく、人間関係が魅力的であることは一目瞭然です。


 サイボーグ化した恋人が「まだ男である」というのも鮮やかな驚きですし、また、だからこそ、この映画のコピー「戦いが終われば、母になろうと思う」は秀抜なのです。

 そりゃ、サイボーグ009と003も、未来で子供を作ってますがね。



 もちろん、「エクス・マキナ」にも観るべきところはあります。


 それが、この項のタイトル「ふたりの男とひとりの女」です。

 サイボーグ化して顔がロボットのようになった恋人と、彼の遺伝子から作られた、人間である時の彼の顔と体を持つクローンの二人から、ヒロイン、デュナンは愛されるのです。



 もともとは、同じ人間だから、結局、同じ女を好きになる。

 おまけに、咄嗟にでるふたりの男の行動、しぐさは、まったく同じ……


 初めは、とまどうデュナンですが、彼女の愛はブレません。

 このあたり、もう少し突っ込めば良い話にできたのに残念です。



 物語の骨子となる、敵役ハルコンなるものも、まるでダメです。

 たしいた謎でもないし、そいつを生み出した武器製造都市「ポセイドン」が、あっさりとその破壊に協力するのもなんだかなぁ。

 そして、細かい内容たるや、中学二年生が「これがカッコいいんダゼ」とばかりに、手垢のつきまくった設定をつなぎ合わせて、あげく、アメリカ式O型性格まるだしの、「細かいことは気にすんなよ」式のハッピーエンド!とは酷すぎる。


 劇中で交わされる、彼らの言葉を書いてみますので、脚本が、どのくらい酷いかを分かってください。


「彼女にも、まだ人間の心が残っているはずだ。彼女に話しかけろ」
「私を壊してください。私に人間の心が残っているうちに……」


 あーやだ。もうカンベンしてよ。想像力ってもんがないのかなぁ。



 絵柄が第一作とは変わってしまっているのも、なんだかな、でした。

 いや、画風が少し変わるのは良いんです。

 でもねぇ……


 前作で、未来都市の執政官であるアテナは、もともとは美しい女性でありながら、結構年をとった感じで書かれていて好感が持てました。


 それが、今回の彼女は、顔に張りはもどるわ、髪型は若くなるわ、服の趣味は変わるわで、最初、違う役の人が出てきたのかと思ったほどでした。

 前作のサブ・キャラ、ヒトミも、印象からして全然違うから、誰か分かりませんでした。

 もちろん、前の方が、技術が未熟なため、人形みたいで違和感はあったのですが、それがバイオロイドという「ヒトでないもの」みたいな雰囲気をよく表していたような気がするんですね。


 今回のヒトミは、まるで人間だからなぁ。

 と、がっかりしているうちに、0時を回ってしまったのですよ(まだ言い訳を……)。



 しかし、収穫もありました。

 同時に借りてきた、これもずっと気になっていた、1993年にタツノコプロ創立30周年記念作品として制作されたOVA版キャシャーン(全4話)が、なかなか良かったのです。

 これは、今の「キャシャーンSins」ではなく、オリジナルのキャシャーンの世界観をそのままリメイクした作品です。


 上月ルナは、オリジナルもびっくりの「セクシースタイル」ですし、キャシャーンはなんだかデカい!

 それに、ちょっとロボットっぽい。

 愛犬ロボット、フレンダーは、まるでロボット犬みたいだし(当たり前だけど)……

 そして、わずかに世界観がシビアになっているんですね。

 これはなかなかいいですよ。

 DVD一枚に全四話が入っているのもお借り徳ですし。


 キャシャーンのパラレルワールドとして、一度ご覧になっても良いかと思います。


 本当のことをいうと、キャシャーンを夢中で観ている間に0時を回って……(もう良いって!)



 あと、怪作「カイバ」(あのマインド・ゲームの湯浅政明監督作品)の最終話と、なんか気になっていた、『ドロロンえん魔くん』のコミック色を廃した大人版「鬼公子炎魔」も借りて来ました。

 これも、観てみて書くに値するものであれば感想を書くつもりです。

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