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2009年2月17日 (火)

腫瘍マーカーp53抗体

 皆さんも「腫瘍マーカー」という言葉をご存じでしょう。

 ご存じのように、ヒトの体は細胞でできています。

 その数多い細胞は、体中を流れる血液から栄養を与えられ、老廃物を持ち去られています。

 ですから、細胞に異変があれば血液に変化が現れる。

 ふつうは、血液の構成物質を調べれば異変がわかるのですが、先に紹介したPET検査は、栄養の流れを調べて、悪性腫瘍つまりガンを発見しようという「逆転の発想」の検査方法でした。


 腫瘍マーカーは、血液の組成を調べて体内の異常を発見するという、ごくオーソドックスなガンの検査方法です。


 ターゲットにするのは「血液中のタンパク質」です。


 ガン細胞は、一般的なタンパクのほかに、健康的な人体にはあまり存在しない特異的なタンパクをもっていることがあります。

 腫瘍マーカーはこの特異的なタンパクを調べる血液検査で、CEA、BFP、TPA、IAPなど、数多くの種類が発見されていて、診断の補助や術後の経過観察に有効な手段になっています。

 この辺は、ネットで検索されてもすぐに一覧が表示されると思いますので興味があればお調べください。

 マーカーには「特定の臓器」のガン細胞に陽性を示すものと、臓器に対する特異性が低いものがあります。


 腫瘍マーカーには、ガンが「ある程度の大きさになるまで陽性を示さない」という性質があり、陰性であるからといってガンを否定できるものではなく、他の要因によって陽性を示すこともありました。

 このあたりもPET検査に似たところがありますね。


 「不正確さ」と「進行したものでないと判断できない発見の遅さ」が腫瘍マーカーの欠点なのですが、最近、「食道ガン」「大腸ガン」「乳ガン」に対して保険が適用されるようになった「p53抗体」という新しい腫瘍マーカーが注目されています。

 別項でふれた「ガン抑制遺伝子」として知られる「p53遺伝子」が作り出すp53タンパク質は、DNAに傷を受けた細胞の増殖を止め、DNAの修復を促進したり、修復不可能な細胞を自殺させたりするなどの働きをします。

 もし、p53遺伝子が「突然変異」を起こしp53遺伝子タンパク質の機能がなくなると、さまざまなガンが発生するようになります。


 p53遺伝子は、変異すると「自己抗体」を作ります。

 つまり、

「p53遺伝子が変異しているとガン細胞が発生しやすい」→

「p53遺伝子が変異すると自己抗体が生み出される」→

「血液中に、p53抗体があれば、ガンの可能性が高い」

 ということになります。

 p53抗体検査は血液1ミリリットル程度で検査できます。

 今までの腫瘍マーカーは、上記のように「増殖するガン細胞が作り出すタンパク質」や「分泌されるホルモン」などの物質を調べてきました。

 そのため、「ガン細胞があまり増殖していない初期の段階」では精度が落ちることがあります。

 しかし、ガン細胞自身が作り出すタンパク質ではなく、ガン細胞を抑制する遺伝子の変異によって作り出される抗体ならば、かなり早い時期に血液組成に現れるのです。

 つまり、p53抗体の特徴は「早期ガンの検出率が比較的高く」、腫瘍マーカーと組み合わせて検査すると検出率があがるということです。

 また、治療経過の観察や再発、転移の指標としても有効です。


 もちろん、p53抗体検査は万能ではありません。

 検査を行っても、初期ガンがすべて発見されるわけではありません。

 陰性の場合でも100%ガンを否定することはできませんし、p53抗体検査だけで、ガンの種類がわかるわけではありません。

 これまで通り、様々な検査を組み合わせて総合的に判断する必要があります。

 それでも、以前よりはるかに早くガンの兆しを知ることができる点で、かなり有効な検査方法だといえるのです。

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