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2009年1月14日 (水)

根源はカモである マルクス兄弟もびっくりのインフルエンザの黒幕


 わたしたちが子供の頃は、インフルエンザといえば、香港A型だのB型だのといったわかりやすい名前のものだった。

 それが、いつのまにかH5N1などという型番で呼ばれるようになってしまっている。

 名前が難しくなると、内容も難しいように感じられ、挙げ句、治療困難な難病のように思えてくるから不思議だ。

 が、実のところ、インフルエンザの問題点は、その増殖速度のすごさにある。

 たった一個のウイルスが、数時間で数百万倍になって体内に蔓延するため、次々と患者が増えていくのだ。

 いわゆるインフルエンザ・パンデミック、感染爆発であるが、ご存じのようにインフルエンザ自体は治癒困難な難病ではない。

 ワクチンもあれば予防接種も(一応)ある。

 あらためて考えると、インフルエンザの本当の恐ろしさ、というか、恐怖の原因は人間の過剰人口にあるのだ。


 もし、人口50人の村でインフルエンザが流行るなら、豊富に用意したワクチンで簡単に対処できるだろう。

 だが、人口500万都市で感染が始まれば、たちまち薬が足りなくなる。

 ワクチンは、現在のところ、作るのに半年近くかかる上、どの型(後で説明)が流行するか、はっきりとわからないため、半分、目をつぶって、エイヤっと(もちろん傾向も統計も使うだろうが)型を決め(H3N2やH1N1など)撃ちしているのだから。
 
 もし、予想したのと完全に違う型が流行すれば、ワクチンは、たちまち足りなくなって感染爆発が都市を襲うことになる。

 ご存じのように、交通機関の発達で世界は狭くなり、例えばヨーロッパの地方都市で発生したインフルエンザは、数時間で世界に広がるといわれているからだ。


 では、そもそも、インフルエンザとはいったい何なのだろうか?


 アフリカのどこかで、密かに残っていたウイルスが、珍獣の輸入とともに都会に入り蔓延するのだろうか?
 では、なぜ冬に流行るのか?寒さで体力が低下するのと、空気が感想するのを差し引いても、ちょっとおかしい。

 答えは簡単だ。


 以下、先日、たまたまウチの「MAGIC TV」のキーワード予約録画「インフルエンザ」でひっかっかって録画されていた番組の要約です。

 内容が面白かったので、自分の備忘録もかねてまとめてみました。


 先ほどの答えですが、それは「すべてのインフルエンザ・ウイルスはカモに由来しているからだ」です。

 もともと、カモが持っている、亜種も含めた様々なインフルエンザウイルス(理論上144種あることが知られています:カモには無害)が変化して人間に害をもたらすのです。

 下の図は、カモのインフルエンザ・ウイルスの模式図です。

 見て分かるように、ウイルスの表面には逆三角形のものと、クギ型の二種類の突起があります。





 逆三角形型のものをHA、クギ型のものをNAといい、それぞれ、

 HA:16種類、NA:9種類

 あります。

 その型の組み合わせを考えると 16x9=144種類。

 図にすると以下になります。




 おわかりですか?

 そうです、この行と列の組み合わせが、冒頭に書いたH5N1型というものなのです。

 わかりやすく赤で示したのがH5N1型です。

 先に書いたように、このウイルスは人には無害です。

 ところが、これが、ニワトリや七面鳥やアヒルに感染することがあり、そうなると、その鳥を殺す毒性を持ってしまうのです。

 ほら、何年か前に、鳥インフルエンザで養鶏場のニワトリを全部殺すというのがあったでしょう。

 あれですよ。

 これを「高病原性鳥インフルエンザ」と呼びます。
 ヒトには感染しますが、ヒト→ヒトの感染はありません。
 おもに鳥を殺すインフルエンザで、養鶏場などに多大な被害をもたらすものです。


 人間に害を及ぼすインフルエンザ・ウイルス(ヒト→ヒト感染型)は、カモ→ブタ→ヒトの順で変化します(新型インフルエンザ出現のメカニズム)。

 先に述べたように、ブタに感染するウイルスは、カモが持っているウイルスのどれかです。

 ということは144種類。

 ごく大ざっぱにいうと、我々が受ける予防接種は、1/144の確率で当たるだけなのです。


 嬉しいことに、つい先頃、日本の研究グループによって、すでに分離して人類が手にしていたH1N1型などのウイルスに加え、足りないものを研究室で合成し、われわれ人類は144種類すべてのウイルスを手にすることができました。

 つまり、上の図の青玉すべてのウイルスを、いま人類は持っているわけです。

 これらのウイルスは、ワクチンを作るときの素、タネになります。

 専門家によると、鳥インフルエンザ・パンデミックは必ずあるそうです。

 しかしながら、冒頭で書いたH1N1型インフルエンザは、あくまで鳥インフルエンザがヒトに感染したものです。致死率はかなり高いのですが、それほど危険ではありません。
 なぜなら、新型インフルエンザではないからです。

 では、何が新型インフルエンザなのか?

 鳥→ヒトではなく、ヒト→ヒト→ヒトこれが、新型インフルエンザです。

 ヒトからヒトに感染(うつ)る。

 過去において、以下のような新型インフルエンザが流行しました。

●1918年スペイン風邪(H1N1型)が新型インフルエンザとなりました。これは人類にかつてない被害をもたらし、日本で40万人以上、世界では4000万人以上が死にました。

●1957年アジア風邪(H2N2型)は、ブタを介してヒトに感染したウイルスです。

●1968年香港風邪(H3N2型)は直近の新型インフルエンザです。


 こうしてみると、10〜40年間隔で新型インフルエンザが出てきます。

 直近が1968年で、最大周期が40年ですから、2008年あるいは2009年が、かなり怪しいということになります。

 いつ発生してもおかしくない。

 その際、先に述べた144種類のウイルスが役にたちます。

 それをタネにワクチンを作れば良いのですから。

 ただ、それら原初ワクチンは、初期の感染には有効かもしれませんが、ヒト→ヒトの感染を繰り返すうちに、ウイルスが変遷する可能性があり、その際は、それに応じたウイルスを開発していかねばならないそうです。


 いま、ワクチンの摂取方法も進化しつつあります。

 国立感染症研究所では、インジェクション(注射)によるものではなく、鼻にスプレーして摂取するワクチン(経鼻[けいび]ワクチン)を開発しています。

 インフルエンザウイルスが、最初に、人間にとりつく鼻粘膜に直接ワクチンを吹き付け抗体を作るという、わかりやすい方式ですね。


 過去、鳥インフルエンザが発生した国を地図で示すと、アフリカ大陸西部及び南部、つまりモロッコや南アフリカ共和国は入っていません。

 だからといって「よし、わかった。冬の間はそれらの国に避難だ」と考えるのは早計(そうけい)です。
 だって、アフリカには、マラリアやツェツェフライによる感染、あるいは未知の病原菌などが、確かに残っていますから、我々のような脆弱(ぜいじゃく)な人間にとっては、かなり危ないのです。

 わたしは、インドですら病気になりましたから。

 あと、オーストラリアは鳥インフルエンザが発生していません。

 これは、カモの飛行コースではないからでしょうか?

 「じゃあ、冬の間、オーストラリアで過ごせば安心じゃないの」というわけでもなさそうです。

 オーストラリア大陸のすぐ上、ミクロネシアから連なる島々で鳥インフルエンザによる死亡が確認されているからです。

 オーストラリアは、あくまでまだ発生していない国というだけのようです。

 先にも書きましたが、交通機関が発達していますので、どこの国が安心というのは、もはや考えられないようです。


 結局のところ、我々個人にできるのは、手洗い励行とマスク着用ぐらいでしょうか。

 国は、人権を守りつつ公共の福祉を優先させ、菌をまき散らす特定体質の人々(スーパースプレッダー)をいち早く隔離するのが得策でしょう。

 また、これほど医学が進んでも、やはり正しい昔の言葉があります。

「病は気から」

 そう、ストレスをためず、気持ちよく毎日を過ごすことが、インフルエンザ予防には大切でしょうね。

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