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2009年1月19日 (月)

ある朝、目が覚めると配管工のジョーは……

 オバマ氏に絡んだ話題をもう一つ。

 ある朝、目覚めると一匹の巨大な虫になっていたのは、カフカの「変身」に出てくるグレゴール・ザムザだ。

 余談ながら、わたしの中では、かんべむさし氏作「氷になった男」の主人公、ミズコール・サムサが「命名ナンバーワン」の登場人物なのだが、それはともかく……

 手塚治虫の傑作連作「メタモルフォーゼ」第1話は、確かSF的にアレンジした「変身」を扱っていた。

                           メタモルフォーゼ詳細



 その中で、手塚治虫は、おそらく誰もが違和感を持ったであろうザムザの末路、行く末に決着をつけるという快挙を成し遂げた。

 ある男が巨大な虫になっていた?

 よし、不条理ながらそれはいいだろう、認めよう。

 だが、虫とはなんだ?

 カフカの描くような形態の虫は、だいたいにおいて何かの虫の幼虫のことだ。

 放っておくと、虫はやがてどうなるのだろう。

 そう、幼虫はいつまでも幼虫ではない。やがてサナギになり成虫となって空に羽ばたくのだ。

 政治犯?として遺伝子変換刑に処され、イモムシに変えられた手塚版ザムザは、政治犯収容所で、通常一週間ほどで死ぬはずのところを、残飯を喰い、しぶとく生き残ってサナギとなり、最後に美しい成虫へと変態を遂げ、看守を刺し殺し大空へ飛び立って行ったのだった。


 まあ、成虫になりきれず死んでしまう本家「変身」は、閉塞感たっぷりの不条理作家カフカの作品らしくはあるのだが。


 と、そんなことを書きたかったのではない!


 ザムザではないが、世の中には、たまに「ある朝目が覚めると事態が急変していた」人間がいる。


 「ある朝目を覚ますと有名になっていた」のはバイロンだった。出版した詩集が好評だったからだ。


 そして、昨年10月、突然有名になり、「ある朝、目を覚ますと20人以上の記者に囲まれていた」のは、オハイオ州在住(当時)のジョー・ワーゼルバッカー(34:当時)だった。


 彼は、遊説にきたオバマ議員(当時)に税金に関する質問をした配管工だ。





 3日後、当時対抗していたマケイン議員がオバマ議員とのテレビ討論会で、突然「配管工のジョー(Joe the Plumber)」と呼びかけた。




 ジョーをダシにして両候補は20回以上彼の名を挙げ減税案を競った。


 彼ら二人は台風だ。巨大な自然現象に似た荒ぶる神だ。一般人は、そういった台風に巻き込まれてはならない。

 だが、運悪くジョーは巻き込まれてしまった。

 プライバシーに関する意識も高く、さらにそれを守るすべも知っている政治家と違い、「配管工のジョー」は、いきなりマスコミのプライバシー攻撃にさらされてしまったのだ。

 おかげで、ある朝目を覚ますと「ジョーは丸裸にされてしまっていた」のだ。

 マスコミは、すぐにジョーを発見し、こと細かく報道し始めたから。

曰く、

 ジョー・ワイゼルバッカー、34歳。離婚して13歳の息子がいる。州税1182ドルを滞納中。配管工の免許を持っていない……


 どうも、マスコミの下世話(げせわ)さは洋の東西を問わないようだ。

 配管工のジョーが「配管工の免許」を持っていないなんてシャレにもならないではないか。

 嵐のような大統領候補二人の戦いに巻き込まれたジョーは悪夢の体験をした。



 以来、三カ月、配管工のジョーの生活は平穏になったのだろうか?

 それとも、サブプライムローンに端を発した未曾有の恐慌に巻き込まれ、さらなる嵐に翻弄されているのだろうか?

 わたしはそれを知ることはできない。

 なぜなら、巨人ふたりに弄(もてあそ)ばれた人形(G.I.ジョーならぬPlumberジョー)は、彼らが触っている間こそ脚光を浴びたが、遊び終わって放置された時点でスポットライトは消え去り、再びライトに照らされることなどないのだから。

 一方、マケイン氏を押しのけ大統領レースに勝利したオバマ氏は、ライムライトを浴びつつワシントン入りをし、明日、クライマックスを迎えることになる。

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