« 涼風一瞬  〜島左近のテーマ〜 | トップページ | リトル・バスタード (自作小説:PDF SF小説) »

2008年12月 3日 (水)

燃ゆる城 (自作小説:PDF 推理時代小説)

 これは、リトル・バスタードから十年以上たって、二年ほど前に書いた作品です。

 ミステリの体裁はとっていますが時代物です(タイトルからわかりますね)。

梗概:あらすじ

 将軍家光の時代。

 坂城慎之介は小藩である中山藩の武士だ。禄は少ないが剣の腕は立つ。

 彼には、剣術仲間である野崎瑞賢(のざきずいけん)がいた。

 瑞賢は医者で城主の腹違いの弟だ。

 名君と謳われた城主は、数年前に原因不明の火事で死に、今は、十歳の幼君勝治(かつはる)が藩をおさめている。

 医学の勉強のために国際都市堺(当時は長崎よりもその気風を残していた)に長く滞在し、日本中を旅して回っていた瑞賢が久しぶりに慎之介を訪ねてきた。

 旧交をあたためる二人。

 だが、瑞賢が話し始めたのは藩内に流れる奇怪なうわさ話だった。

 前城主が死ぬ前に、途方もない武器をどこかに隠しているというのだ。

 おりしも、隣国川村藩からは嫌がらせまがいの領土侵犯がくりかえされ、領民や藩士の不満が高まっていた。

 半信半疑ながら、慎之介と瑞賢は「謎の武器」を探し始める。

 だが、やがて真実にたどり着いた二人を待っていたのは恐ろしい事実だった。

 横書きだと読みにくいので、今回、PDF形式に変更して再アップしました。

 貧乏な藩を治める名君が陥った悲劇。

 短い話なので、ぜひお楽しみください。




 今話題のケータイ小説とはまったく違う、ごく普通の文体なので、読みづらいかも知れません。

 ケータイ小説といえば、最近、瀬戸内晴海が「ケータイ小説」を書いて話題になりました。
 86才でたいしたものです(そう言われたいがためだけに書いたのだとしたら愚かですが)。

 彼女の書いた「ケータイ小説」は、一度、彼女が書いたものをスタッフが今ふうの文章になおし、それを作者に見せて、手をいれてから、小説サイトに登録したそうですが、それを聞いて、なんだか、一連のシドニィ・シェルダン『超訳』小説シリーズを思い出しました。

 ケータイ小説のお約束どおり、背景をあまり書かず、会話中心で絵文字を使ってテンポ良く書いたそうです。

 メディアと読み手の資質が変われば、文学もかわり文章もかわります。

 わたし自身は、長らく、文学関係の方がよく口にされる『文体』というものを軽んじてきました。

 書き方ではなく、そこで話される「内容」が大切なのだと。
 だから、同じハナシを同工異曲で作り直した作品は大嫌いでした。
 今も、その考えは変わっていません。

 だから、内容がしっかりしていれば、携帯電話で読む小説も、また良いと思います。
 和歌や俳句が贅肉をそぎおとして深みを増したように、会話に重きを置いたケータイ小説にも、なにがしかの未来はあることでしょう。

 また、情報が多く、読みづらく、読み手に多くの能力を要求する従来型の小説も、限りなく読者を減らしながらも、しばらくは続くことと思います。
 マンガや映画を始め、来るべきVRメディアで実際に読者がものがたりを体験できるようになっても、常に新しいストーリーは求められれるからです。

 いま、ふとおもったのですが、ケータイ小説とは、マンガで育ち、マンガを使って自己を表現してきた子供たちが、マンガで自分が表現できない(つまり一番自分を表現できる道具がつかえない)フィールド(携帯電話など)で、少ないボキャブラリ(言葉は、自分たち本来の道具ではないから)を使って、ストーリーを作ったものではないでしょうか。

 もう少し正確にいうと、ケータイ小説は、マンガから絵を取って(フィルタリングして)ネームだけを並べたものでしょう。だから絶対的に情報量が少ない。

 マンガはすばらしい。ある意味、世界共通の言語ですらあります。

 ですが、マンガの最大の欠点は、読んで、見て、身についた表現を、自らの肉体だけで再現できない(つまり絵にかかないと表現できない)ことです。

 コトバなら、気に入った文章を、口の中で繰り返し、覚え、友人との会話にも使うことができる。
 たくさんの気に入った文章の組み合わせが、その人の個性も作る。

 だが、マンガは一方通行です。
 だから、モノや知識をよく知っていても、その表現方法を持たないコドモたち(大人もね)が多くなるる可能性がある。

 わたしは、個人的は、一文の中に名詞や副詞や形容詞や節が、さまざまに入り乱れて、音読した際に、読み手のバイオリズムを変化させるような、入り組みながらも気持ちよくリズムを刻む長文が好きです。

 だから、わたしには、若い人が好むケータイ小説ふうの文章を書くことができない。

 ただ、ケータイ小説を好む若者たちがいるのもわかる。

 清少納言や紫式部など、かつての宮廷サロンのように、閉鎖された(今なら、ネットなどで知識を共有した)仲間内のハナシのやりとりならば、隠語や省略語を多用して、詳しく書かずとも、阿吽(あうん)の呼吸で状況を理解できただろうから。

 その反面、仲間でなければ、誰が話しているのかさえ分からない意味不明の文章になってしまうのは、我々現代人が「源氏物語」を読む時に、誰がナニをいっているのか分からないのと同じことなのでしょう。

 当時、貴族たちが仲間ウチだけで回し読みしていた「ゲンジ」が、今や古典文学です。

 ケータイ小説も、誰か天才がでてくれば、一流の作品ができあがり、世の中に認知されるかもしれませんね。

 まあ、ごたくはともかく、時代小説「燃ゆる城」

 ぜひ、お読みください。

|

« 涼風一瞬  〜島左近のテーマ〜 | トップページ | リトル・バスタード (自作小説:PDF SF小説) »

自作小説(PDF)」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/159899/47273843

この記事へのトラックバック一覧です: 燃ゆる城 (自作小説:PDF 推理時代小説):

« 涼風一瞬  〜島左近のテーマ〜 | トップページ | リトル・バスタード (自作小説:PDF SF小説) »