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2008年11月 8日 (土)

カリスマ美容師のミッション・インポッシブル

「おう、おやじ!アタマをスッキリ、スパッとやってくれ」
 席につくなり、源二郎は声を張り上げた。
「オグシは耳にかかるくらいでよろしいでしょうか?」
 場違いな客にも、冷静に彼は応対した。
「ばかやろう、なに気持ち悪ぃこといってやがる。男はすっきり二分刈りだ。バリカンを使え、バリカンを。だから、こんなところに引っ越すのは嫌だっていったんでぇ」
「かしこまりました」
「そんあとは顔剃りたのむぜ。孫がよぇ、なに?ボルチーモアってアメリカから帰ってくるからよ。ジイチャン、おヒゲいたーい、なんて言われるとツライじゃねぇか、キッチリ剃ってくれよ」
「あの、お顔を剃るのはちょっと」
「何を!おめえとこはトコヤじゃねえのかよ」
「はぁ。うちは美容院でして。白金台ではけっこう有名で、なんども雑誌に……」
「じゃ、ひげ剃りしろや!」
「いえ、お顔は……うちは美容院でして」
「おめえじゃ話にならねぇ。店長を呼べ、店長を」

 源二郎さん、すっかりオカンムリですが、この店では、顔剃りは不可能なんです。

 さすがのカリスマ美容師にも不可能なことはある。

 ひとつは、もともと顔の造作がトンデモナイのに、アイドルみたいにしてくれ、という無茶な要望に応えること。

 もうひとつは、顔を剃ることだ。

●美容院
 ・厚生労働大臣認定の国家資格を持った美容師が、美妖術を施す施設。
 ・できること
  ヘアカット、パーマネントウェーブ、ヘアカラー、ヘアマニキュア、
  結髪、化粧、着付け、最近ではマッサージなど。

それに対して、昔ながらのトコヤ
●理容院
 ・理容師法によって定められた厚生労働大臣認定の国家資格である理容師資格に合格した理容師が散髪を行う施設。

 歴史的な話をすれば、1879年(明治12年)、初めて「理髪人」の営業鑑札が発行され、以後、1901年(明治34年)「理髪営業取締規則」の公布後、正式な職業と認められた。
 さらに戦後新憲法の施行にともなって、1947年(昭和22年)に、それまでの警察管理下から厚生省(当時)の管理下に移され、現在に至っている……らしい。

 美容師との決定的な違いは、理容師のみがシェービング(顔剃り)ができることだ。

 現在、理容師は美容師の20パーセント程度しかおらず、その数は減り続けている。

 やっぱり、美容師の方が、体裁いいからかなぁ。
 女性の進出も美容師が多いだろうしね。

 それはともかく、あなたの通うサンパツヤが、いかにハイカラな施設で名前がハイソ(あー、ぞっとする言い方)なものであっても、顔剃りがあれば、それはトコヤっちゅうことですよ。

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