« イイクニつくったか? 鎌倉探訪3 文学館 吉田秀和 | トップページ | イイクニつくったか? 鎌倉探訪5(Last) さらば江ノ島 »

2008年11月 2日 (日)

イイクニつくったか? 鎌倉探訪4 いまそこにいる鉄人(銅人)

 徒歩用地図として重宝しているPSPみんなの地図3+GPSによると、観光地図に載っているように、一度、由比ヶ浜駅に戻って、ひと駅となりの長谷駅で降り、鎌倉大仏へ向かうより、文学館から直接歩いた方が早そうなので歩くことにした。

 大仏へ向かうまでの、文学館近くの住宅地は、おそらく我々がもつ鎌倉というイメージにもっとも近い閑静な場所だ。

 軒先で飼い殺しにされている血統書付きの犬はおらず、町並みには、今でこそコンクリートの塀で囲まれてはいるが、数年前までは、きっと、あのなつかしい板塀で囲まれていたに違いないと思わせる雰囲気が残っている。

 もちろん通りすがりの視線と、そこに住む者の視線は違う。

 安易にわれわれが憧れる生活も、そこに住む人々にとっては、それなりの苦労があるに違いない。

 それにしても、静かで気持ちの良い住宅地だった。


 歩くうちに、ほどなく鎌倉大仏に到着した。

 拝観料200円を払って中に入ると、目の前に国宝銅造阿弥陀如来座像、いわゆる鎌倉大仏がそびえていた。

 奈良の大仏は見慣れているが、それとはまた違った迫力がある。

 なにより、背後に山を背負っているのがイイ。




 なんというか、ウルトラマンなどの巨大ヒーローに通じる何かを感じる。
 おそらく大仏が戸外にすっくと立っている(実際は座っているが)からだろう。

 いや、違う、違うな。実のところ……

 造形自体がうまいのだ。一流の芸術家の手になったもののように。

 このアングルだと、本当に生き生きとした表情で、何かを説法し始めそうに見えるほどだ。



 鎌倉大仏には、左腰のあたりから地下におりる階段が伸びている。

 そこには係員がつめていて、20円支払えば階段を降りる許可をくれる。

 もちろん入りましたよ。

 大仏内部に入って、さらに感銘をうけました。


 わたしは、はじめ、それを体内巡りだと思ったのだった。

 長野善光寺のように、中に入ったら真っ暗で、その中でヘソ、というか鍵を捜しあてたら福を授かるというあれだ。


 だが、実際は違った。

 中にはなにもなかったのだ。
 まさしく中身は空洞で、内側から仏像の凹凸が分かるだけだった。

 足下には、仏像建立の方法がパネルで示されている。

 見上げるとこんな感じだ。
 


 へこんでいるのは首の部分だ。

 以前に、同じものを、どこかでみたと思ったら、自由の女神だった。
 今では自由の女神のカンムリ部分に登ることは禁じられているはずだが、わたしがニューヨークへ行った当時、同時多発テロ以前は登ることができたのだ。

 自由の女神も、内側から外部の凹凸が見て取れた。


 しばらく見ているうちに、なんだか妙な気分になってきた。
 ところどころをリベットどめされている巨大なヒトガタ。
 どこかで見たような……

 なんだ、鉄人28号じゃないの。ジャイアントロボといってもいい。

 スペックによると、座高11.3メートル、重量121トン。
 まさしく、駆動部分のない、モックアップ鉄人(銅人)が鎌倉大仏なのだ、ってさっきから、オソロシク罰当たりなことを書いているな、わたしは。
 おそらく、今は左脳しか機能してないんだよ今は、たぶん。


 原作者も含めて、鎌倉大仏創建に関わる事情もナゾに包まれているというのも良い感じだ。
 おそらく、鎌倉大仏の原型制作者は天才だよ。

 かつて仏を納めていた大仏殿は、1369年に台風によって損壊したといわれているが、間近で大仏の表情を見ていると、大仏自体が、覆いを嫌って破壊したのではないか、という気がしてくる。

 崖を利用して切り出した磨崖仏(まがいぶつ)などではない、いちから人が作り上げた巨大なヒトガタには何か尋常でない力を感じる。

 自分たちの祖先である、技術不足で小型化できなかった巨人アダムに似ているからだろうか?
                       (「ふしぎの海のナディア」より)

 神は自らに似せてヒトを作り出したそうだ。
 ならば、ヒトが自らに似せて作り出したヒトガタは、ナニモノなのだろうか。
 おそらくデキが悪ければ、ロボット、あるいは人形と呼ぶものになるだろう。
 では、デキが異常に良ければ?
 コトバの遊びだけで考えれば、ヒトガタがモデルにしたヒトを越え、大きく、美しく、力強くなれば……自身をモデルにヒトを作り出したあのヒトになってしまうリクツだ。

 だから、ヒトは、ヒト以上のヒトガタを作りだしたいと願うのだろう。

 それを恐れて偶像崇拝を禁止する宗教も多い。




 世の中には、実際に行って目にしないとわからないものがたくさんある。
 わたしにとって、鎌倉大仏がそうだった。

 見飽きた奈良の大仏が外に出ただけの仏像だろうと思ったら大間違いだ。

 まさしく、ネコは飼ってみよ、妻は添うてみよ、仏(ブツ)は見てみよ、であった。

[まだ、つづく]

|

« イイクニつくったか? 鎌倉探訪3 文学館 吉田秀和 | トップページ | イイクニつくったか? 鎌倉探訪5(Last) さらば江ノ島 »

森羅万象気になること」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: イイクニつくったか? 鎌倉探訪4 いまそこにいる鉄人(銅人):

« イイクニつくったか? 鎌倉探訪3 文学館 吉田秀和 | トップページ | イイクニつくったか? 鎌倉探訪5(Last) さらば江ノ島 »