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2008年10月21日 (火)

脳以外がノウという 〜ビジネス脳のススメ〜


 もう、終わってしまったが、2008年8月号まで、VISAの月刊誌に、東京大学薬学部准教授、池谷裕二氏が「ビジネス脳のススメ」を連載されていた。

 脳の専門家の立場から、興味深い最先端の知識を分かりやすく解説する、すばらしい連載で、この一編のためだけに、妙に高いゴールドカードの会費を払っていたといっても良いほどだ。(もちろん、料金を払えばゴールドでなくても読むことができる)

 毎号のように、「先月の学会誌にこれこれといった興味深いレポートが載っていた。簡単に説明すると〜」と始められるのだから、たまらない。

 もちろん、学会誌であるから、「世間的に認められた確かな論」というより、最先端すぎてマユツバモノの論であることが、素人考えで見てもわかるようなものも多々ある。

 それがいい

 だが、そのどれもが、世界の脳科学の最先端を探る、素晴らしい実験とアイデアの宝庫であったのは間違いがなかった。

 たとえば、音痴と立体認識の関連という回がある。

 ある学者が、音痴の人の特徴を探るためにデータを集めると、歌の下手な人たちは共通して物の立体認識が苦手だったというのだ。

 いま、手元に記事がないために、ここは記憶に頼ることになるが、立体認識とは、展開図、つまり円錐だと扇形に円がちょこっとついているやつ、中学の図形なんかでよくでてきた、あれから立体の円錐を思い浮かべるという能力だそうだ。

 具体的なテストは、被験者に展開図をみせた後、いろいろな立体をみせて正解を当てさせるというものだった。

 結果からいえることは、どうも脳における「ヒトが立体を認識するフィールド」と「歌をうたうフィールド」が近いということらしい。

 だから関連性があるのだ。

 一見、まったく別の能力が、じつは密接に関係しているというのがおもしろい。

 その話を聞いて、分子式は同じに見えながら、性質が全く違う光学異性体を思い出した。

 まあ、この場合は音痴の例とは逆だが。


 わたしは、個人的に、人の行動や性癖、認知、認識をすべて脳に負わせるのは間違っているのではないかと思っている。

 たとえば、臓器としてみても、脳はその内容から考えて、決して肝臓より複雑で「上等」なものではない。

 だからこそ、脳のわがまま、必要、欲求で、眠いのをこらえて起きたり、肝機能が弱っているのに、さらに処理出来ないほどの酒を飲んだりすることは、対等であるべき臓器にとって、アンフェアな扱いだと思うのだ。

 身体は、脳のためにのみ存在しているのではないのだから。

 わたしは半可通の素人だから、そう思うのだが、脳の専門家はどう思うのだろう?

 連載の最後で、池谷氏は、「脳科学者がこんなことを言ったら、同じ専門分野の研究者にしかられそうですが……」と断って、脳と同じぐらい身体がスゴいのではないか、と述べている。

(以下、要約)

 たとえば、脳が疲れて眠ることもあるだろうが、時間を見て、ああ、もう寝なければ、と、考えて寝る方が多いのではないか?

 眠気は脳の内面からわき上がるのではなく、横になって、布団にくるまり、部屋の電気を消して「眠くなる」のが普通ではないか。眠気は、通常、体や感興によって作られるのだ。

 欲しいから買うのではなく、「見るから欲しくなる」ということは、ショッピング好きな女性ならよく知っているだろう。

 そういった例から、私たちは、脳の内側から自然と状況が変化するというより、仕草や姿勢を意図的に変えることで、後追いで脳がそれに見合ったように追随するというシステムになっていることが理解できる。

 ぜひ、この大切な点を見落とさないようにして日常生活を大切に送りたいものです……

 どうです。やはり、良い学者というものは良い見識を持っているものだと、あらためて感心すると同時に、専門家の言葉であるがゆえに、最後の一文は大切にしたいものだと思いますね。


 「ビジネス脳のススメ」は、「脳はなにかと言い訳する」として一冊の本にまとめられています。来年には、「2」も出るそうです。


 私のおすすめ:
脳はなにかと言い訳する

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