光モノかならずしも金ならず 〜昇圧回路を用いたミニマグLEDライト〜
コドモの頃はよくラジオを聴いた。おもに深夜ラジオを聴いたものだ。
まあ、それは一過性の「若気の至り」というヤツだったようで、その後ラジオからは遠ざかっていたのだが、最近、夜に仕事をすることが多く、その合間にラジオを聴くことが多くなった。
深夜、というか未明に、NHKのラジオ深夜便の、妙に落ち着いたアナウンサーの声と、「東京のバスガイド」などの昭和20年代古代歌謡曲を聴いていると、ささくれた気持ちが落ち着くのがわかる。
というわけで、ラジオの製作、といいたいが、あれはバリコンや同調コイルの調整が面倒なので、今回はパスして、もっと簡単なものにチャレンジしてみたい。
現代の生活に電池はかかせない。eneloopやリチウムイオンのような充電池(二次電池)もよいが、アルカリ電池のような使い捨て(一次電池)も安価で使いやすいため、いつのまにか、電圧が下がって使えなくなった電池が多くたまってしまう。
わたしの場合、例えば単三電池など、最初はアウトドアのライトに使って、暗くなったらトランジスタラジオに使い、その音が小さくなったら廃棄するようにしているが、それでも電圧を測ると1.1ボルトあたりは残っていることが多い(新品の場合は1.5ボルト前後)。
それらを捨てるにしのびないので、何とかうまく最後まで利用できないかと考えたところ……
それらを使って、ミニライトを点灯させることにした。
わたしの趣味は、子供のころからアウトドア(ありていに言えばキャンプ、長じて登山)と自転車旅行がだった。
そして、そのどちらでも重要だったのは明るいライトだ。
しかし、昔のライトは電池の消耗が激しくすぐに暗くなるため、長く点けておくことはできなかった。
だから、ちょっと点けてすぐに消す、その繰り返しだった。
子供心に、いつか一晩中点けていても大丈夫なライトを持ちたいと思っていたが、その願いは、数年前にあっさりと叶えられてしまった。
みなさんご存じのLED(高輝度LED)のお陰だ。
わたしは狂喜して、いろんな種類のLEDライトを買い集めたが、それらにも欠点はあった。
多くのライトが3ボルト以上の電圧でないと点灯しないため、電池を2本以上必要としたことだ。
有名なミニマグ社のライトも最近LEDになったが、電池を三本必要としていて「重いわスタイルは悪いわ」ですっかり幻滅させられてものだった。
だが、捨てる神あれば拾う神あり、電子工作さえすれば、なんとかそれを解決できる。
使うのはDC−DCコンバータIC(HT7733A)とあと4つの部品のみ。
それを使えば0.6Vまで下がった電圧を3.3Vに引き揚げてくれるのだ(昇圧回路)。
そうすれば、弱った単三電池一本で明るくLEDを点灯させることができる。
そうすれば、弱った単三電池一本で明るくLEDを点灯させることができる。
というわけで、今回は、単三電池2個使用のミニマグライトのオリジナル球をLED球に変えて、単三電池一個で点灯できるように改造を行います。
昇圧回路は小さいので、不用になった電池一個分のスペースに納めることができるでしょう。
では、材料から。
(個数はすべて1個)
(個数はすべて1個)
●DC−DCコンバータIC
(HT7733A PFM「PULSE FREQUENCY MODULATION」)
●電解コンデンサ 47uF
●電解コンデンサ 22uF
●マイクロインダクタ 100uH
●ダイオード
(HT7733A PFM「PULSE FREQUENCY MODULATION」)
●電解コンデンサ 47uF
●電解コンデンサ 22uF
●マイクロインダクタ 100uH
●ダイオード
コンデンサはタンタル電解コンデンサ、ダイオードは、ショットキー・バリア・ダイオードの方が良いのです(反応速度が速いため)が、普通のものでも、おそらく大丈夫でしょう。
ただし、マイクロインダクタは、抵抗のなるべく小さいものの方がベターです。大きいと回路が働きません。相性もあるので、いくつかの種類を買った方がよいかもしれません。
ただし、マイクロインダクタは、抵抗のなるべく小さいものの方がベターです。大きいと回路が働きません。相性もあるので、いくつかの種類を買った方がよいかもしれません。
材料費は全部で300円もかからないでしょう。
部品写真は以下です。
データシートに載っている回路図は以下。今回はこのまま製作します。
できあがりは以下です。
わかりにくいかも知れませんが、基盤(茶色の板です)の左端は、ライトの一番奥つまり+局にあたり、左端は単三電池の+局と接触しています。
昇圧回路は、汎用のタイマIC555を使ってもできますが、今回用いたパルスモデュレーションICの方が必要な部品数も少なくカンタンでした。さすが専用ICです。
昇圧の仕組みですが、簡単にいうと、ICが一瞬だけパルス電流を流す度にマイクロインダクタ(コイル)に大きな電圧が生じ、それを一秒間に数百回繰り返して、充電池の一種であるコンデンサに貯め(電圧を足し算して)、必要な電圧を取り出します。
その際、ICは生じる電圧を監視し、ちょうど3.3Vになるようにパルスの発生間隔を調整します。
(低いときはどんどんパルスを出し、高いときはパルスを少なくする)
その際、ICは生じる電圧を監視し、ちょうど3.3Vになるようにパルスの発生間隔を調整します。
(低いときはどんどんパルスを出し、高いときはパルスを少なくする)
効率は、データシートによると85%程度なので、それほど損はしていないでしょう。
動作電圧は0.6V〜6Vなので、かなり弱った電池でも、むりやり電圧を上げてLEDを点灯させてくれるはずです。
動作電圧は0.6V〜6Vなので、かなり弱った電池でも、むりやり電圧を上げてLEDを点灯させてくれるはずです。
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