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2006年8月 1日 (火)

感染 〜理屈を求めてしくじったホラー〜

 先日、遅ればせながら「感染」を観た。

 和製ホラーはあまり観ないのだが、これは何かで予告を観て気になっていたのだった。
 もともと「感染」は、Jホラーシアターの一環として「輪廻」「予言」とともに作られたものだ(他の二作は未見)。

 で、その内容はというと……

 経営危機の病院に運び込まれた謎の感染症患者。
 恐ろしいほどの高熱を発し、体全体が緑色に溶けていくその感染症は、やがて病院に蔓延し始める。

 それだけならただの、いわゆる洋画「アンドロメダ病原体」と同じ「病原菌もの」なのだが、筋肉が溶けきった死体の核(塊?)が通風口に逃げ込み、医師たちがそれを捜索し始めてから、映画は「エイリアン」的な様相を呈し始める。

主要キャスト
 設備も人も底をついた零落病院では重病人をとても扱えないと、救急隊員に引き取り拒否する善意の主人公、佐藤浩市。

 こっそりとその患者を受け取り、「医学界に衝撃を与える奇病の観察と実験を行えば、病院がつぶれても、よその病院に転職が可能になる」と嘯(うそぶ)く佐野史郎。

 妻に送金するために是が非でも金が必要なのに、給料の支払いが滞り窮地に陥っている医師に高嶋政伸。コイツが「良い人」でないのが良い。

 上記キャストは、三者三様なかなかのホラー顔(ヅラ)をしていて好感がもてる。

 そこに、気丈な看護婦(士?)長、南果歩と、シャルウイダンスで洒落た初老のダンス教師を演じた草村礼子の認知症老女が脇を固め……。

 経営危機の老朽化した病院、未知の病原体、そこに医療過誤の隠蔽などもからんで、おもしろくなりそう……という予想が後半になって尻つぼみになってしまったのが残念だった。

 とくに、体中の穴から緑色の粘液を吹き出して、感染者が次々と狂い死にしていく奇病を、ラスト近くで「サイコモノ」として合理的に説明しようとするのがいけない。


 ミステリー、特にSFに関する才能は凡庸でも、ことホラーに関しては非凡なセンスを持っている直木賞作家の高橋克彦が、かつて自作の中で「恐怖は理不尽なものほど恐ろしい、説明できない怪異ほど恐ろしいものはない」と語り、その例として『胸騒ぎを覚えて箪笥の引き出しを開けたら、二十センチほどに縮んだ、亡くなったおばあちゃんが張り付くように横になって笑っていた』という話を出しているが、これは確かに怖い。
 意味不明だが、それゆえに怖い。

 監督の落合正行は、映画「パラサイト・イブ」の監督であるから、結果的に恐怖に理屈を求めてしまったのだろうか。

 「リング」「らせん」と快調にホラーを書き連ね、やがて決して映画化できない「ループ」に到着してしまった「SF作家」鈴木 光司と同様に。

 一応、公式サイトはこちら(http://www.j-horror.com/

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