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2005年11月 6日 (日)

スーパーサイズ ミー The American Way


 この映画の存在を最初に知ったのは、ある友人からだった。
 なんでも、自らの肉体を使って、ひと月の間、マクドナルドのハンバーガーを食べ続けるとどうなるのか、という実験をやった男の話だという。
 ハンバーガーだけを食べるのか?
 それともナゲットなども食べるのか?
 本当に三食ともマクドナルドモノを食べるのか?等々、種々疑問は沸いてきたのだが、お互い詳しいことは知らず、当時は、ネット検索でも、それほど多くの情報を得られなかったために、その話題は立ち消えになってしまったのだった。

 だが、気にはなっていたために、できれば観に行きたいものだと、上映する映画館を検索してみたところ、やはり、近くの映画館ではやっておらず、まあ、大画面で観る必要も無いかな、という貧乏人的決断と相まって、結局、映画館に足を運ぶことは無かった。
 で、レンタルDVDに並ぶのを待って、さっそく借りてみた。

 と、そこまでが前振りなのだが、映画の感想の前に言っておかねばならないことがある。
 この映画の制作後、こういった自らの肉体を使った「公開実験」を、多くのWEBサイトで見かけるようになった。
 その挑戦内容は、「うまい棒」を一ヶ月食べるとどうなるか、あるいは、牛丼を食べ続ければどうなるか、といったものがほとんどだ。
 取り上げる対象物は様々で、それなりに、なかなか面白いのだが、その表現方法が良くない。
 素人の悲しさ、といえばそれまでなのだが、ただ購入した食品(うまい棒数百本とか)を写真に撮り、その後、徐々に食べる姿を撮影して、時系列に並べるだけ。
 最後に、最低限の肉体評価として、献血の検査結果を表示して終了、そういったタイプがほとんどだ。
 だが、これがやはり面白くない。
 だって、そんなものが体に悪いのは分かっていることだからだ。

 そこで本編「スーパーサイズミー」
 制作兼監督兼主演のモーガンは、その制作手法を、マイケル・ムーアにならってこの映画を撮っている。
 きっかけはこうだ。
 訴訟天国アメリカで、二人の(超肥満)少女が自分たちの肥満の原因をファースト・フード、なかんずくマクドナルド・ハンバーガーだとして、同社を相手どり裁判を起こした。
 判決は少女側の敗訴。
 判決文にはこうあった。
「もし、毎日その食品を食べ続けることによって、あきらかな害を体に及ぼすと証明できれば、上訴の可能性はあり得る」と。
 それを知って、モーガンは、自らの肉体でそれを試してみようと思ったのだった。
 しかし、アメリカ社会の弁護士による汚染はひどいものだ。
 何でも訴訟に持ち込ませて、暴利をむさぼろうとする。
 映画の中の、モーガン自身による少女側弁護士のインタビューが振るっている。

「訴訟を起こした理由がしりたい?金以外にかね?大儀が知りたい?…………」

 つまり弁護士は例によって金だけが目的だったという訳だ。
 そういえば、以前に女性がマックのプラスティック蓋を開けようとして火傷をした、その賠償として法外な金額をぶんどったという裁判があった。弁護士はきっと、その柳の下の泥鰌(ドジョウ)狙いだったのだろう。 

 『実験』開始の前に、モーガンは複数の医師を訪ねて自身の肉体の入念なチェックを行う。
 結果は、まったく問題の無い健康体。
 それから毎日三食(本当に彼は三食ともマクドナルド食品だけを食べるのだ)、さまざまなマクドナルド製品を食べ始める。
 3日で胸のむかつきなどの症状が出始め、5日目には血液成分が変化し、体重もどんどん増加し始める。
 その合間に、モーガンは、国民(成人)の半数が肥満になった米国の原因の一つが、マクドナルドに代表されるファースト・フードだという証拠を集めていく。
 その中で、ちょっと驚いたのが、マクドナルドによる、インファンシー(幼年時代)における、幸福感の刷り込みだった。
 日本でもいくつか見かけていたが、マクドナルドにはプレイランドと称する子供用の遊び場が併設されている。これは単に、親が食べる時に子供を遊ばせておく場所だと考えていたが、それだけではなかった。
 幼年時代、親と一緒に「外食」にでかけ(それが安マック食だとしても)、そこで、様々な遊びを行う。(マックカラー「赤」「黄」なども子供の好きな色だ)
 それは子供にとっては至福の時で、楽しい場所としての記憶がすり込まれる。
 それは彼らが大人になっても消えることは無く、楽しみを求めて再び彼らはマクドナルドを訪ねるのだ。
 それを研究者から聞かされたモーガンは笑いながら言う。
「じゃあ、僕はマックの前で子供を殴ることにするよ」

 レストランは高いが、安く、ノーチップで食べることが出来るのも、多くの非富裕層が食べに行く原因のひとつで、彼らはまた肥満が多い。

 マクドナルド食に含まれる多量の砂糖、脂肪分による中毒が、リピーター(週一度以上見せに来る客をマクドナルドはヘヴィユーザーと呼ぶ)を生み出すのだという。

 日を追うにつれ、モーガンの肉体は醜く変化し、頭痛が始まり、精神は不安定になっていく。
 観ているうちに、モーガンを診察する医者ではないが、「もうやめろ」と言いたくなってくる。
 映画の最後で、モーガンは、この映画の上映により(プレミアム上映だろうか?)マクドナルドが、スーパーサイズ(1.9リットルのコーラなど)を辞めるなどの対応を始めたことを告げる(マクドナルドは映画の影響を認めていないらしいが)。

 システム化された廉価外食産業(人を中毒にさせて薄利多売を企む業者すなわち『企業』)が、そう易々と路線変更するとは思えないが、少なくとも、「監督」モーガンは、自らの肉体を代価として、マイケル・ムーア同様、何らかの地位(そして体重十キロ増と脂肪肝)を、ハリウッドで勝ち得たことは間違いない。



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