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2005年7月25日 (月)

宇宙戦争(スピルバーグ版)




「宇宙戦争」
 この映画のウリは、スピルバーグが初めて撮った「非友好的宇宙人」とのことだが、実際はどうだろう。
 噂では、はじめの一時間は楽しめるが、あとは……とのことだったが。


 実際に観てみると、いや、本当にその通りでした。
 シリツボミもいいところ。
 
 だが、噂どおりに、最初の一時間は結構見所がある。
 特に、映像としてのオドロキは、かなりなものだ。
 宇宙人の攻撃兵器(トライポッドというそうな)の発する光線が人間に触れると、「ブレイド」の吸血鬼もかくや、というほどの爆発を次々に起こして蒸散していくシーンは必見だ。
 画として見れば、ヒトが弾け散ったあとに、ひらひらと服だけ舞っているのもなかなか風情がある。
 灰色がかった画面色も、前編を通じて漂う悲壮感、暗さと相まって映画の雰囲気を盛り上げている、かも(単に夜間シーンが見にくいだけ?)。
 さすがに現在の合成の限界なのか、走って逃げるクルーズに建造物の爆発シーンが重なるところでは、ちょっと違和感を感じてしまうが、それ以外は、ビルの街にすっくと立つトライポッドが、風景にうまくとけ込んで現実味があって良い感じだった。

 あえて原作通りに、背の高い三本足の兵器、トライポッドを導入したことは賛否を呼ぶかもしれない。

 いわゆる、その昔、火星人がそうであろうと考えられていた姿、細長い触手に支えられたタコ形異星人をマンマデザインに生かしたスタイルは、レトロのそしりを避けられないだろう。

 特に、真ん中に鎮座するサーチライトは、レトロ、というより安っぽくちゃちっぽくて、ツッコむのが好きな人にはツッコまれてしまうだろうが、個人的にはこのスタイルは好きです。

 どういう経緯で、長い間、都市の地下に(しかも道路の二十メートルほど下!)あれほどのブツが埋まっていたのかは疑問だが、まあ、昔から埋めてあったのなら、ちょっとデザインもレトロで、材質もメタルっぽかった方が自然かもしれない。
 ワイルド・ワイルド・ウェストの鉄蜘蛛みたいな感じもあるし。

 あえて流行のバイオ系のデザイン、いわゆる、ぬちゃぐちょたらーりエイリアン風のじめったものにしなかったのも良かったのでは?。
 ギーガー以来、なんでもナノテク利用の生物兵器にしてしまう傾向のあるハリウッドで、あえて原作に忠実なメカメカデザインにしたのは、スピルバーグのセンスか?
 まあ、後に出てくる宇宙人の姿は、ID4のパクリそのものだったけど。

 この映画の評に、一民間人のトム・クルーズが、ただ逃げ回るだけで、全体の戦闘の様子が見えず、戦争の規模が大きい割にショボイ感じがしてしまう、というのがあるが、あえてスピルバーグはそれを狙ったのではないかと思える。

 わけがわからないまま、世界の転機、驚天動地の大異変に巻き込まれた「ただの男」の奮戦記。

 これを大統領の視点、あるいは国に要請を受ける科学者の視点で見てしまうと、戦闘の経緯は分かりやすいだろうが、いかにもスレテオタイプの映画になってしまっただろう。

 ただ、頭のカタイ日本人としては、先妻が連れてくるデキの悪い兄妹に振り回されるクルーズを、どうにも等身大の人間として見ることが苦痛だった。
 ことあるごとに病的な叫びを上げる娘役のダコタ・ファニングは不快なだけだし。

 それでも、前半はなんとか映画についていくことができた。

 だが、後半、特にバカ息子が自分勝手にクルーズから離れていった後、父娘二人が救急車の運転手(救命士か?)をやっていたという男(ティム・ロビンス)の招きで、農家の納屋らしきところに避難したあたりから、様子がおかしくなる。

 だいたい、ティム・ロビンスって、なんのために出てくるの?
 本筋には何にも関係ないし、邪魔なだけ。
 本人もエージェントも、シナリオを読まずに受けたんじゃないの、という感がする。
 ティムの退場も唐突だし。

 映画のオチは、まさかとは思っていたけど原作通り。

 それはないでしょう。

 宇宙人はビョウゲンキンで死んだ?談志が死んだじゃあるまいし。
 その菌って、真菌(ミズムシ菌)じゃないだろうね。

 せめて、「ヒトの血を栄養にしている彼らは、今、人類に蔓延しつつある新しい病気に気づかず、接種したために絶滅した!!」ぐらいにして、「げに恐ろしきは新種のレトロウイルスやなあ」という話にするかと思っていたのだが……。

 もちろん、その種の病気の患者の気持ちを考えれば、そういった展開は無理なのかもしれないが、それでも、他に持って行きようがあったのではないだろうか。

 エンドクレジット近くで、勝手にどこかに行ってしまったバカ息子が、ちゃっかり母親のスカートの中に逃げ込んでいたのも納得がいかない。

 なんかキミョーな映画だったなあ、というのが結論だ。

 ターミナルも後半おかしかったし、スピルバーグも、いよいよ終わったかな。

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