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2005年7月26日 (火)

「お母さん、お茶」「はーい」

今日は、いただき物の券で茶会に出かけてきた。
 最寄の駅につき、年始にドでかい茶碗を用いて飲む茶会で有名な某寺に近づくと、さっそく妙齢のご婦人方が三々五々と帰ってくるの行き違う。
 長いあいだ茶会になど行かなかったので、作法などすっかり忘れていたが、右をみて左をみて、茶碗を回し、なんとか誤魔化し飲み終えることができた(と思いたい)。
 生菓子はいまいちだったが、茶はおいしかった。

 久しぶりに見る、女性が着物姿でくるくると働く姿は、見ていて気持ちがよく(彼女たちの年齢は横において)、やはり民族衣装はイイナァと良い気分で家まで帰ってまいりました。

 帰って、珈琲を飲みながら考えた。
 喫茶類は、茶であろうが珈琲であろうが胡麻黄粉であろうがモロヘイヤであろうが何でも好きで、自宅でもよく抹茶は飲むが、どう考えても我が家よりうまかったのは、なぜだろうか?
 きっと、うちよりよい銘柄を使っているからだろう。
 茶のうまさは、いやになるほど値段に完全に正比例する。

 最近、よく話題になるのは、中国で本当に高級な、そしてポピュラーなお茶は、プーアルやウーロンなどの発酵茶ではなく、煎茶(龍神茶など)であるということだ。
 日本では、中国茶といえば発酵茶というイメージがあるが、中国では、お茶といえば煎茶をさす。

 考えてみれば、それは当然のことなのだな。
 柿など、少数の例外を除いて、果物を腐らせて(って、柿は腐敗しているんじゃない。干して濃縮してるんだな)食べることは少ない。
 だから、普通に考えて、茶も植物の一種なのだから、摘み取ったあと、発酵が進むにまかせて色を濃く渋くするより、炒ったり蒸したりして、酵素を死滅させ、緑のまま飲んだほうがおいしそうだ。
 よいものは新鮮なうちに……それは古今東西万国共通な食べ物の法則だ。
 もちろん、発酵することで生まれる風味と栄養には見逃せないものがあるだろうが。

 世界的に見て、茶の呼び名は、CHA派とTEA派に分かれる。
 アジアではチャ、チャイ、それがトルコあたりから「テ」になって、ヨーロッパでは「ティー」になり、欧州大陸の一番端のポルトガルで、ふたたび「チャ」にもどる。
 それぐらいは知っていたが、その語源がやはり、中国の方言にあったことはごく最近知った。
 中国の方言のひとつが「チャ」であり「テ」であったのだという。
 華北語音、広東音の茶の読みchaが陸路を通じて伝播したものと、海路で伝播する途中、茶の船積みをする福建地方で、アモイ系の読みのTe、Tiがそのまま伝わったものの二種類があったのだ。
 つまり、陸路を通じて徐々に伝播した近場はチャであり、船で運ばれた遠方はテであったらしい。
 陸路と海路の二系統で世界に広がったから、二種類の呼び方が世界に撒かれたのだった。
 単純に、アジアがチャで西洋がティーではなかったのだ。
 船積みする場所によって、ポルトガルのようなヨーロッパでもchaの地域が存在するのだ。

 この手の歴史は、われわれが、どうあがこうと、釈迦の掌の上の孫悟空状態だ。
 だからといって、「中国がとても非常にすばらしく偉い」というわけではないと思うのだが。

 その歴史に敬意は払いたいが、どうも中国とフランスのいわゆる「中華思想(自分たちが世界の中心)」という考えは好きになれない。
 それは、東の果て、文化の吹き溜まりニッポンで生まれ育った日本人のヒガミかもしれない。
 なにか中国的なものを広告するときに、すぐに「中国ン千年の歴史」という惹句を使う、単純なマスコミも嫌いだ。

 そうだそうだ。
 日本でも数千年という惹句が使われたことがあるぞ。
 第二次大戦中、ソ連に大敗を喫して戦局不利となる中、同盟国日本がパールハーバーを奇襲したのを聞いたヒトラーが、狂喜してこういったという。
「諸君、これでわれわれの負けはなくなった。なぜなら、過去数千年のあいだ戦争に負けたことのない国が友軍として参戦したからだ……」
 えーと、元寇って日本勝ってましたか?白村江の戦いは?
 どうもアドルフくんは間違った情報をつかんどったようですな。
 いずれにせよ、ロクなところで日本の歴史は使われてはいないようだ……。

 それはともかく、ブンカの辺境に住むことを、別段わたしは恥じてはいない。
 ブンカは吹き溜まりで熟成するものだから。

 ちなみにタイトルは、昔あった、マッキントッシュ用麻雀ゲーム「マックポン」で使われていたせりふです。

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