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2005年7月26日 (火)

スパイ・ゲーム

 タイトルはもう忘れてしまったが、昔観た戦争映画で、こんなのがあった。
 場所は連合軍の作戦本部。
 そのさらに地下深くの中央作戦室。
 得られた多くの情報が、陽のささぬその場所で吟味され、作戦へと練り上げられていく。
 そこへ重大な情報がもたらされる。
 敵の移動情報だ。
 だが、同時にそれは眉唾モノでもある。
 丁々発止のやりとりのあと、何日も徹夜の調査と検討が続けられ、ついに命令が発せられた。
 作戦は成功し、味方の被害は僅少で敵を壊滅させる。

 判断を巡って、特に対立しあっていた男女が地上に出ると太陽は真上にあった。
「なんだ。昼間だったのか」
「ランチでもどうだい」
 その言葉を漏れ聞いたガード兵が、二人の後ろ姿を見て相棒に吐き捨てるように言う。
「聞いたかよ。お偉いさんはたいしたもんだ。俺たちが命がけで戦ってるのに、今が昼かどうかも知らないんだとよ」

 スパイゲームはそんな映画だ。
 少なくとも、この映画の延長線上に位置する。
 友人からアウトラインは聞いていたが、実際に見ると、二時間を超える作品とは思えないほど締まった良い作品だった。

 切れる男、それ故に内外に敵が多いことが知れる、リタイヤ間際のCIAエージェントをR・レッドフォードが好演している。
 エスピオナージで優秀ということは非情ということだ。
 その非情さゆえに、レッドフォードは、教え子であるブラッドピットと数年前に袂を分かっている。
 だが、退官当日に、中国、蘇州でピットが捕まったことを彼は知る。
 任務外の行動でピットは捕まったのだ。
 CIAエージェント上、伝説の男、エースだったレッドフォードは局が彼を捨てることを確信する。
 会議に呼ばれ、ピットとの出会いから別れに至るまでの経緯を話す彼は、その合間に、ピットを助けるために行動を起こす。
 彼の敵は、外部にはいない。
 昨日、いやさっきまで同僚であり、上司だった男たちが敵なのだ。
 おまけに、彼らもレッドフォードと同様の洞察力と勘の良さをもっている。
 その目をかいくぐり、だまし、ラングレイのビルにいたまま、ピットを助けなければならない。
 タイムリミットは八時間足らず。
 秀抜な一幕劇を見るかのような、例えれば「12人の怒れる男」を彷彿される密度の濃いストーリーが銀幕上で(私はブラウン管で観たが)展開されるのを観るのは楽しい。

 唯一の欠点は、ブラッドピットが命がけで行動する動機がイマイチ明確でない点だ。
 もちろん、日本のいい加減なアニメと違い、説明はなされている。
 が、イマイチ感情移入できないのだ。

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