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2005年7月26日 (火)

トレーニング・デイ

 黒人たちの英雄、デンゼル・ワシントンが思いきった汚れ役に挑戦して、アカデミー賞主演男優賞をとった作品です。
 かなり前の作品ですが、気になっていたので、観てみました。
 さて、その内容は……知っている人はご存じでしょうが、一応説明しておきましょう。、
 若く正義感を失っていない野心家の警官が、老練で、英雄視されている麻薬取締官のもとで働く機会を得ます。
 その初日、使える男がどうかをテストする目的を兼ねて、取締官は一日、若者を街に引き回し、若者に現実を見せます。
 これが、いわゆる「トレーニング・デイ」です。
 最初は、タフで強面、だがなんせデンゼル・ワシントンですから、ハートはホットな男に違いない、と(我々は、そして若者も)思っていますが、彼の言動はどんどん暴力的になり、やがては……というストーリィです。

 まあ、ひとことで言うと、悪徳警官の話です。
 緊迫した描写が続き、息の抜けない作品に仕上がっています。
 それだけに、好きか嫌いかの評価は分かれるところでしょう。
 個人的には後味の良くない映画はあまり好きではないのですが、これはまずまずの作品だと思います。

 24時間の間にすべてが起こった、と設定したいあまり、かなり無理に必然性の無い事件を連続して起こしているような印象がありますが、役者の熱演がそれを補ってあまりあります。
 その意味で、この作品が、アカデミー作品賞ではなく、主演男優賞をとったのは、正解だったのでしょう。

 それにしても、それがハリウッドシステムとはいえ、役者のイメージというのは恐ろしい。
 私は、最後まで、すべてがルーキー警官イーサン・ホークのトレーニングのために仕組まれた話なのだと思っていました。
 そう考えると、これは「逆説的でおもしろいドンデン返しの映画」ということになります。
 ナイスガイ、デンゼルなら、きっと最後にはいいヤツになるだろう、と思わせ続けて、最後までワルで終わる……何もしないことで、何かをする以上のドンデン返し効果を得る、一度しか使えないが、効果は絶大なうっちゃりです。
 結果的にはそれが功を奏して、ワシントンはアカデミーをとる訳ですから、正解だったのでしょう。
 「フィラデルフィア」でトム・ハンクスがオスカーをとるのを横目で観てから十年あまり、やっと彼にもあの訳のわからん由来(*)による名前のついた金色の像を手にしたわけです。


(*)
 像が完成した時に、それをみたお偉方の秘書が「これはオスカーおじさんだわ」と叫んだがのが、その名の始まりという、どうもできすぎな話のこと。

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